- Work機動戦士ガンダム
- Height18.6 m
- Weight62.6 t
- Pilotガイア, オルテガ, マッシュ
型式番号:MS-09 / MS-09B
ザクやグフなどのMSは、重力下における展開速度が遅いという大きな問題を抱えていた。これらのMSは主に歩行や車両による運搬で移動を行うが、戦場での迅速な展開には適していなかった。この問題を解決するため、MSの自力飛行を目指したグフ飛行試験型が開発されたが失敗に終わり、その代替としてド・ダイYSといったサブフライトシステムとの連携運用により問題が部分的に解消されている。しかし、抜本的な解決策として、ツィマット社がホバークラフト技術を応用したMSの開発を開始した。
当初は純粋なホバークラフトの設計が考案されたが、兵器搭載量の不足が課題となり却下され、最終的には熱核ジェット・エンジンにホバークラフト技術を組み合わせた設計に落ち着いた。この熱核ジェット・エンジンは高い推力を実現し、地上での高速移動を可能にする。
初期のデザインは高機動型ザクII(R-2型)に近いボリュームだったが、試作機の改良過程でプロポーションが修正された。高速移動時の余剰モーメントを抑えるため、大型シールドなどの偏った装備を避け、装甲を左右対称かつ強化する方向で設計が進められた。また、各種スラスターや内装構造の強化に伴い、フレームには既存機体を上回る堅牢さが求められ、自重増加は設計段階で判明していた。ツィマット社の独創的な技術や高い整備性は、この設計を後の宇宙戦用MSとして発展させる下地となった。
コンパクトな熱核ジェット・エンジンの開発は困難を極めたが、開戦後半年以上を経てプロトタイプが完成。その後、各部スラスターや動力パイプが内装され、装甲形状も空力特性を考慮して見直された後、制式採用され、グラナダとキャリフォルニアベースで生産が開始された。本機は「局地戦用MS」として設計されたが、その高性能ゆえにグフに替わる主力機としても運用された。
本機の標準塗装は黒と薄紫を基調に、胸部はグレー、モノアイ周縁や装甲の内側が赤で塗り分けられている。この配色は、初めて本機を受領した「黒い三連星」の専用カラーリングとして知られているが、実際には配色は以前から決定されていたとされる。後にメディアによる憶測が定説化したことが、研究者によって指摘されている。