- Work機動戦士ガンダム
- Height19.9 m
- Weight52.7 t
- Pilotマ・クベ
型式番号:YMS-15
ツィマット社が一年戦争後期にジオン公国軍の「第2期主力MS開発計画」に基づいて開発した機体。もともとはMS-X10の型式番号で開発されており、ザクとの競合機が原型とする説もある。連邦軍のRXタイプMS(特にガンダム)との戦闘に備え、高度な白兵戦能力を持つ機体として設計された。
一年戦争中期に公国軍に提出された次期主力空間戦闘用MSプランには、高機動型ザクII(R-2型)、リック・ドム、MS-11(ゲルググ)が含まれていた。しかし、連邦軍RXタイプMSの出現を受け、軍は「ビーム兵器を携行可能なMS」を要望するようになり、ゲルググがMS-14として発展する形で、本機との競作が行われた。
コンペティションの結果、本機の運動性能は高く評価されたものの、空間戦闘能力や汎用性の面でゲルググに劣り、加えてビーム・ライフルのドライブ要件を満たせなかったため、総合性能で勝るゲルググが制式採用された。ただし、当初から本命はゲルググであり、本機との競作は形式的なものであったともいわれる。
本機の開発において、ゲルググのスラスター技術はツィマット社の技術が採用されており、自社が開発に関与したMSに自社のMSで挑む形となった背景は「謎めいている」とも評される。ただし、当時の公国系MS開発では技術交流が強制されており、各社の技術や人材が総動員されていたため、本機を純粋なツィマット社製と分類するのは難しい。
本機が近接戦闘を重視して設計された理由として、リック・ドムの支援砲撃のもと、敵陣に突入して格闘戦に持ち込む戦術思想があったとされる。また、リック・ドムを「対艦攻撃機」、本機を対MS用の「戦闘機」として位置付けた運用構想が提案されたという説もあるが、ジオン公国軍では異なる機能を持つMSの連携戦術は採用されなかった。
生産数は1機説と3機説があるが、少なくとも1機がマ・クベ大佐の専用機として改修され、実戦に投入されている。
本機はコンペティションでは敗れたものの、その対MS能力は一部の公国系技術者から高く評価された。その後、ペズン計画で本機とゲルググのハイブリッド機「ガルバルディ(α)」が開発され、さらにアナハイム・エレクトロニクスでは本機の設計をベースにガンダム開発計画初期の「ガンダム開発試験0番機(エンゲージゼロ)」が開発された。また、ネオ・ジオン軍では本機の設計思想を継承した「R・ジャジャ」が開発されるなど、本機の影響は広範囲に及んでいる。