テレビ版の第壱話と第弐話に第3使徒として登場する。名前は、ユダヤ・キリスト教の伝承に登場する「水」を司る天使であり、木曜日の守護天使とされる「サキエル」に由来している。
セカンドインパクト以後、約15年ぶりに出現した使徒で、人型の姿をしており、四肢は細長く、首の部分が存在しない。頭部は仮面のような無機質な形状をしており、大腿部には魚の鰓のような器官がある。出現直前の水中航行時には、呼吸するような動きも見せていた。
武装としては、右腕から射出される光のパイルと呼ばれる光線状の槍による長距離攻撃を行う。また、N2地雷によってダメージを受けた際には、体内から新たな顔を出現させ、2つ目の顔から強力な光線を放つことができる。その光線はジオフロント上部の特殊装甲を貫通し、天井に格納されたビルを落下させ、本部上空にまで達する威力を持つ。
第三新東京市に侵攻した際、EVA初号機との戦闘が展開され、初号機の初陣となった。戦闘では初号機の左腕をへし折り、右目を光のパイルで貫いて活動を停止させたが、暴走して再起動した初号機によりA.T.フィールドを破られ、両腕をもぎ取られて動きを封じられた。その後、連続攻撃でコアに亀裂を入れられ、最後は初号機を巻き込みながら自爆した。
テレビ版第参話に第4使徒として登場する。名前は、ユダヤ・キリスト教の伝承において「昼」を司る天使「シャムシエル」に由来している。
外見はイカに近く、筒状の胴体に鞭のような腕部を持ち、頭部と思われる部分には蛇の目のような模様がある。胴体には甲殻類のような多数の脚が見えるが、足と呼べる構造はなく、移動手段は主に飛行となっている(直立状態でもわずかに前進は可能)。
攻撃は主に触手を高周波ブレードのように使用して行われる。海から現れてEVA初号機と交戦し、触手による攻撃やアンビリカルケーブルの切断により初号機を追い詰めたが、最終的には初号機のプログレッシブ・ナイフによる直接攻撃でコアを破壊され、活動を停止。殲滅された。
ただし、コア以外の部位はほぼ無傷だったため、NERVによって使徒のサンプルとして回収された。
テレビ版第伍話・第六話に登場する第5使徒。名前は、ユダヤ・キリスト教の伝承において「雷」を司り、復活を待つ魂を管理し、幻視を司る天使「ラミエル」に由来している。
この使徒は青い正八面体の姿をしており、内部の中心部にコアを有している。強力なA.T.フィールドを展開し、一定距離内に侵入した敵に対しては、長射程かつ高威力の加粒子砲を用いて迎撃を行う。
出現直後に初号機を中破させた後、機体の下部からシールドマシン(直径17.5メートルの巨大ドリル・ブレード)を伸ばし、NERV本部への侵入を試みた。
これに対し、日本全国の電力を集めた「ヤシマ作戦」が実行され、初号機と零号機による超長距離狙撃(ポジトロン・スナイパー・ライフル)によってコアを破壊され、撃破された。
テレビ版第八話に第6使徒として登場する。名前は、ユダヤ・キリスト教の伝承において「魚」を司る天使「ガギエル」に由来している。
外見は深海魚に似ており、クジラのような大きな口を持つ。その頭頂部には、第3使徒サキエルと同様の顔が付いているのが特徴。
加持によって運ばれていたアダムのサンプルを狙い、EVA弐号機(B型装備)を輸送中の艦隊を襲撃。起動した弐号機と交戦し、水中に引きずり込んで噛みついたが、弐号機によって口内を強引にこじ開けられ、その内部にいた戦艦イリノイおよびケンタッキーの2隻から至近距離での同時射撃を受け、殲滅された。第3新東京市への侵攻には至らなかった。
これまでの使徒とは異なり、アダムそのものを狙った唯一の使徒である(それ以前の使徒たちは、実際には「アダム」とされていたリリスを狙っていた)。
テレビ版第九話に第7使徒として登場する。名前は、イスラームにおいて「音楽」を司る天使「イスラーフィール」に由来し、全使徒の中で唯一、イスラームの天使にちなんだ名を持つ。
二足で直立歩行し、弓のように湾曲した腕を持つのが特徴。頭部は存在せず、胸部に赤と青で彩られた太極図のような顔を持ち、その下部にコアが配置されている。攻撃手段としては鋭い爪や、顔から発射する光線を使用する。また、歩行や浮遊によって移動可能であり、さらに同型の2体に分裂する能力を持つ。片方が傷ついても、もう一体が無事であれば即座にダメージを回復するという特性がある。
初登場時は1体のみで襲来し、弐号機によって真っ二つに切断されたが、自身の分裂能力によって2体に分かれ、初号機と弐号機を活動停止に追い込んだ。その後の再出現では、初号機と弐号機によるコアへの同時攻撃(ユニゾン攻撃)を受け、撃破された。
テレビ版第拾話に第8使徒として登場する。名前は、ユダヤ・キリスト教の伝承において「胎児」を司り、天使の牢獄とされる第五天マホンを支配する天使「サンダルフォン」に由来している。
この使徒は浅間山の火口で蛹の状態で発見された。蛹のときは人間に似た形状をしており、指も5本あるように見えるが、羽化後はアノマロカリスとカレイを組み合わせたような外見へと変化する。マグマの中を自由に泳ぎ、さらにその中で口を開けることもできる。
発見当初は蛹のような状態だったため、A-17(使徒捕獲作戦)の対象とされ、捕獲を試みる計画が立てられた。しかし作戦実行中に羽化が始まり、作戦は中断される。その後、捕獲作戦に出撃していた高熱・高圧環境に対応したD型装備の弐号機によって、熱膨張を利用した攻撃により撃破された。
テレビ版第拾弐話に第10使徒として登場する。名前は、ユダヤ・キリスト教の伝承において「空」を司る天使「サハクィエル」に由来している。
この使徒は橙色で、中央に巨大な目を持ち、羽を広げた蝶のような外見をしており、登場した使徒の中でも最大級のサイズを誇る。自身の一部を切り離し、それをA.T.フィールドとともに質量爆弾として地上に落下させるほか、本体そのものをも爆弾として落下させる能力を持っている。
出現当初は、自身の一部を連続的に投下し、着弾点の誤差を修正しながら落下の精度を高めていき、最終的には本体もろとも地上に落下を開始する。しかし、EVA初号機、弐号機、零号機の3機による連携によって本体の落下を受け止められ、最終的にはコアにプログレッシブ・ナイフを突き立てられて撃破された。
テレビ版第拾参話に第11使徒として登場する。名前は、ユダヤ・キリスト教の伝承において「恐怖」を司る天使「イロウエル」に由来している。
この使徒は微生物のような性質を持ち、実体は他の使徒とは異なり、多数のナノマシンによる群体で構成されている。不定形だが、ハッキングの際には集積回路パターンのような形状を形成することがある。自らの弱点となる環境に直面しても、極めて高い速度で自己進化し、群体としての生存を追求する特性を持つ。
NERV本部のメインコンピュータシステム「MAGI」への侵入を目的とし、シグマユニットD-17の第87蛋白壁搬入時に寄生。その後、プリブノーボックスの模擬体を侵食してシグマユニットを汚染し、レーザー攻撃をA.T.フィールドで防ぎ、さらにオゾンを流し込まれても即座に進化して適応する。最終的にはサブコンピュータから保安部メインバンクを経由してMAGIのクラッキングに成功し、メルキオールとバルタザールを制御下に置き、カスパーも掌握することでNERV本部の自爆コマンドを実行しようとした。
しかし、リツコによってカスパーから自滅促進プログラムを注入され、その結果、進化の果て=死に至り、自壊した。
この使徒は、唯一EVAとの直接戦闘を行うことなく殲滅された存在である。また、イロウルの侵入はゲンドウの指示で秘匿され、日本政府と委員会には「探知機による誤報」として報告された。
テレビ版第拾六話に第12使徒として登場する。名前は、ユダヤ・キリスト教の伝承において「夜」を司る天使「レリエル」に由来している。
登場時は空中に浮かぶ白黒のオプ・アート状の模様を持つ球体が本体と思われていたが、実際にはその下に広がる直径680メートル、厚さ3ナノメートルの黒い円盤こそが本体であり、球体はその影像にすぎない。
この球体(影)は攻撃を受ける際、対象を円盤状の本体へ瞬時に転送する能力を持ち、その際にパターン青の反応を示す。本体の内部は無限の虚数空間、いわゆる「ディラックの海」が広がっており、レリエルは使徒の中でも最強クラスのA.T.フィールドを持つ存在とされることが多い。
EVA初号機が影へ攻撃を加えたことで虚数空間に取り込まれ、活動停止に追い込まれるが、その後暴走した初号機により内部から引き裂かれ、殲滅された。
なお、初号機が取り込まれた際、碇シンジが精神世界で出会った幼い姿のシンジについては、使徒が彼を媒介として言語能力を獲得し、コミュニケーションを図ろうとしたものだとされている。
テレビ版第拾八話に第13使徒として登場する。名前は、ユダヤ・キリスト教の伝承において「霰(あられ)」を司る天使「バラキエル」の別称「バルディエル」に由来している。
この使徒は粘菌のような姿をしており、侵蝕型の性質を持つ。侵蝕した物質の性質を変化させたり、生物に寄生することでその身体能力を強化することが可能。寄生されたEVA3号機は、まるで暴走時の初号機のような俊敏な動きを見せ、腕を自在に伸縮させることで高いリーチを活かした戦闘を行い、地中に潜り込んで奇襲を仕掛ける能力も持っていた。
この使徒は、長野県松代での起動実験のためにNERVアメリカ支部から日本に空輸されていたEVA3号機のエントリープラグに侵入・寄生。起動実験中に覚醒し、搭乗していたフォースチルドレン・鈴原トウジごと機体を支配した。
松代で大規模な爆発を引き起こした後、迎撃に出た弐号機と零号機を瞬時に撃破。初号機に対しても攻撃を仕掛け、シンジが中に人が乗っていると知って戦闘を躊躇したために、首を絞めて追い詰めた。
最終的には、ダミープラグが起動された初号機によって暴走に近い状態で攻撃され、EVA3号機もろとも破壊された。エントリープラグに乗っていたトウジは一命を取り留めたものの、左脚を失う結果となった。
テレビ版第拾九話に第14使徒として登場する。名前は、ユダヤ・キリスト教の伝承において「力」を司る天使「ゼルエル」に由来している。
この使徒はずんぐりとした体格を持ち、空中を浮遊しながら行動する。両腕はトイレットペーパーのように折り畳まれた帯状で、これをカッターのように展開して切断攻撃に使用する。髑髏のような顔を持ち、目からは非常に強力な破壊光線を発射可能。その威力は、以前の使徒ラミエルが十数時間かけて掘り進んだジオフロント上部の装甲18層を、一撃で貫通できるほどである。
また、防御力も非常に高く、A.T.フィールドを中和された状態での攻撃にもほとんどダメージを受けない堅牢な外装を持つ。さらに、コアはまぶたのようなシールドで防護可能という特性を持ち、ファンから「最強の使徒」とも評されている。
ジオフロントへ侵入後、迎撃に出たEVA弐号機を圧倒。両腕と頭部を切断して行動不能にし、続けてEVA零号機によるN2爆弾の直接攻撃も、コアに接触する寸前でシールドを展開して無傷で防ぎ、零号機の頭部を切断してこれも撃破。その後、NERV本部内の第一発令所に突入し、ミサトたちに光線を放とうとした瞬間、EVA初号機によって阻止される。
初号機の左腕を吹き飛ばした後、ジオフロントまで押し戻され、一方的に殴られ続けた末に顔を引きちぎられそうになるも、その直前で初号機の電源が切れ反撃を開始。初号機の胸部装甲を破壊し、コアへの攻撃を試みるが、シンジの叫びに反応して初号機が覚醒。ゼルエルの片腕を引き千切り、それを初号機の失われた左腕として吸収してしまう。残った腕で応戦するも、初号機の攻撃によってA.T.フィールドごと肉体を引き裂かれ致命傷を負う。最後は光線を放とうとするも頭部を潰され、初号機に捕食された。
ゼルエルの襲撃は、シンジが再びEVAに乗るきっかけとなった一方で、零号機・弐号機の致命的損壊、NERV本部の半壊、セントラルドグマの露呈など甚大な被害をもたらした。また、アスカがこの使徒に全く太刀打ちできなかったことは彼女の自尊心に深い傷を残し、その後のシンクロ率低下の要因ともなった。
テレビ版第弐拾参話に第16使徒として登場する。名前は、ユダヤ・キリスト教の伝承において「子宮」を司る天使「アルミサエル」に由来している。
この使徒は、DNAに似た二重らせんの円環構造を持ち、プラスミドのような外見をしている。レリエルやアラエルに続いて「人の心」に接近する存在であり、周期的にパターンをオレンジから青へと変化させる。高速移動による体当たりはA.T.フィールドを貫通し、零距離射撃も無効である。
対象を侵食・融合しようとする性質があり、EVA零号機を侵食した後は、レイを依り代として言語能力を獲得した。その際、彼女の情報を読み取った結果、零号機の拘束具が弾け飛び、倒された使徒の集合体のような巨大な肉塊「天使の塔」が現れる。
アルミサエルはEVA零号機を完全に取り込もうとしたが、初号機が救援に向かいA.T.フィールドを展開すると、今度は初号機へ向かって突進。初号機は攻撃を回避するも、接触したことで逆にアルミサエルからの侵食が始まってしまう。初号機にプログレッシブ・ナイフで刺されても侵食は止まらず、レイの情報を取り込んだ結果、アルミサエルの先端は彼女の姿へと変化。最終的には、レイが零号機のA.T.フィールドを反転させることで、アルミサエルを零号機の内部に引き込み、自爆によって殲滅された。
漫画版では、分離能力を有しており、綾波レイの零号機と渚カヲルの弐号機との戦闘において、零号機を侵食、弐号機の左足を破壊。その後、零号機の自爆により撃破された。