
- Work機動戦士ムーンガンダム
- Height17.7 m
- Weight145.8 t
- Pilotアゴス・ラガート, クラース・バッケル, フアン・マハロフ
型式番号:EMS-13
一年戦争後期、公国軍では月面での戦闘を想定し、水陸両用機や陸戦用MSを転用した新型機の開発が急ピッチで進められていた。本機もその流れで誕生したとされるが、ガッシャのようなペズン計画には組み込まれていない。アッガイをベースに再設計された機体で、ステルス機能の有無は不明。形状はより球体に近づき、耐圧性と低視認性を意識したデザインとなっており、装甲は厚く、避弾経始にも優れている。腕部はアッガイに似た構造で、脚部は短く設計されている。
本機は水中戦を主目的として開発されたが、月面戦にも対応できるよう各種改修が施されている。具体的には、アッガイ2機分の水冷式ジェネレーターを空冷式に変更することで、宇宙空間での運用とビーム兵器の使用が可能となっており、この技術は後にカプールなどネオ・ジオン系MSにも応用されている。ロールアウト時には背部にハイドロ・ジェットを2基装備していたが、のちに宇宙用のスラスター4基が追加され、推力はザクIIF2型に匹敵するレベルまで引き上げられた。質量対推力比は、ガザタイプよりも優れているとされる。なお、コックピットは背面に設けられている。
武装は多岐にわたり、左右のクロー・アームにはメガ粒子砲と4連装ミサイル・ランチャー(いずれも既存機からの流用)が内蔵されている。さらに胴体には4門の拡散ビーム砲を搭載。これはゴッグからの技術を引き継いだもので、ビームの収束率が安定しない分、接近して4門を一斉射することで高い威力を発揮する。
宇宙世紀0092年には、ネオ・ジオン過激派の偽装貨物船「アタラント3」に、予備機を含む3機が補充戦力として配備された。しかし、そのずんぐりとした外観は兵士たちに不評であり、「不細工な機体」と評された。だが、補給隊隊長フアン少佐は「ニュータイプが扱えば十分戦力になる」と評価している。
機体そのもののスペックは決して高くはないが、アゴス・ラガートの卓越した操縦技術により、劇中では高い戦果を挙げる。特に閉所戦闘においては、その小柄で短い四肢を活かして天井や壁を自在に移動し、クローを用いた執拗な近接戦を展開する。アゴス機は、「血まみれになったクマのぬいぐるみ」や「ホラー映画に登場する、見た目はコミカルだが凶悪なキャラクター」のような存在感を持ち、彼の隠された狂気を象徴する機体としても描かれている。