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機体リスト
機動戦士ガンダム

共收録 48 台の機体。
  • ガンダム

    • Height18 m
    • Weight43.4 t
    • Pilotアムロ・レイ

    型式番号:RX-78-2

    地球連邦軍の技術の粋を集めて作られたMSであり、ジオン公国軍のMS-06F「ザクII」を徹底的に研究し開発された。

    計8機が生産されたRX-78ガンダムの内、2号機は当初RX-78-1と同仕様だったが、サイド7への搬入後に1号機と共に装甲と駆動系を3号機と同一仕様(RX-78-2)に刷新。また、最新技術であるエネルギーCAPを採用した携行式メガ粒子砲「ビームライフル」の仕様を固定式ハンドショットガンスタイルから分離式に変更している。こうした背景から、公式には試作機と呼ばれつつも良質の材料と最高の技術で完成されたカスタムメイド機としたほうが正しいともされている。ロールアウト時の色彩は銀地に白、赤で塗り分けられていたが、サイド7搬入後に銀地を白に変更し、最終テスト時に1、3号機と同じくトリコロールのデモカラーとなった。

    RX-77ガンキャノンを経て開発されたガンダムは、重火器を固定装備とした前型から兵装・防御システムを最低単位に分離し、対MS戦でザクを凌駕する高機動MSとなっている。ジオン軍の一連のMSに単一機種で対抗可能なよう設計され、装甲材はRX-77から引き続きルナチタニウム合金を採用。加えて、特殊樹脂や強化セラミックを充填した三重のハニカム装甲とすることで軽量化の両立にも成功した。完成度の高さは群を抜いており、MS-14ゲルググとともに一年戦争における最高位のMSである。性能面では後の量産型RGM-79を遥かに凌駕する機体だが、その一方で量産化を前提とした設計であるにもかかわらずコストは高額となった。

    RX-78の2号機はサイド7にて実用実験を行った後、ホワイトベースに搭載されアムロ・レイの乗機として活躍。後に2号機はマグネット・コーティング等の処置を受けてRX-78-3と一部同等の仕様に刷新された。この際に型式番号もRX-78-3に改められたとする資料、アムロが3号機(G-3ガンダム)に乗り換えていたとする資料もある。

    一年戦争における2号機の活躍は連邦軍にとって希望の象徴、ジオン軍にとって恐怖の対象だった。結果として名称や頭部の造形などは「ガンダムの持つ魔力」と形容されるほど特別な意味を持つ事となり、いわゆる「ガンダムタイプ」MSの乱発など後のMS開発の方向性にも大きく影響を及ぼしている。

  • ガンタンク

    • Height15.6 m
    • Weight80 t
    • Pilotハヤト・コバヤシ

    型式番号:RX-75

    連邦軍の「RX計画」(のちに「V作戦」に統合)で最初に開発されたMS。ジオン公国軍から極秘に入手したMSの断片的な情報をもとに開発される。対MS用重戦車であるRTX-44をベースとしており、2足歩行システムの実用化以前でもあったため、脚部をもたず無限軌道で走行する。武装も長距離攻撃・長距離支援用の火器を有する。

    メイン・エンジンとして下半身にタキム重工製のNC-4熱核反応炉を搭載するが、8,000馬力の原子炉とガスタービンのハイブリッドとする説や、MSの核融合炉搭載に失敗した場合を想定したガスタービン・エンジンと燃料電池とする説など、動力については諸説ある。いずれにせよ、出力不足からビーム兵器は使用できない。

    当初は4機が製造されており、2号機以降はコア・ブロック・システムが導入され、MSとして分類される。腹部のコア・ブロックのほかに、頭部にも砲撃手用のコックピットをもつが、コア・ブロック側からすべてをコントロールすることも可能。その後2回の改修を受け、最終型の型式番号はRX-75-4とされる。機動性や近接戦闘能力の低さから、量産は不適当と判断され、計8機で製造が中止されるが、MSという認識からコア・ブロック・システムを廃して再度重戦車に立ち返ったガンタンクIIとして再設計される。

  • ガンキャノン

    • Height17.5 m
    • Weight70 t
    • Pilotカイ・シデン, ハヤト・コバヤシ, リュウ・ホセイ

    型式番号:RX-77-2

    一年戦争のV作戦により開発されたRXシリーズの1機で、同じRXシリーズであるガンダムやガンタンクと共通規格のコア・ブロック・システムが採用されている。

    地球連邦軍初のMSガンタンクは、次世代の主力戦車 (MBT) として開発が進められていたRTX-44を急遽転用したものであったため、MSとしては機動性が低く種々の問題を抱えることは明らかであった。このため、続くこの機体では、ガンタンクにおいて発生した機動性の問題を解決すべく二足歩行型として開発に着手した。このとき、地球連邦軍では二足歩行型試作ロボット「RXM-1」が開発されていたため、このデータを基に開発が進められた。

    本機は装甲材にルナ・チタニウム合金が採用されており、これは後にガンダムにも採用された。ガンダムと比較して運動性よりも装甲厚を重視した設計となっている。そのため、シールドは必要としない。その機体強度は公国軍のMSの5 - 6倍とされる。RX-78と比較して簡素な印象となる頭部は砲撃戦のため、より複雑化したセンサーが導入されている。このゴーグル型ツインアイ構造は、後にRGM-79ジムに引き継がれた。

    その走破性や機動性は重力下での運用に耐用するレベルのものである。ガンダムと比較して重量増となったものの、背部ランドセルに装備されたスラスターにより、ジャンプやごく短時間の飛行は可能としている。また、運用構想において、白兵戦用のガンダムや長距離支援用のガンタンクと連携して中距離からの援護砲撃を行う運用を前提としたため、運動性の低下から近接戦闘用のビームサーベルは装備していない。コア・ブロック・システムの採用と相まって、ザクの4倍はコストがかかっているといわれている。

    こうして完成したガンキャノンは、ジオン公国軍のMSと比べても引けを取らないものとなり、初期試作型のRX-77-1に続いてRX-77-2として本機が6機製作され、そのうち3機がテストのためにサイド7へ送られた。その後、テスト中にジオン公国軍の強襲を受けて2機が破壊され、残った1機がホワイトベースで運用されることとなった。

    ガンキャノン以降、肩に固定武装の中距離支援火器を取り付けるというアイデアは後々まで生き続け、直系のバリエーションの機体以外にも、ガンキャノン・ディテクターやGキャノンなど、類似コンセプトの機体が後に登場する。

  • ボール

    • Height12.8 m
    • Weight17.2 t
    • Pilot地球連邦軍一般兵, ヒデン

    型式番号:RB-79

    宇宙作業用のワンマンポッド(スペースポッド)をベースに開発された機体。連邦軍の主力MSであるジムは生産力の高い連邦軍といえども保有できる数に限界があることから、ハイ・ロー・ミックス思想のもと、ジムの支援用に廉価版MSとして開発される。ただし、ジムの量産に先行して実戦投入されているとする資料もあり、セイバーフィッシュやトリアーエズといった宇宙戦闘機ではジオン公国軍のMSに対処することは容易ではないことから、「その場しのぎ」として製造されたとする説もある。

    人型ではないため、モビルアーマー (MA) と呼ばれることもあるが、連邦軍ではガンタンクと同じくMSに分類されている。これは、連邦軍のMS開発が当初から2足歩行タイプと、無限軌道やバーニアで移動するタイプの2つの流れに分かれているからである。ただし、「モビルポッド (MOBILE POD)」に分類されることもある。スペースポッドを拡大設計し、上部ターレットに低反動キャノン砲を装備、背部スラスターや装甲が強化されている。熱核反応炉をもたず燃料電池で駆動するため、MS用の冷却設備をもたない艦艇でも運用が可能である。単純な構造であり、テレビカメラや遠距離探知・航法システムも簡略化されているため、製造コストはジムの4分の1以下となっている。

    宇宙世紀0079年6月にプロトタイプが完成し、テストと並行して量産が開始されている。民生品の生産ラインも流用されており、各生産拠点や運用部隊による塗装のバリエーションも多岐に渡り、稼働や任務に支障のない範囲で独自の塗装も認められていたといわれる。また、現地改修によってマニピュレーターの仕様や武装にもいくつかのバリエーションが存在する。ジムの火力支援のほか、本機のみの部隊で投入されることや、サラミス級巡洋艦に搭載されてパトロール艦隊を形成することも多い。ソロモンおよびア・バオア・クー攻略戦では1,200機が参加し、ジム1機と本機2機を最小単位とする戦闘ユニットが大量投入されている。しかし、急造機ゆえに被害も大きかったという。連邦軍兵士の評判も悪く、「丸い棺桶(コフィン・ボール)」や「一つ目のマト(ワンアイズ・ターゲット)」と陰口を叩かれている。

    一年戦争終結後には、もっぱら作業用として運用されることが多く、一部は武装を廃して民間に払い下げられている。

  • ジム

    • Height18 m
    • Weight41.2 t
    • Pilot シン, 地球連邦軍一般兵

    RGM-79の中でも「前期生産型」と呼ばれる機体群。ジムの名前の由来は「Gundam type Mass-production model」(ガンダム型量産機)の頭文字の略、「General Mobile-suit(一般的なモビルスーツ)、あるいは、Gundam Model(ガンダム型)」など様々な説がある。連邦軍の戦力建て直しのために極短期間での大量生産を実現する都合上、コストを度外視したガンダムと比べて徹底的なコストダウンがなされている。設計が簡素であることから様々なバリエーションが生み出された。

    開発にあたっては、8機作られたRX-78ガンダムの内、1~3号機を除くジャブロー所在の5機がその母体となった。RX-78ガンダムは量産化を前提としたものの、機体の単価が高額だった事、生産に時間がかかる事から簡易量産型の開発が必要となった。元々、連邦軍では白兵戦用、中距離戦用、長距離支援用の3タイプを量産化する予定であったが、運用テストにおいて白兵戦用MSが突出した性能を発揮したために開発計画は同タイプを主流としたものへ変遷。完成したジムはガンダムのような万能機ではなく、標準的な機体をコンセプトとしている。

    前期生産型は「前期型」と「後期型」(実戦タイプ)に区別され、前者を「RGM-79A」、後者を「RGM-79B」に振り分けた資料もある。前期型は最初にジャブローで製造された第一次生産の42機、後期型は装甲版の材質など細部に若干の変更を加えキャリフォルニアベースやジャブローで288機生産された改良機となっている。戦力建て直しのための過度な生産期間の短縮と低コスト化に伴い、前期型は基本設計を無視する形で急造されている。そのため「粗製乱造」「粗悪品」と評価される事もある。

    開発の際に用いられた戦闘データや稼働データは、ホワイトベースがジャブローに到着するU.C.0079年11月の2か月前に補給部隊を通して得られたものを使用。さらにRGM-79(G)陸戦型ジムやRGM-79(E)先行量産型ジム(宇宙戦装備)などの実戦稼働データもフィードバックし、ジャブローやルナツーでより生産コストを抑えて開発される運びとなる。RGM-79ジムではジェネレーターの低出力化や装甲材質の変更など、生産コストを抑える簡略化がなされている。

    こうした背景のために性能面ではRX-78ガンダムに数段劣る結果となったが、一方ザクIIが稼働率6割であったのに対してジムでは8割を誇っており、国力の低いジオン公国に対する優位性を獲得していた。また、RX-78の戦闘データがコピーされているため、初級パイロットでもある程度の戦闘は可能である。運用の際には、5機1個小隊とボールの支援で構成される。実戦では集団戦闘を徹底しており、単独戦闘の多いジオン軍機体を連携で撃破した。

    総生産数は一年戦争の終戦までに派生形を含め「3800機」とされ、MS-06 ザクII(派生形含む)の4000機に次ぐ第2位の生産数とされる。ホワイトベースがサイド7を出港した時にはすでに生産が開始されており、U.C.0079年10月から本格的な量産が開始されたとする資料も見られる。一年戦争で機体のほとんどが失われたザクIIに対し、ジムは機体の半数近くが生き残った。

  • コア・ファイター

    • Height3.2 m
    • Weight6.8 t
    • Pilotアムロ・レイ

    型式番号:FF-X7

    最初のコア・ファイターはV作戦によって開発された地球連邦軍のRXタイプモビルスーツ(MS)であるガンタンク、ガンキャノン、ガンダムに採用されている。開発はハービック社。本機には直前に開発されたFF-6 TINコッドの基本概念が活かされている。

    元々は脱出機構を兼ねたコクピットカプセルとして開発されていたが、新構造の導入や研究スタッフが航空機部門から独立開発部門へ移ったため、多目的戦闘機に転向した。文字通りMSの核となるが、そのため弾薬や燃料には制約が生まれた。MSのコックピットを兼ねる本機には教育型コンピューターが内蔵されており、MS本体が損傷した際に実戦データを回収するための、またパイロットの生存率の向上のための脱出装置として機能する。コクピットにはドラムモジュールが導入され、MSと戦闘機双方で兼用の構造となる。ただし、コントロールスティックはそれぞれ別のものが二種類用意されている。内部にはNC-3型核融合ジェネレーターを2基搭載。

    FF-X7コアファイターのうち、002号機にはガンダムのパイロットであるアムロ・レイが搭乗した。後に本機を中心とした分離・合体システム(コア・ブロック・システム)を活かしたGパーツや、本機の戦闘機としての能力の高さを活かしたコア・ブースターが開発されている。

  • Gアーマー

    • Weight120 t
    • Pilotセイラ・マス, セイラ・マス

    ガンダムを仰向けの状態でGパーツA、Bで挟んだ重爆撃機形態。全てのパーツを使用するため「Gフル」とも呼ばれる。GパーツB側面の主翼を含むユニットは、ガンダムの腕部スペースの関係上、回転して後方に移動する。

    操縦はガンダムよりも簡略化されており、火器管制をガンダム側から行うことも可能である。また、アムロ曰く「ガンダムの3倍は保つ」ほどにビームキャノンが高出力化している。ガンダムとの分離時には、GパーツA、Bはコンピューター制御により自動的に合体する。

    ガンダムの腹部が剥き出しになるため、その両脇をガンダムの両腕に装備したガンダムシールド2枚で保護する方法が実戦運用から誕生している。これにより装甲の強化だけでなく、機体の安定性と飛行特性が改善されている。当初はボルトアウト時に右腕のシールドを投棄するという無駄が発生していたが、アニメ『機動戦士ガンダム』第27話、第28話では、右腕から左腕のシールドにジョイントで2枚重ねに装着し直す案がアムロ・レイから提出され、実現に至っている。なお、それ以前の第24話、第25話では、Gアーマーで出撃した際左側面に被弾し、右腕のシールドが失われた状態からボルトアウトするという描写になっている。

  • ホワイトベース

    • Height93 m
    • Weight32000 t
    • Pilotブライト・ノア

    地球連邦軍所属のペガサス級強襲揚陸艦2番艦。一部資料ではホワイトベース級1番艦として分類されることもあり、宇宙戦艦(SBB)、宇宙空母(SCV)、宇宙攻撃空母(SCVA)、MS搭載強襲揚陸艦(LMSD)、RX-MS用強襲揚陸艦などさまざまな名称で呼ばれる。小説版『機動戦士Ζガンダム』では、本艦の艦種を「強襲用重巡洋艦」と表記しており、これがホワイトベースの特異性をもっとも的確に表している分類ではないかとされる。サイズや重量に関しては旧来より諸説が混在している。

    連邦の宇宙艦としては初めてMSの運用能力を持ち、V作戦のRX計画で製造された「RX-78 ガンダム」、「RX-77 ガンキャノン」、「RX-75 ガンタンク」といったコア・ブロック・システム採用機の搭載を前提とした設備を備えている。

  • Gファイター

    • Pilot--

    GパーツA、Bのみを使用した重戦闘爆撃機形態。GパーツAの無限軌道は機体の内部に引き込み、空気抵抗を受けないように工夫されている。その際、無限軌道は長さ・幅ともに縮む変形機構を持つとも言われる。ジオン公国軍のドダイYS同様、上部にガンダムを乗せてサブフライトシステムとしての運用が可能であり、その際はGパーツB側面のブロックを回転させて前方に移動する

  • プロトタイプガンダム

    • Height18 m
    • Weight43.4 t
    • Pilotファレル・イーハ, タカシ・キタモト

    型式番号:RX-78-1

    資材調達・調整はルナツー、FCSやアビオニクスの開発はオーガスタ基地、全体試作や実働試験はジャブローでおこなわれる。本機は徹底した軽量化が図られるとともに、宇宙空間での戦闘に耐えられるよう腰部と膝に冷却ユニットが設けられ、大気圏突入のための耐熱フィールド・システムも装備されている。また、足首アーマーにはスリット状の姿勢制御バーニアが複数設置されている。

    ジャブローでのロールアウト時の塗装は1号機が黒と銀(「G-1ホワイト」とも言われる)を基調に一部赤、2号機が1号機の黒の部分を白で塗り分けられている。その後1号機は宇宙空間で3日間のテストがおこなわれるが、このときの1号機は顔面が異なる「ロールアウトタイプ1」で、ビーム・ライフルは改修後のものを使用している。しかしジェネレーター出力が安定せず、想定していたビーム・ライフルの高出力での使用に耐えられていない。鹵獲したザクII F型とセイバーフィッシュ2機を仮想敵機とした模擬戦闘の際には、ペイント弾使用のためザク・マシンガンを携行している。

    テスト終了後はサイド7に移送され、1号機は白・青・赤のトリコロール、2号機は1号機の塗り分けに倣えば銀(のちに白)・赤・赤に塗り替えられている。その後、「無駄の整理」が図られるとともにビーム・ライフルに対応する一部仕様変更がおこなわれたRX-78-2に改修されるが、塗装に変更はない。しかしのちに3号機も含めて塗装が統一されている。

    本仕様のコア・ブロックとしてプロトタイプ・コア・ファイター1号機が試験運用されるが、まもなく完成したコア・ファイターに換装されている。

    1号機はサイド7での運用試験のあとは記録がなく、同地でのジオン軍の奇襲により破壊されたとする説もあるが、真相は不明とされる。

  • G-3ガンダム

    • Height18 m
    • Weight47.2 t
    • Pilotジョルジョ・ミゲル, アムロ・レイ. セイラ・マス

    型式番号:RX-78-3

    3号機は当初よりRX-78-2仕様であり、1号機と2号機に遅れてサイド7に搬入されている。塗装は当時の1号機と同様のトリコロール。ジオン軍のサイド7奇襲のその後については、2号機の補修用パーツ供給機としてホワイトベースに搭載されるが、オデッサ作戦に前後して回収され、オーガスタ研究所に移送されたとする説、サイド7で小破するが回収されルナツーに移送されたとする説、外周哨戒中の連邦軍艦隊によってサイド7からRXシリーズの部品・部材がすべて回収され、その中のガンダムの余剰パーツから組み上げられ復元されたとする説がある。前者の説ではガンダムNT-1とデータの互換・補完がおこなわれた後に宇宙へ上げられたとされる。

    その後、ニュータイプの実戦投入を目指し、最新技術を導入した同型改修機として性能向上が図られる。星一号作戦の際に、2号機の雛形あるいはテストベッドとしてマグネット・コーティングがほどこされる。さらに熱核反応炉用のレーザー加速器も新型のものに交換され、2号機の2倍の運動性能を得ることとなる。併せて、性能のバランスを考慮してスラスターも強化されている。教育型コンピューターも新型のものを搭載。これらの改修により、3号機の型式番号はRX-78-3に改められている。また、この頃にはグレーを基調に塗装されているが、資料によっていくつかのパターンが確認でき、現在では一部を薄紫で塗られたパターンが一般的によく知られている。これらの相違は、改修中のカラーリング変更といわれている。

  • ガンダム4号機

    • Height18 m
    • Weight42.6 t
    • Pilotルース・カッセル

    型式番号:RX-78-4

    4号機は素体のままジムの母体となるが、連邦軍はソロモンやア・バオア・クーの攻略、ひいてはジオン本国侵攻の主戦力として、5号機とともに宇宙戦仕様として改修することを決定する。RX-78-2仕様を基本に、ランドセルを換装、スラスターやプロペラントを増設することで、機動力が40パーセント程度アップしている。また、オプションとして両肩にプロペラント・タンクとスラスターが一体化したコンポジット・タンク・ユニットと、ランドセルにプロペラント・タンクを追加することで稼働時間も延長され、要塞攻略戦など長時間に渡る戦闘において多大な戦果が期待されている。コア・ブロック・システムは代替となるコックピットの射出機構の完成やコストの問題から不採用となり、そのために空いたスペースを冷却システムに転用することでジェネレーターも強化され、より強力なビーム兵器の使用が可能となっている。

    4号機はメガ・ビーム・ランチャーを装備するために、さらなるジェネレーターと冷却システムの強化が施されており、そのため胸部インテークの形状が5号機と異なる。しかし、エネルギーCAPの容量不足の問題が解決されぬまま調整が続けられている。塗装は白とグレーを基調に一部が青、インテークやスラスター類などが黄色で塗り分けられている。パイロットはルース・カッセル中尉。

  • ガンダム5号機

    • Height18 m
    • Weight42.9 t
    • Pilotフォルド・ロムフェロー

    型式番号:RX-78-5

    5号機は素体のままジムの母体となるが、その後4号機とほぼ同様の改修を受けている。塗装も4号機と同様だが、青の部分が赤になっている。パイロットはフォルド・ロムフェロー中尉。

  • ガンダム6号機(マドロック)

    • Height18 m
    • Weight47.3 t
    • Pilotエイガー

    型式番号:RX-78-6 / RX-78-G6

    6号機は素体のままジムの母体となるが、その後2号機で得られたデータをもとに再設計される。ビーム・ライフルのエネルギーを使い切り、再チャージされるまでの火力不足を補うため、固定武装の強化を主眼に改修されている。ランドセルはキャノン砲装備の大型のものに換装され、脚部には可変スラスターが装備されている。塗装は白を基調に、濃紺と黄色で塗り分けられている。カメラアイは『ジオニックフロント』では赤だが、媒体によっては緑になっている。開発責任者およびパイロットはエイガー少尉。

  • シャア専用ザク

    • Height17.5 m
    • Weight74.5 t
    • Pilotシャア・アズナブル

    型式番号:MS-06S

    アニメ『機動戦士ガンダム』に登場する「シャア専用ザク」に、『センチュリー』で設定が付与されたもの。型式番号は劇場版第1作のパンフレットで "MS-06(S)" または "MS-06s" と初めて表記された。「シャア専用ザク (II)」「ザクII(シャア・アズナブル専用機)」のほか、「指揮官用ザク」「指揮官型ザクII」とも呼ばれるが、単に「ザクII」とも称される場合もある。指揮官機仕様であるため、括弧書きで「S型」と表記されることが多い。

    この機体は中隊長クラスの優秀なパイロットの要請に応じて開発されたタイプ。当初はC型を発展させた高機動型(R型)の開発が計画されていたが、生産効率の悪さから見送りとなり、代わりに開発されたのがS型である。S型は「R型の設計思想をF型の設備で生産する」形で作られた先行試作型であり、機動性向上の技術開発の実戦投入試験機という側面も持つ。

    S型はF型をベースに、推進エンジンの出力を30%向上させ、特殊材料を用いることで高性能化が図られている。外観はF型とほとんど変わらないが、内部構造には特殊な部品が多用され、機体性能はおよそ20%向上している。基本的なユニット規格を維持したまま高性能化を実現しており、F型との部品共有率は80~90%と高く、部品の代用が可能となっている。装甲材の改良も施されている一方、高性能化により非常に扱いにくい機体となり、初心者ではまともに運用できなかったとされる。

    本機は大気圏内外の環境に対応できるノンオプションの高級機であり、戦闘時のスラスター使用を調整することで稼働時間を延ばせるため、運用したパイロットからは高評価を得ている。

    グラナダの実験場でテストが行われ、脚部スラスターの最適な運用方法などが実戦データによって改良された。改修後の仕様が基本構造として採用され、本格的な生産が開始されたのは宇宙世紀0078年後半。一年戦争勃発前後の数か月間で集中して実戦配備され、約100機が生産された。緒戦で目覚ましい戦果を挙げ、おもに指揮官向けに配備されたため「指揮官用ザク」とも呼ばれるが、これは通称であり制式名称ではない。

    FS型とともに、新鋭機の秘密保持のためすべてジオン本国で生産され、開戦初期には情報操作としてF型として運用された事例もある。一年戦争では多くの活躍を見せた機体の一つである。

  • シャア専用ゲルググ

    • Height19.2 m
    • Weight42.1 t
    • Pilotシャア・アズナブル

    型式番号:YMS-14/ MS-14S

    『機動戦士ガンダム』劇中でシャア・アズナブル大佐が搭乗する機体。B型およびC型バックパックを装備していない基本仕様であるため、「MS-14S 指揮官用ゲルググ」として区別される。一部資料では本機を「YMS-14A」と表記するものもある。カラーリングはこれまでのシャア専用機とほぼ同じであり、シャアの象徴的な赤を基調としている。

  • ジオング

    • Height17.3 m
    • Weight151.2 t
    • Pilotシャア・アズナブル

    型式番号:MSN-02 / MS-16X / MS-X16

    一年戦争末期、ジオン公国軍はニュータイプを兵器として投入するため、サイコミュ・システムを搭載したMSの開発を計画する。計画案は仮の型式番号として "MS-16X" で承認され、先行して「ジオング」の名称も付けられている。これについては、究極のMSにジオン公国の名を冠することによる国民の士気高揚を意図するものとする説、公国の基本理念である「ニュータイプの発現」を証明するMSとして開発されたためとする説、公国軍における次世代MSとなることを祈念したとする説がある。

    サイコミュ・システムの試作に関しては、当面のデータ収集とビーム兵器のテストを兼ね、中型戦闘機、MAブラウ・ブロ、そしてサイコミュ試験用ザク(のちにサイコミュ高機動試験用ザクに改修)の3つの母機が用意されている。このうちサイコミュ試験用ザクと本機の開発は「ビショップ計画」のコードネームで、総帥直属の本国防空本隊の誘導兵器開発部の管理下で進行する。

    機体各部に計13門ものメガ粒子砲を装備するためにジェネレーターは大型化され、通常のMSの3.8倍ものキャパシティで設計がおこなわれている。また、純粋な宇宙戦用として通常は歩行ユニット(脚部)は搭載されず、代わりに可変式のメイン・ロケット・モーターが搭載されている。陸戦用の歩行ユニットを装着する場合は、このユニットごと交換する。腰部スカートが大型化されて大推力エンジンが集中されており、脚部装着時はこちらがメイン・スラスターとなる。

    サイコミュ(高機動)試験用ザクによるデータ収集が進むうち、本機の制式な型式番号として "MSN-02" が与えられる。しかし、A級ニュータイプであるララァ・スンの出現と、それにともなう無線誘導サイコミュの完成により、本機は完成直前にプロジェクト・チームの一部を残してア・バオア・クーの本国防空隊の工廠に預けられ、一般兵士用として研究が続行される。搭載されたサイコミュに適合するパイロットが得られないまま、空間戦闘やビームの試射といった実用試験がおこなわれるが、その後のア・バオア・クー防衛戦では、稼働状態にあった3機のうち1号機がシャアによる搭乗で実戦参加している。残りは工廠内にて大破・消失したといわれ、擱座状態で発見された機体は戦後の調査で2号機とされる。

  • シャア専用ズゴック

    • Height18.4 m
    • Weight65.1 t
    • Pilotシャア・アズナブル

    型式番号:MSM-07S

    テレビ版第29話「ジャブローに散る!」(『劇場版 機動戦士ガンダムII 哀・戦士編』)にも登場。テレビ版ではマッドアングラー隊にゾックとズゴック各1機が補充された。シャア・アズナブルは赤く塗装された専用のズゴック(S型)に搭乗し、ジャブロー攻略に参加する。テレビ版ではシャアの部下として2機のズゴックが登場し、シャアと共にガウ攻撃空母から降下した。リー・ホワン搭乗機は対空砲火で降下中に撃墜され、ジッタル機は着水するも連邦軍防衛施設から発射された魚雷の直撃で撃破された。

    僚機を失ったシャアは、ボラスキニフ曹長らの先発隊と合流しジャブロー内部に潜入。そこで61式戦車を投げ捨てるなどの戦闘を繰り広げ、ジム数機を撃破。ジムのビーム攻撃を回避しながら懐に入り、アイアンネイルでジムを一撃で倒した。シャア専用機はその後ガンダムと交戦するが、ウッディ大尉のファンファンに攻撃されメインカメラを破壊され、撤退を余儀なくされた。劇場版ではメインカメラを破壊されず戦闘を続けるが、ビームサーベルで右腕を切断されバランサーが狂い、撤退する形となった。

    テレビ版第30話では、修理されたシャア専用機が第二次攻撃隊のアッガイ部隊を率いて再びジャブローに潜入する。しかし、潜入作戦は失敗し、脱出中にガンダムに発見され戦闘に突入。アッガイ部隊は全滅し、シャア専用機も右腕を切断された状態で脱出する。その後、シャア専用ズゴックは登場しなくなる。

     

  • ザクII

    • Height17.5 m
    • Weight58.1 t
    • Pilotジオン公国軍一般兵士

    型式番号:MS-06

    ジオン公国軍はMS-05 ザクIを開発して実戦投入した後、熱核反応炉を更新し、パイプを利用した冷却システムを導入した新型機としてMS-06 ザクIIを開発した。MS-06はMS-05から全面的な再設計が行われており、完成時の形状が異なることから新たな型式番号が与えられた。

    MS-06 ザクIIの初の量産型はA型であり、さほど生産されなかった同機を引き継ぐ形でC型が生産され、開戦初期の主力として運用された。そしてC型と同様の外観を持ちながらも、もっとも生産された機種がF型(MS-06F)である。

    U.C.0079年1月からの一年戦争開戦後、ブリティッシュ作戦を敢行した一週間戦争時点でMS-06はA、C、F型が運用されていた。また、ブリティッシュ作戦に従軍した本機の部隊は、長時間の冷却剤タンクを背負っての作業中に次々と連邦軍に撃墜され、優秀なパイロットを同時に多数失った。

    MS-06 ザクIIは一年戦争中、派生機を含めた連邦・ジオン両軍を通じて最高の生産数を記録したとされる。総生産数については諸説あり、『GUNDAM CENTURY』ではザクIを含めて約8,000機、そのうちF型は3,246機で最多としている。一方、バンダイ発行のB-CLUB70号では派生機を含めた総生産数を4,000機としており、それに次ぐのが派生機を含めた総生産数3,800機とされるジムである。

     

  • グフ

    • Height18.7 m
    • Weight58.5 t
    • Pilotランバ・ラル

    型式番号:YMS-07B / MS-07B

    ジオン公国軍は独立戦争における地球侵攻作戦用に、ザクII(F型)の改修型である陸戦型(J型)を開発したが、汎用型であるザクIIには基本設計に削除不能な部分が多く、性能に限界があった。そのため、ジオニック社ではJ型の生産と並行して、J型を全面改修した新型陸戦用MSの開発が進められた。また、ジオン軍は連邦軍もMSを開発することを予測し、対MS戦も視野に入れて開発を進めている。

    この新型MSは、ザクIIの基本設計をもとに、陸戦用MSという目的を徹底的に追求した構造となっており、新造パーツは60パーセント以上におよぶ。地上での冷却効率の悪さに対応するためラジエーターを大型化し、ロケット燃料タンクの容量を減らし、無重力区域での走行用マグネットを省略している。また、南極条約の締結を受け、対放射線能力が低い代わりに強化された装甲を採用。格闘戦用に部分的な強化も施されたが、過度の重装甲は避け、シールドはオプションとしている。

    試作1号機(YMS-07A)から両肩のスパイク・アーマーと頭頂部のブレード・アンテナが装備され、試作3号機(YMS-07B)で両腕への固定武装の装備と外装の整理が行われ、一般的に知られるグフの外観が完成。ランバ・ラルが搭乗したのもこのYMS-07Bである。

    宇宙世紀0079年初頭にMS-07Bとして制式採用され、量産化が開始された。生産には月面のグラナダや北米のキャリフォルニアベースにあったザクII J型の生産ラインが転用されている。実戦配備は3月18日の第3次地球降下作戦から始まり、おもに北米やアジア方面で運用された。しかし、近接戦闘に特化した兵装や機体特性のため操縦難度が高く、熟練パイロット以外には十分に使いこなせない点、運用コストの高騰などの問題から、オデッサ戦以降の生産ラインは縮小。ドムの登場がその流れに拍車をかけた。生産機数は不明だが、それほど多くないとされる。一年戦争後期には宇宙用として改造するプランがあったとする説もある。

    汎用性の低さと操縦の癖から本機が主力機になることはなく、主力機の座はより扱いやすく移動速度の高いドムに譲られた。しかし、縦方向の機動性能の高さを好むエースパイロットには愛用され、ドムの登場後も本機を運用する例が見られた。

  • ドム

    • Height18.6 m
    • Weight62.6 t
    • Pilotガイア, オルテガ, マッシュ

    型式番号:MS-09 / MS-09B

    ザクやグフなどのMSは、重力下における展開速度が遅いという大きな問題を抱えていた。これらのMSは主に歩行や車両による運搬で移動を行うが、戦場での迅速な展開には適していなかった。この問題を解決するため、MSの自力飛行を目指したグフ飛行試験型が開発されたが失敗に終わり、その代替としてド・ダイYSといったサブフライトシステムとの連携運用により問題が部分的に解消されている。しかし、抜本的な解決策として、ツィマット社がホバークラフト技術を応用したMSの開発を開始した。

    当初は純粋なホバークラフトの設計が考案されたが、兵器搭載量の不足が課題となり却下され、最終的には熱核ジェット・エンジンにホバークラフト技術を組み合わせた設計に落ち着いた。この熱核ジェット・エンジンは高い推力を実現し、地上での高速移動を可能にする。

    初期のデザインは高機動型ザクII(R-2型)に近いボリュームだったが、試作機の改良過程でプロポーションが修正された。高速移動時の余剰モーメントを抑えるため、大型シールドなどの偏った装備を避け、装甲を左右対称かつ強化する方向で設計が進められた。また、各種スラスターや内装構造の強化に伴い、フレームには既存機体を上回る堅牢さが求められ、自重増加は設計段階で判明していた。ツィマット社の独創的な技術や高い整備性は、この設計を後の宇宙戦用MSとして発展させる下地となった。

    コンパクトな熱核ジェット・エンジンの開発は困難を極めたが、開戦後半年以上を経てプロトタイプが完成。その後、各部スラスターや動力パイプが内装され、装甲形状も空力特性を考慮して見直された後、制式採用され、グラナダとキャリフォルニアベースで生産が開始された。本機は「局地戦用MS」として設計されたが、その高性能ゆえにグフに替わる主力機としても運用された。

    本機の標準塗装は黒と薄紫を基調に、胸部はグレー、モノアイ周縁や装甲の内側が赤で塗り分けられている。この配色は、初めて本機を受領した「黒い三連星」の専用カラーリングとして知られているが、実際には配色は以前から決定されていたとされる。後にメディアによる憶測が定説化したことが、研究者によって指摘されている。

  • ギャン

    • Height19.9 m
    • Weight52.7 t
    • Pilotマ・クベ

    型式番号:YMS-15

    ツィマット社が一年戦争後期にジオン公国軍の「第2期主力MS開発計画」に基づいて開発した機体。もともとはMS-X10の型式番号で開発されており、ザクとの競合機が原型とする説もある。連邦軍のRXタイプMS(特にガンダム)との戦闘に備え、高度な白兵戦能力を持つ機体として設計された。

    一年戦争中期に公国軍に提出された次期主力空間戦闘用MSプランには、高機動型ザクII(R-2型)、リック・ドム、MS-11(ゲルググ)が含まれていた。しかし、連邦軍RXタイプMSの出現を受け、軍は「ビーム兵器を携行可能なMS」を要望するようになり、ゲルググがMS-14として発展する形で、本機との競作が行われた。

    コンペティションの結果、本機の運動性能は高く評価されたものの、空間戦闘能力や汎用性の面でゲルググに劣り、加えてビーム・ライフルのドライブ要件を満たせなかったため、総合性能で勝るゲルググが制式採用された。ただし、当初から本命はゲルググであり、本機との競作は形式的なものであったともいわれる。

    本機の開発において、ゲルググのスラスター技術はツィマット社の技術が採用されており、自社が開発に関与したMSに自社のMSで挑む形となった背景は「謎めいている」とも評される。ただし、当時の公国系MS開発では技術交流が強制されており、各社の技術や人材が総動員されていたため、本機を純粋なツィマット社製と分類するのは難しい。

    本機が近接戦闘を重視して設計された理由として、リック・ドムの支援砲撃のもと、敵陣に突入して格闘戦に持ち込む戦術思想があったとされる。また、リック・ドムを「対艦攻撃機」、本機を対MS用の「戦闘機」として位置付けた運用構想が提案されたという説もあるが、ジオン公国軍では異なる機能を持つMSの連携戦術は採用されなかった。

    生産数は1機説と3機説があるが、少なくとも1機がマ・クベ大佐の専用機として改修され、実戦に投入されている。

    本機はコンペティションでは敗れたものの、その対MS能力は一部の公国系技術者から高く評価された。その後、ペズン計画で本機とゲルググのハイブリッド機「ガルバルディ(α)」が開発され、さらにアナハイム・エレクトロニクスでは本機の設計をベースにガンダム開発計画初期の「ガンダム開発試験0番機(エンゲージゼロ)」が開発された。また、ネオ・ジオン軍では本機の設計思想を継承した「R・ジャジャ」が開発されるなど、本機の影響は広範囲に及んでいる。

  • エルメス

    • Height47.7 m
    • Weight163.7 t
    • Pilotララァ・スン

    型式番号:MAN-08 / MAN-X8 / MA-05E

    一年戦争末期に、ジオン公国軍がブラウ・ブロの流れを汲んでニュータイプ専用MA初の実戦タイプとして開発した機体。本機はブラウ・ブロに比べて小型化されるだけでなく、重量はその10分の1程度と大幅に軽減され、機動兵器としての完成度は大きく高められている。さらに公国軍が開発したニュータイプ用MS・MAの遠隔誘導端末のほとんどは有線式であるが、本機は無線式であり、ニュータイプ用兵器として「究極」とも評される。

    機体制御や火器管制はサイコミュでまかなえるため、コックピット内部は必要最低限の操縦機器のみで、そのほとんどはコンソール類となっている。また、高Gによるパイロットへの負荷を軽減するため、高性能の緩衝装置が設けられている。機体前面は厚い装甲板で覆われており、装甲に弱点を作らないためにスラスター類は宇宙用の機体としては最小限にとどめられ、姿勢制御用スラスターの代わりにジャイロが補助的に作動する。また、機体上部を分離して、脱出コックピット・システムとしての運用が可能となっている。

    フラナガン博士は当初、本機とビットを対MS戦用の兵器とは考えておらず、敵が感知し得ない超遠距離(アウトレンジ)から連邦軍艦艇に一方的に攻撃を加える対艦用兵器として開発している。しかし実戦での初テストにおいて長距離からのビット操作はパイロットに負担をかけることが判明し、操作範囲を狭め負荷が軽減されるように調整を行う(この時点でジオン公国が思い描いていたニュータイプ専用機としての目論見は外れてしまったといっていい)。アウトレンジ攻撃が望めなくなった時点で本機は、対MS戦も視野に入れて運用せざるを得なくなり、それによってビットによるオールレンジ攻撃は生み出されたといえる。

    結果的に本機は戦闘で失われたが、遠隔操作砲台によるオールレンジ攻撃は、ニュータイプ専用機を次のステージに上げる起爆剤となっている。

  • アッガイ

    • Height19.2 m
    • Weight91.6 t
    • Pilotアカハナ

    型式番号:MSM-04

    ジオン軍の水陸両用MSの一つ。元々はMS-07 ズゴックより後に開発がスタートしたが、ズゴックが改良を重ねたことで遅延した一方、本機はMS-06 ザク用のパーツを転用可能であったため、先行して完成した。

    生産はキャリフォルニア・ベースのジオニック社によって行われた。機体調達を容易にするためジェネレーターを新規製造せず、ザク用の熱核反応炉を2基ボディ内に並列搭載している。水陸両用機としては簡易量産機とされ、ザクから多くのパーツが流用されている。ほぼ同サイズのゴッグと比べ、生産性と運用コストの面で優れる。MSとしては初の複座型であり、水陸両用MSの訓練機としても使用された。また、排熱量の低さから熱センサーに感知されにくく、偵察任務にも従事した。外装には電波や赤外線を吸収する塗料が塗られており、ソナーにおいてはクジラと見分けがつかないほどのステルス性を備えている。

    機体の操縦感覚はMS-06に近似しており、コクピットハッチはエレベーター方式を採用している。オペレーティングシステムはMS-06Mのものをベースとしている。

    本機は索敵機能を重視した水陸両用の偵察機としての側面も併せ持ち、多くの作戦に参加したとされる。運動性は陸戦用MSと比較しても遜色がなく、湿地帯を中心とする陸上性能の高さから、ジュアッグやアッグガイのベースとなっている。

  • ザクI

    • Height17.4 m
    • Weight50.3 t
    • Pilotガデム, ジオン公国軍一般兵

    型號:MS-05B

    ジオン公国軍は、地球連邦軍に対する独立戦争に備え、ミノフスキー粒子下における有視界領域での新型戦闘兵器としてジオニック社のZI-XA3をモビルスーツMS-01として採用し、実戦タイプの開発を命じた。それに応え、ジオニック社はYMS-05A「ザク (I)」を提出。一方、ツィマット社は大推力機であるEMS-04「ヅダ」を開発し、宇宙世紀0075年に制式採用の選定試験を実施。性能ではヅダがザクを圧倒しながらも、試験飛行中の事故により安定した性能を発揮したザクが採用される結果となった。

    開発にはジオニック社からジオン公国軍に出向したエリオット・レム少佐が携わっている。初期生産型のMS-05Aを経て、実戦用の後期生産型であるMS-05Bが量産化され、総計として820機が生産された。

    機体各部の動力パイプをすべて装甲内に収納していることによる非効率性や、ジェネレーター出力の低さなど、設計当初から多くの欠点が露見していた。その後の改良により性能全般が向上した「MS-06 ザクII」が完成。これにより一年戦争開戦時にはすでに二線級兵器となっていたが、ザクIIの配備数の少なさから、生産されたほぼ全機が実戦参加している。ザクIIの配備が進むと、補給作業などの二線級任務に回されることが多かった。しかし、大戦後期でもザクIを継続して愛用するベテランパイロットも多く、最終決戦の舞台となるア・バオア・クーでも新鋭機と共に配備され、実戦参加している。また地上戦線にもMSの不足を補うべく、多数が投入されている。標準塗装はグリーンとダーク・ブルーを基調としている。

  • ゴッグ

    • Height18.3 m
    • Weight82.4 t
    • Pilotコーカ・ラサ, マーシー, ジオン公国軍一般兵

    型式番号:MSM-03

    ジオン公国では地上用MSとしてMS-09ドムを開発していたが、同機の核反応炉ではメガ粒子砲を運用可能な出力を得ることはできなかった。反応炉の出力向上には冷却能力の強化が必要であり、最も効率的な方法は冷却水の使用であった。そのため、U.C.0078年11月には海水を冷却に使用可能な水陸両用MSの開発がMIP社とツィマット社に発注された。また、水陸両用MSはメガ粒子砲の運用だけでなく、独力で海中を進行して目的地に到達可能とし、前線基地のない場所での戦闘を可能とする特性を有している。水の抵抗を考慮して頭部は丸い流線形とされ、装備は内装式となった。

    開発はMSM-02水中実験機との競作で行われた。その開発には多くのアースノイド技術者が関与し、MSM-01(MS-06M)ザク・マリンタイプで得られた新素材のデータも反映された。その後、ツィマット社でプロトタイプ1号機が完成し、リゾートコロニー「海」でテストを行った後、地上へ降ろされてテストを継続した。先行型とMSM-02はともに少数が生産され、その2か月後には生産ラインを後期型に集中させた。量産は3月から開始され、5月には地中海やメキシコ湾を中心に実戦配備された。

    水中での活動時間は長く、推進には胴体結合部から吸入した水を反応炉の高熱で蒸発させて噴射する水流ジェットエンジンを採用している。

    他のMSMシリーズと同様にフレキシブル・ベロウズ・リムという伸縮可能な蛇腹状の多重関節構造を採用しており、水中での抵抗軽減やクローを使用した格闘性の向上に寄与している。また、この機構により両腕・両脚を格納し、水中での抵抗を低減するよう設計されている。

    陸上での活動時には本体内のバラストタンクに冷却水を貯めて行動するため、1~2時間の活動が限度となる。反応炉の冷却上の制限から陸上での活動時間は短く、機体重量が影響して俊敏な動作は難しい。しかし、耐圧用の設計が近接戦闘時には十分な防御力を発揮する。行動範囲は海や河川地帯周辺に限定されるが、装甲と馬力はザクを上回り、連邦軍の拠点破壊や重装甲を生かした上陸侵攻作戦で活躍した。

  • ズゴック

    • Height18.4 m
    • Weight65.1 t
    • Pilotジオン公国軍一般兵

    型式番号:MSM-07

    MIP社が開発を担当した重MSの1つ。第1期の水陸両用MSであるゴッグと異なり、アッガイと同じく第2期開発の機体として扱われる。最終設計にはゴッグで得られた実戦データを元に改良が重ねられたが、そのため開発が遅延し、完成はアッガイが先行した。元々はMSM-04の型式番号が予定されていたが、開発の遅延によりゴッグの後期型と同時期の生産となった。生産はキャリフォルニアベースが担当。

    水陸両用MSの中では陸戦に主眼が置かれており、空冷式と水冷式のラジエーターを併用。熱核水流ジェットに加えて、ジャンプ用の化学燃料ロケットを有する。また、ゴッグでは対応できなかった対空戦闘や航空・水上捜索も充分に行えるよう設計されている。単機当たりのスペックは、同時期に地球連邦軍で量産されたMSを凌駕している。

    各地の潜水部隊に配備され、強襲作戦や上陸作戦に従事。MSMシリーズ中最高の戦闘力を有し、熟練パイロットによってはザクを凌駕する戦果を挙げた。後期には反応炉の出力向上、運動性の改良、装甲材質の変更を施したMSM-07Sに生産が切り替えられている。MSM-07S型の中でもシャア・アズナブル専用機には、20%のチューンナップが施されている。

    高性能な反面、操縦性には癖が強く、ゴッグとパーツ互換性がないためコストは高いとされている。

  • ゾック

    • Height23.9 m
    • Weight167.6 t
    • Pilotボラスキニフ

    型式番号:MSM-10

    超大型熱核反応炉を有する重MS。生産はキャリフォルニアベースで行われた。一年戦争当時のMSとしては破格のジェネレーター出力を持ち、9門のメガ粒子砲を装備しているが、その代償として機体は肥大化している。敵の包囲攻撃に対処するために前後対称構造を採用しており、これは重量による機動性の低下を補うための措置ともされる。

    MSMシリーズの中でも特異なゾックは、手足こそ有するものの脚部が大型ロケットエンジンとなっており、二足歩行はできない。そのため、機体の移動はジャンプ飛行で行われる。さらに、ジオン公国軍の将兵から「クチバシ」と呼ばれる整流殻を装備しており、水中航行時には展開角を変更することで優れた整流効果を発揮。これにより、水陸両用MSの中でも随一の水中性能を有する。

    局地専用のメガ粒子移動砲座とも称されるゾックは、モビルアーマー (MA) 構想確立以前の過渡期に設計された機体であり、小型MAとして位置づけられる。そのため、生産設備はグラブロと同様に艦艇用施設で設けられた。主な任務は、ミノフスキー粒子散布下で浮き砲台として機能し、友軍の上陸作戦を支援することである。

    量産化も決定していたが、試作機は3機に留まり、実戦に参加したのはそのうちの2号機のみとされている。残る1号機と3号機は北大西洋艦隊の潜水艦「マンタレイ」に配備されていたが、1号機は輸送中に連邦軍の対潜攻撃機による襲撃を受け、潜水艦ごと失われたとされる。また、3号機については回収されたとの説もある。

  • リック・ドム

    • Height18.6 m
    • Weight43.8 t
    • Pilotバタシャム, ケリィ・レズナー

    型式番号:MS-09R

    MS-09ドムの宇宙仕様機

    ジオン軍は一週間戦争やルウム戦役で多数のパイロットとザクを喪失し、さらに地上降下作戦の影響で多くのザクを地上に回したことで宇宙戦力が不足した。この戦力不足を補うため、ドズル・ザビの申請により本機の開発が始動した。ザクII F型の後継機開発が遅延していたため、完成したばかりのドムを基に改修し、わずか2か月で開発された。

    RX-78の情報がもたらされた際、次期主力空間戦闘用MSとして本機を含むプランが提出され、高機動型ザクII(R-2型)、MS-14、MS-15と競合した。一方でRX-78の登場後には、ジオン宇宙軍からビーム兵器搭載を求める要望が出たため、次期主力MSの開発スケジュールは先送りされ、生産性の高い本機が暫定的に導入されることとなる。

    本機は、ドムの装備を宇宙用に変更するだけで完成する生産効率の高さと、トータルスペックでツィマット社がジオニック社の高機動型ザクII(R-2型)に競り勝ち、採用された。

    外観上はドムとほとんど差異がないが、脚部や腰部のバーニアが強化され、宇宙用MSとしての性能が向上している。MS-14Aが完成するまでの暫定主力機として活躍し、宇宙戦線での重要な戦力となった。

  • ゲルググ

    • Height19.2 m
    • Weight42.1 t
    • Pilotアナベル・ガトー, マサイ・ンガバ, ディドー・カルトハ, エロ・メロエ他

    型式番号:MS-14A

    一年戦争初期には空間戦闘用MSとしてザクIIが主力となるが、戦争中期に地球連邦軍のMSの情報が入ったことで、次期主力機の開発計画が立ち上がる。連邦軍MSへの対応を目指し、仮承認されたジオニック社のXMS-11がゲルググ開発の起源となった。連邦軍RXシリーズのコンセプトを踏襲し、ビーム兵器の標準装備化や装甲の分離構想が導入されている。この時点で次期主力機としては、ザクIIの性能向上型やリック・ドム、後にギャンと呼ばれる機体の案が並行して提出されたが、本命はあくまでMS-11であり、他案は繋ぎとして扱われた。

    しかし、MS-11の開発が遅延したため、リック・ドムを主力機とする案が出始める。この状況で、ジオニック社はMS-06R-1Aを改修したMS-06R-2 高機動型ザクII(R-2型)にMS-11用ジェネレーターを搭載し、競作機として発表。しかし、MS-06R-2は一部性能でリック・ドムを凌駕するものの、総合性能では劣っていたため、MS-11完成までの繋ぎとしてリック・ドムが採用された。その後、MS-06R-2の技術がフィードバックされ、MS-11の開発が進行。途中で型式番号がMS-14に変更された。

    本機の開発にはジオニック社が基本設計、ツィマット社がスラスターなどの推進部(熱核反応炉もツィマット社によるとする資料もある)、MIP社がビーム兵器の開発を担当。ジオン公国の総力を挙げて開発された。統合整備計画に基づく規格共有化が3社の技術提携を実現し、その成果が本機に反映されている。ただし、ビーム兵器の開発は機体完成より3か月遅れた。

    試作1号機はクリーム・イエローの視認塗装でグラナダ基地での各種試験に参加し、ギャンに圧倒的な差をつけて次期主力MSとして制式採用。数値上の性能はガンダムと同等以上の高性能を誇り、量産が1か月早ければ一年戦争の行方が変わっていたとも評される。

  • ガンペリー

    • Height12.8 m
    • Weight185 t
    • Pilotハヤト・コバヤシ, ジョブ・ジョン, カイ・シデン, イーグル・ロック

    主に汎用輸送機として運用される。3基のローターで上昇し、4基のジェット・エンジンで前進するVTOL機である。左右の2基のローターは格納時には上方に折りたたむことができる。コンテナ内にはMSを1機(漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では2機)収容することができる。コンテナ部分は着脱可能とされる。MSだけでなく人員輸送用としても運用され、胴体部には兵員室があり左右対面式で計12名分のシートがある。

    全長・全幅もモビルスーツを運用するため作られたペガサス級強襲揚陸艦(ホワイトベースなど)への搭載が可能なサイズに収められ、ガンダムの空中換装や分離後のパーツ回収も単機で行うことができるが、ガンキャノンは“ガンキャノン砲(240mm砲)”の砲身が収まらないために輸送することができない(劇場アニメ『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』では、ガンダムと共に輸送できている)。コンテナ左右に大型ミサイル(左右合わせて6発)を搭載した対潜攻撃機としても出撃している。

  • サラミス級宇宙巡洋艦

    • Height61.3 m
    • Weight12100 t
    • Pilot--

    全長:228m
    全幅:62.2m

    宇宙世紀0070年代の軍備増強計画により、マゼラン級宇宙戦艦と共に大量建造された主力艦艇。大艦巨砲主義の性格が色濃いマゼラン級に比べ、速射性能の高い中口径単装メガ粒子砲とファランクスシステムで制御される対宙ミサイルにより、汎用戦闘艦としての優れたポテンシャルを持つ。マゼラン級同様、艦底には大気圏突入カプセルを接続する。一年戦争より前は恐れられたが、電波を利用した精密誘導に頼るこれらの装備はミノフスキー粒子によって無効化され、苦しい近接防空戦闘を恒常的に強いられることになる。しかし、ソロモン攻略戦ではマゼラン級戦艦とともに強大な火力を生かしてグワラン艦隊を撃退するほか、弾かれこそするもののビグ・ザムに対して長距離からのメガ粒子砲をかなりの密度で命中させるなど、本領と言える攻撃力の高さを見せる場面もある。

    なお、メガ粒子砲を単装で艦体各所に装備しているため、ムサイ級軽巡洋艦より死角は少ないが、方向によっては指向可能な数が劣り、全砲塔を一点へ向ける統制射撃が不可能になっている。ただし、各砲塔の射界は広く取られ、砲身の仰角も90度指向可能である。ア・バオア・クー攻略戦の最終局面では、後方への火力に難があるムサイをやや同航体勢から射撃を浴びせ撃破する本級の姿が描かれている。

    後期型はルウム戦役での敗北後、ビンソン計画によって大量に建造される。建造は主に地球上で行われ、ブースターを装着して直接宇宙へ打ち上げられた。打ち上げ時は無防備となるため、敵の攻撃に備えてフレアを散布することもできる。当初はMSの搭載能力はなかったが、一年戦争末期に登場した後期型では艦内部にMSデッキを増設し、艦底部に設けたハッチからジムを投下することが可能となった。さらには、上下の甲板にMSを露天繋止して一斉発進する処置も採られた。この方式には整備などの難点があるものの、本来の運用定数以上のMSを戦場に投入できるメリットがある。また、このタイプでは上甲板の単装メガ粒子砲塔を撤去しているのが特徴である。船体下部の巨大な放熱板は、搭載MSの機体冷却にも有用であった。

    サラミス級巡洋艦は、連邦軍の量産型MSジムやボールなどとともに数多く投入され、その物量の一翼を担った。一年戦争では多数が撃沈されたが、それでも膨大なサラミス級が生き残っている。その後、さまざまな改良と同型新造艦の建造も継続され、本艦型はU.C.153年のザンスカール戦争に至っても現役であり続けた。

     

  • マゼラン級宇宙戦艦

    • Height88 m
    • Weight41000 t
    • Pilot--

    全長265m,全幅67.1m。

    宇宙世紀0070年代の軍備増強計画にて就役した一番艦マゼランを筆頭に、いくつかの種類がある。本級は海上艦に倣った形状(艦尾の推進動力部を除く)だが、正面切った砲戦を前提に避弾経始を重視して極端に薄い艦首から艦橋辺りまで徐々に膨らむ構造を採っている。艦体四面うち三面を上甲板とし、指揮所・砲塔をそれぞれに配置して上下(艦橋←→艦底方向)360度の射界を確保しているが、逆に主砲全門が重複して射界に収められるのは艦首方向の極狭い範囲に限られる。2連装メガ粒子砲塔7基や対空銃座など火力は充実しており、艦隊旗艦や主力艦として配備されている。旧世代の戦艦であるため長距離索敵と誘導兵器の使用を前提としており、外観からもジオン公国の平均的な軍艦に比べレーダーや火力が充実しているのが見てとれる。

    基本的に遮蔽物のない宇宙空間では、いかにモビルスーツ(MS)といえども遠距離で探知され、長射程ビームや誘導ミサイルにより接近する以前に撃墜されてしまうと考えられていた。このため、戦前の連邦軍首脳部はMS戦決戦思想を軽んじてしまった。

    しかし、想定を大幅に上回るジオン軍のミノフスキー粒子を用いた対電子戦により、マゼラン級は本来の持ち味が全く発揮できない状況に追い込まれ、ブリティッシュ作戦やルウム戦役では、MSによりほぼ一方的な惨敗を喫してしまった。そのため本級は不本意にも時代遅れの大艦巨砲主義の象徴、連邦軍の見掛け倒しの弱さの象徴と化してしまった。

    一方で、ソロモン攻略戦でグワジン級グワランを中心とする艦隊をマゼラン・サラミス隊の砲撃戦により撃破しているほか、チベ級を一撃で貫通しそのまま一方的に撃破したりとさすがに攻撃力は高いようである。また無効化されはしたが、ビグ・ザムに対しては長距離からのメガ粒子ビームをかなりの密度で集中させている。

    防御力に関してはテレビシリーズ本編中に確たる描写はないが、後発作品では意外に脆弱で、ビームライフルや通常弾頭のMSバズーカ数発(狙いどころ次第では一発)であえなく爆沈しているシーンがある。ただしこれは連邦艦・ジオン艦共に共通して見られる傾向であり、ムサイやチベ、ザンジバルなども数発あるいは一撃で沈むシーンがよく見られる。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のOVA版では、第1章ではMSの対艦ライフル数発で装甲を撃ち抜かれて大破するなど防御力は脆弱な様子が表現されているが、一方でルウム戦役を描いた第5章や第6章ではムサイ級の砲撃を被弾しながら平然と撃ち返す、MSバズーカを数発被弾しながらなおも対空砲火を打ち上げるなど、「戦艦」の名に相応しい防御力を有することが描写されている。

    ちなみに、ビンソン計画での建造艦はMS運用能力を付与されている。主に艦底部のバルジ部分をMSのハンガーブロックに改造し、簡易的なMS運用能力を得たほか、艦橋前部からボールを発進させることが可能となっている。また実戦ではMSの投入量を補うべく、甲板にMSを露天繋止し、戦闘時に一斉に発進させる様子も描かれている。

    一年戦争時に存在したその他の派生型として、『モビルスーツバリエーション』では宇宙空母型であるトラファルガ級全通甲板型支援巡洋艦が設定されている。

  • アッザム

    • Height24 m
    • Weight860 t
    • Pilotマ・クベ, キシリア・ザビ

    型號:MAX-03

    全幅 55.9m。

    月面に配備されていた移動式対地攻撃兵器ルナタンクを元に開発された機動砲座。

    ルナタンクからの改修にあたり、本機には地上での運用に耐え得る変更が行われている。大出力のジェネレーターとミノフスキー・クラフト、メガ粒子砲を採用したほか、ロケット・エンジンを廃して8基のホバーエンジンを導入した。ルナタンクで最大のスペースを占めていた燃料タンクは撤去され、アッザム・リーダー、ミノフスキー粒子発生装置、パワーフィールドジェネレーターが収容されている。コクピットの基本はルナタンクと大きな差異はないが、表示方式やコントロールを改修しているほか、乗員は操縦士と射撃手の2名(非常時にはオートパイロット機能を使用して1名での運用も可能)であった。

    搭載されたミノフスキー・クラフトは本機の巨体を浮遊させることに成功しているものの、実験段階のものであるため、50分以上の飛行はできない。また、飛行のために十分な装甲が施されていない。本機はモビルアーマー構想が確立される前の機体であったものの、MA第1号として扱われる。2機が製造され、そのうち1機は中部アジアで交戦した。本来は対トーチカ兵器として使用されるはずだったが、偶然にもガンダムと交戦することになった。

  • グラブロ

    • Height26.1 m
    • Weight324.1 t
    • Pilotフラナガン・ブーン, トクワン(オリジン版)

    型式番号:MAM-07

    水陸両用MSと同時期に開発され、初めて実戦投入された水中用MAである。ジオン公国軍ではコストの問題から特定の運用に限定した複数のMA開発計画が同時に進行しており、その中で本機が最も早く完成する。開発は先行していた同じMIP社製のビグロをベースに行われ、開発着手から1か月半という短期間で完成している。連邦軍の南米大陸からの海上交通線を攻略し、連邦欧州軍の体力をそぎ落とす任務を想定されていた。

    機首の嘴状の部分に遠距離ソナーを備え、推進には水陸両用MSと同様に熱核水流ジェットエンジンを用い、単独で地球一周が可能なほどの航続距離を備える。また、水中での高速戦闘を得意とし、火力・運動性能ともに同時代の水陸両用MSを凌駕する。その一方で、水中・水上以外では行動不可能な弱点を併せ持つ。小型潜水艦並のサイズでありながら航続距離においては中型潜水艦をしのぎ、大型艦艇並の戦力を有している。

    サンディエゴ基地の潜水艦ドックで計3機が建造され、メキシコ湾を拠点とした大西洋上でテストが行われた。うち1機はマッド・アングラー隊に支給され、ホワイトベース隊と交戦し撃破されている。残りは連邦軍の海上艦隊に対しての攻撃に使用され、マダガスカル沖で終戦を迎え、接収されている。

  • ムサイ級軽巡洋艦

    • Height65 m
    • Pilotドズル・ザビ

    全幅 103.2m,全長 234m。

    モビルスーツ (MS) の運用を前提に開発された軽巡洋艦。艦の形状は、主艦体後方上部から支柱が伸び、その最上部に艦橋を備え、そこから左右下方に板状の支柱が伸び、それぞれの先端に熱核融合ロケットエンジンを搭載している。艦橋直下にはMSデッキがあり、艦後方へMSを射出可能。また、側面には左右3か所ずつ補給ハッチが設けられ、パプア級補給艦との間でコンベアパイプによる物資の直接搬入が可能である。艦首下部にはコムサイと呼ばれる大気圏突入カプセルを搭載している。

    標準的な艦では、MSをデッキに4機、コムサイに2機収納可能。ただし、コムサイを切り離さないと収納ハッチの開閉ができないため、通常はデッキ側にのみ搭載される。第2話では、シャアの指揮するムサイが艦底部(コムサイ接続部後方)のハッチを開放してスレンダーのザクIIを収容する場面が描かれている。ムサイはMSを戦闘空域近くまで運搬することで推進剤を節約し、帰還後は艦内の冷却装置で蓄熱した機体を強制冷却し、円滑な運用を支援している。

    主砲は長砲身で大口径の連装メガ粒子砲3基(6門)を搭載しており、MS運用能力に加えて砲戦能力でもサラミス級を凌駕している。誘導兵器としては対艦/対施設用の145型大型ミサイル、艦隊防空用のCクラス小型ミサイルを搭載。主砲とミサイルランチャーは艦体と艦橋の間に配置されており、砲塔の配置によって前方から側方、斜め後方まで、広範囲に火力を集中できる設計となっている。

    しかし、この設計は死角が多く、特に仰角の狭さが課題となっている。また、対空砲を持たないため、ミノフスキー粒子散布下での敵MSや対艦攻撃艇の接近に対しては無力に近いという弱点を抱えている。

  • ガウ

    • Height72.4 m
    • Weight980 t
    • Pilotダロタ

    ジオン公国が開発した大気圏内用大型輸送機・爆撃機である。ガルダ級登場まではガンダムシリーズ最大の航空機であった。また、熱核反応炉を搭載し、その電力により熱核ジェットエンジン18基を駆動し、ほぼ無限の航続距離を持つとされている。しかし、コロニー内のシミュレーションのみで設計されたため、ドップと同様に揚力だけで飛行を支えるのは不可能であり、全速航行時でも下方ジェット噴射に揚力の30%を頼っていた。ただし、一年戦争後の運用では「年代物の燃費食らい」と評価され、航続距離の話も初期計画における机上の空論に過ぎなかったとされる。

    陸上での長距離移動能力に乏しいモビルスーツ(MS)を運用するために開発され、胴体部にMSを3機(または4機)、両翼にドップ戦闘機をそれぞれ4機搭載可能である。

    空飛ぶ空母のような外観と機動兵器運用能力を持つことから「攻撃空母」と呼ばれる。また、連装メガ粒子砲を3基装備し、絨毯爆撃を市街地廃墟などで展開した。南米の連邦軍総司令部ジャブローに対しては、連邦軍兵士から「定期便」と揶揄されるほど頻繁に爆撃を行った。また、オデッサ戦でも多数投入された。

    構造上、方向転換に垂直尾翼のみを使用するため機動力は非常に低く、鈍重だったとされる。MS発進口を前方に設けたため、MS降下時には速度を時速100km程度に落とさねばならず、この低速がジャブロー強襲作戦中に連邦軍の良い標的となった。また、同作戦中のガウはドップを搭載せず、艦載機発進口のカタパルト上部に空対地ミサイルランチャーを仮設し、MS隊降下の露払いとしてミサイル攻撃を仕掛けた。護衛のドップ部隊は最初からガウの周囲を飛翔していた。

    特筆すべき点として、宇宙往還機の母艦機能がある。大気圏突入カプセル「コムサイ」の空中収容やブースターなしでの弾道飛行のための自力発進が可能である。これにより、航続距離の短いコムサイを連邦軍制空圏手前で回収し、弾道軌道で味方基地近辺に送り出すことでコムサイの生存率が向上した。

    装備の違いによりいくつかのバリエーションが存在するという説もある。

    なお、本機の名称を「ガウ級」と艦船のようにクラス名としたのは『機動戦士ガンダム 公式百科事典』が最初であり、『ジョニー・ライデンの帰還』でもこれに倣っている。

  • ドップ

    • Height4.6 m
    • Weight5.2 t
    • Pilotガルマ・ザビ, ノリス・パッカード

    当初、地上侵攻作戦を予定していなかったジオン公国軍が急造した戦闘機である。地上作戦が膠着化する中、国力の乏しいジオン軍の航空主力機として運用された。

    スペースコロニー国家であるジオンの技術者たちは、大気圏内航空機の開発経験がほとんどなく、試験飛行を行う場所も持たなかったため、コンピューターシミュレーションを基に本機を開発した。その結果、地球上での試験飛行では試作1~4号機がすべて墜落したと記録されている。確認されている最高速度はマッハ5であり、これはテレビ版第22話でオスカが報告している。

    空力特性に乏しい設計であるため、大推力のエンジンと多数の姿勢制御バーニアを用いて無理やり飛行を実現している。このため機体の運動性は高いが、航続距離は非常に短い。そのため、母艦となるガウ攻撃空母のサポートが必要不可欠であった。ミノフスキー粒子が散布された環境での有視界戦闘を前提に設計されており、操縦席は機体上部に大きく突出して広い視界を確保している。

    標準の機体色は緑であるが、ガルマ・ザビ専用機は茶色に塗装されている。

  • マゼラアタック

    • Height13.4 m
    • Weight62 t
    • Pilotクラウレ・ハモン

    型式番号:PVN.42/4

    ジオン公国軍地球方面軍に配備される地上攻撃用の兵器。ジオン軍における主力戦車として位置付ける資料が見られる一方で、実際には歩兵やMSの突入を支援する装甲砲、または自走砲と呼べる兵器とした資料も見られる。また、高価で数不足のMSを補助するべく開発されたとする媒体もみられる。U.C.0079年3月1日の地球侵攻作戦において主力を務めたMS-06FザクII F型の配備数が多くなかったことから、ジオン軍は戦闘車両や航空機で不足分を補っていたとする資料も見られる。

    ルーツはジオン軍M1戦車。車体はマゼラ・トップとマゼラ・ベースの二つから構成され、マゼラ・トップのみを分離して飛行させる事が可能となっている。分離機構は上面装甲の薄い地上戦力を上空から攻撃するための機能だが、飛行時の命中精度は極端に低下し、主砲の有効射程も600mほどとなる。また、飛行時間は5分と短く、戦闘力を失ったマゼラ・ベースを撃破され不時着する機体も多かった。マゼラ・トップ両翼側面にはVTOLエンジンを備え、ヘリコプター同様のホバーも可能。乗員は砲手とパイロットを兼ねる一名。なお、マゼラ・ベース側にも操縦スペースが存在するとした資料も見られる。コクピットはスクリーンを持たないキャノピー目視方式。プラモデルキット『EXモデル 1/144 マゼラアタック』では、マゼラトップのコクピットにパイロットと選択式のカメラセンサーを組み込んだデザインも見られた。

    派生機として、マゼラ・ベースにザクの上半身を載せたザクタンクがある。

  • ザンジバル級機動巡洋艦

    • Height70.5 m
    • Weight24000 t
    • Pilotシャア・アズナブル, ランバ・ラル, マ・クベ

    全長 255m。

    サイド3と地球を結ぶ長大な補給線を維持する目的で開発され、宇宙空間のみならず大気圏突入および大気圏内巡航能力を有する艦である。大気圏内外両用艦としては、ジオン公国軍で唯一のものである。

    艦艇というより航空機に近いデザインを持ち、ミノフスキー・クラフトを装備せず、大気圏内では主翼とリフティングボディによる揚力、および在来型の熱核動力で飛行する。大気圏離脱時には専用のブースターを装着し、カタパルトを使用する必要がある。また、本級の「ケルゲレン」には重力ブロックが設置されている。

    モビルスーツ (MS) の搭載数については諸説あり、6機、3機+モビルアーマー (MA) 2機、9機、12機などとされる。MSカタパルトは装備しておらず、MSは船体側部または下部に設けられたハッチから自力で発進する仕様となっている。武装は前方固定式のメガ粒子砲のほか、主砲と対空砲が格納式で装備されている。主砲については、地上での間接照準射撃を考慮し火薬式の実体弾砲を採用しているとされる説もある。

    艦首両舷には埋め込み式の超大型ミサイル「Jミサイル」を1発ずつ配備。また、武装の仕様には艦ごとの差異があり、メガ粒子砲の代わりに巨大投光器を装備していた艦が存在するなどのバリエーションも確認されている。

  • グワジン

    • Height67.6 m
    • Weight35000 t
    • Pilotデギン・ソド・ザビ, ギレン・ザビ, キシリア・ザビ, ドズル・ザビ

    全長 294m,全幅 214.6m。

    艦隊旗艦として建造された艦であり、完成と同時にもともと戦艦であったチベ級が重巡洋艦に艦種変更されている。ジオン公国軍艦艇の中でも特に強力な艦とされ、艦底部にモビルスーツ(MS)を多数搭載可能で、その数は資料によって10機、約20機、24機などとされている。また、連装メガ粒子主砲3基、連装メガ粒子副砲10基、ミサイルランチャーなど豊富な個艦火力を持つ。副砲はムサイ級の主砲を改良したものを使用しているとの説もある。

    外観上の特徴として、球形の大型燃料タンクを持ち、無補給で火星と木星の間のアステロイドベルトまで到達可能な長大な航続力を備えている。この点から、本艦を「万一の事態を考慮したザビ家の脱出措置」とする資料も存在する。

    大きく翼を広げた艦形は、もともと大気圏突入・飛行能力を想定して設計された名残である。艦首には地上との連絡用として大型宇宙往還機が接続されているが、本編では使用されていない。また、建造には手間がかかるため、グワジン級への座乗はザビ家とその信頼を受けた重要な部下のみに許されている。

    宇宙世紀0076年3月に1番艦が就役。建造数については8隻または10隻以上との説があり、少なくとも開戦時にはジオン公国が8隻の戦艦を保有していた。ルウム戦役にはグワランを含む3隻または4隻が参加したとされる。ソロモン攻防戦ではグワランなどグワジン級以下3隻、ア・バオア・クー攻防戦ではグワデン、アサルム、グワリブ、グワジンなど4隻以上が参加している。アニメ『機動戦士ガンダム』では、ア・バオア・クーにおいてキシリアのグワジンが到着する前に3隻が同時に登場する場面が描かれている。戦後は、アサルムなど数隻がアクシズへ向かい地球圏を離脱した。

  • ビグロ

    • Height23.6 m
    • Weight125.5 t
    • Pilotトクワン, グレニス・エスコット

    型式番号:MA-05

    最初に実用化された宇宙戦用MA。既存の宇宙ポッドを発展させた機体となる。始祖となる機体はザクIの原型機と制式採用を争ったMIP社のMIP-X1であり、MSと比較して汎用性は劣るものの、大加速を用いた一撃離脱戦闘においては優れるところがあり、MSに続く次世代機として実戦投入が決定する。ビグロはその唯一の実戦配備型である。

    2基の熱核ロケットエンジンの大推力を有し、短いボディとAMBACを組み合わせることにより、180度姿勢変換に1.3秒の高機動性を獲得。一撃離脱戦法を得意とするが、高い機動性ゆえに並のパイロットではそのGに耐えられない。開発は北米のキャリフォルニアベースで行われ、実用試験の終了後に初期型14機が生産され、本国に送られた。数機は次期MA開発用にテストタイプとしてYMA-06などの仮ナンバーが与えられ、グラナダでの各種実験に用いられる。MAへのサイコミュ搭載プランの一環でその搭載も検討されていたが、加速性能の低下が原因で候補から外される。また、水中用MAグラブロは、本機をベースに開発された。

  • ザクレロ

    • Weight185 t
    • Pilotデミトリー

    型式番号:MA-04X

    全長25m。

    ジオン軍の宇宙戦用MA。ビグロやグラブロに先駆けて開発された。開発に当たっては、ヨッフム家が資金的な援助を行った。数度に渡る設計変更や開発メーカーの不手際などが重なり、大幅に遅れて完成した。メインカメラはモノアイではなく複眼を採用。高速で移動し、拡散メガ粒子砲またはヒート・ナタで敵機を撃破する一撃離脱戦法が想定されていた。大推力のスラスターを有するが、機体背部の姿勢制御バーニアをもってしても短時間の姿勢転換は難しかった。加えてメガ粒子砲の仕様もあり、小型宇宙艇レベルの機体と判断されたザクレロは制式採用には至らず、宇宙空間でのテストを前に開発途中で放棄された。軍が機体性能に疑問を持ったため型式番号を与えなかったとも言われていたが、その後MA-04Xという型式番号が設定されている。

    開発放棄後は各種武装のテストベースに用いられ、キャリフォルニアベース第3テストセンターで拡散メガ粒子砲のテストが4回行われている。その後、ザンジバル級機動巡洋艦に搭載され、フロリダのケープカナベラル宇宙基地からジオン本国へ送られることになったが、その途中で無断出撃により失われている。

  • ビグ・ザム

    • Height59.6 m
    • Weight1021.2 t
    • Pilotドズル・ザビ, マイヤー

    型式番号:MA-08

    ビグ・ザムは攻撃力重視のコンセプトを末端拡大化した産物であり、一年戦争において開発された戦術兵器では最大かつ最強と推察されている。機体としては対要塞攻撃用、要塞防衛用とされる。メガ粒子砲やIフィールド発生器といった重武装を有するが、その一方で生産コストは1機でムサイ級二隻分と高騰。また、宇宙空間では冷却能力に課題が残り、最大稼動時間はわずか20分以下であった。

    乗員はメインパイロット1人とサブオペレーター2人の3人。高度な操縦システムを有するため、コクピットの大きさは突撃艇並となっている。また、脚部は歩行ユニットであるとともに質量移動による姿勢制御システムの一部であり、緊急時には切り離す事も可能である。

    開発はア・バオア・クーで行われた。当初の計画では量産化および地上での運用が検討されており、ビグ・ザム1機につきムサイ1隻で運搬、ジャブローへ向け降下させたあとの、中隊規模の部隊編成による要塞の瞬時発見・殲滅という運用が期待されていた。実機がロールアウトしたのは初号機のみとされている。量産型では大気圏突入能力、ミノフスキーフライトによる大気圏飛行と10時間以上の戦闘継続能力を有していたであろうと想像されている。

  • ブラウ・ブロ

    • Height62.4 m
    • Weight1735.3 t
    • Pilotシャリア・ブル, シムス・アル・バハロフ, コワル

    型式番号:MAX-03

    フラナガン機関による協力のもと、キシリア・ザビの命令を受けて開発されたNT専用MAの1機。NT専用MAとしては初の機体であり、武装にエネルギーCAP式ではなく在来型のメガ粒子砲を使用したため、強力なジェネレーターが必要となり、機体は当時のモビルスーツ (MS) の標準的な全高(18m前後)をはるかに上回る規模にまで大型化した。それゆえ、AMBACによる機動は不可能に近く、機体各所に高機動バーニアを採用することで対処している。

    NT能力を有するパイロットが少なかったことから、脱出コクピットシステムを採用している。機体は5つに分離可能であり、それぞれが独立して行動可能となっている。コクピットは既存の兵器ではみられない独自のものであり、同時に開発中だったジオングのものと近似する。サイコミュコントロール用と戦闘専用のサブコクピットと全システムのコントロールが可能なメインコクピットから構成され、乗員は3名。

    NT専用機としては実験用の機体であり、開発は月面のグラナダで行われた。2機が製造されたが、完成したのは一年戦争後期となる。2機ともにサイコミュコントロールのデータ収集に使用され、ジオングやエルメスに生かされた。

  • ダブデ級陸戦艇

    • Height44 m
    • Pilot--

    全長109m,全幅93m。

    『機動戦士ガンダム』などに登場する大型陸戦艇。

    陸戦用であるが、ジオン公国軍や地球連邦軍の双方で「艦艇」とされ、「陸上戦艦」とも形容される。地球連邦軍のビッグ・トレー同様、前線の移動司令基地として開発された。設計段階からミノフスキー粒子散布下での有視界戦闘を考慮しており、ブリッジが上部前方に張り出した特徴的な形状を持つ。移動は2基の巨大なキャタピラで行うが、OVA『MS IGLOO2 重力戦線』版では小型化され6基となっている。高性能エンジンを搭載し、高速移動も可能とされる。塗装は暗緑色。

    主砲として2連装大型砲2基を装備し、これは実体弾式とする説とメガ粒子砲であるとする説がある。また、艦橋両舷には2連装機関砲2基を備え、『MS IGLOO2』版では小型化され6基となっている。主砲発射時には安定ダンパーや打ち込み式のアウトリガーで車体を固定するが、『MS IGLOO2』では移動しながら主砲を水平発射する描写もある。オデッサ作戦時には後部格納庫に巡航ミサイル発射台を装備し、水素爆弾を弾頭とする「水爆ミサイル」を発射している。また、VLS(垂直発射システム)を装備しているとする資料もある。

    艦橋後部には飛行甲板があり、コミュやドラゴン・フライなどのV/STOL連絡機や回転翼機が離着艦可能。後部格納庫には物資の搭載が可能で、『MS IGLOO2』第3話では後部甲板にザク2機を搭載し、陸戦強襲型ガンタンク迎撃のために発進させている。

    本艦はジオン公国軍の地球侵攻作戦による東ヨーロッパ以東の占領後、ロシアの兵器開発局が製造中だったコマンドポストのシャーシなどを流用して開発されたとする資料がある。大型主砲もロシア人技術者の協力によるものとされる。

  • ドロス

    • Height123.7 m
    • Weight144000 t
    • Pilot--

    全長495m,全幅351.5m。

    『機動戦士ガンダム』に登場する、MSやMAの補給・整備を可能とする超大型宇宙空母。「ドロス級」というクラス名は、『モビルスーツバリエーション』の文字設定から由来する。

    テレビ版では第39話に登場し、ギレン・ザビとシャリア・ブルの会話で名称が明らかになる。戦闘艦としては機動力が低く、移動可能な要塞として運用された。一年戦争最大級の艦艇であり、テレビ版第39話では月面都市グラナダに垂直着陸する場面が描かれている。要塞並みの対艦火力を有するが、対空火力は搭載MSによる防衛が主体であった。艦橋は細長いアームで前方に突き出した形状を持つ。艦体色はTV版がブルーグレイ、劇場版ではオリーブグリーンとなっており、エンジン部の赤い塗装の配置にも違いがある。

    TV版第42話では宇宙要塞ア・バオア・クーのNフィールドに配備され、地球連邦軍の星一号作戦(ア・バオア・クー攻略作戦)に対する要塞防衛の要として運用される。ギレンの指揮下でMS隊の出撃を抑え、まずはガトル戦爆を多数発進させる戦術を取った。グワジン級戦艦2隻とともに奮戦するも、連邦軍の集中攻撃を受け撃沈される。この轟沈シーンは『MS IGLOO -黙示録0079-』第3話でCGによるリメイクが行われている。ドロス隊全滅により、戦局は連邦軍有利に傾いた。

    漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、ムサイやザンジバルといった艦艇を多数収容できる超大型移動要塞として描かれている。艦両舷に装備された12門の大型メガ粒子砲は、連邦軍のマゼラン級戦艦を一撃で粉砕する威力を持つ。劇中ではキシリアの指揮の下、グラナダからア・バオア・クー宙域へ援軍として出撃し、連邦軍艦隊を遠距離砲撃で圧倒する活躍を見せた。しかし、ア・バオア・クー陥落直前、キシリアが搭乗していたチベ級重巡「パープル・ウィドウ」がシャアの攻撃を受けて突入爆発し、誘爆が本艦にも及び、最終的に要塞上部に激突して炎上。ア・バオア・クー壊滅の一因となった。

  • ガルバルディα

    • Height18.4 m
    • Weight41.7 t
    • Pilotシャア・アズナブル, パッカデリア, トワニング, フィーリウス・ストリーム

    型式番号:MS-17 MS-17A / MS-17B

    メカニックデザインは大河原邦男。

    ジオン軍の兵器開発計画「ペズン計画」に基づいて開発された機体。外見はギャンとゲルググの中間的なデザインであり、ギャンの後継機とされる一方、統合整備計画の影響でゲルググの生産ラインを流用したため外見が似通ったともいわれる。また、ゲルググの後継機として格闘戦能力を付加した機体ともされている。

    本機は格闘戦を主眼に設計されている。陸戦用のA型は大気圏内での飛行を実現するため、軽量化やスラスターの大推力化が試みられ、ゲルググ同様に前腕部に熱核ジェット・エンジンが追加されるが、結果的に失敗に終わる。その後、宇宙戦用のB型が開発され、従来のMSを凌駕する運動性と機動性を実現。しかし、その高性能はパイロットの肉体的負担を増大させ、限界性能を引き出せずに終わり、実戦では従来機と同等程度の性能しか発揮できなかった。

    当初の名称は「ガルバルディ」であり、一年戦争終結間際に試作機がロールアウト。しかし戦後、連邦軍に接収され、改修型である「ガルバルディβ」が開発されたため、本機は区別のために「ガルバルディα」と呼ばれるようになった。