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機体リスト
機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト

共收録 18 台の機体。
  • クロスボーン・ガンダムX-0(クロスボーン・ガンダム ゴースト)

    • Height15.9 m
    • Weight9.5 t
    • Pilotカーティス・ロスコ, ビル

    型式番号:XM-X0

    本来は木星戦役時に「X-3」として、マザー・バンガードに送られるはずだったF97の3番機である。

    原因不明の事故により搭載された輸送艦が破損し、20年間行方不明となり土星圏宙域を漂流していたところを、資源探査の名目で宙域を航行していた木星共和国のユピテル財団の探査船に発見され、クロスボーン・ガンダムに強い愛着を持つカーティス・ロスコの搭乗機となる。頭部と胸部のドクロ型レリーフは発見時には付いておらず、その後に追加されたものである(クロスボーン・バンガードの紋章が貼られていた箇所を置き換えている)。ロールアウトから30年が経過した宇宙世紀0153年においては、ジェネレーター出力はゾロアットと同程度、攻撃力も宇宙世紀0133年時程のアドバンテージは無く、総合性能ではむしろゾロアットが上回る、とされる。このため劇中では揶揄される発現もみられる。それでもなお、近接戦特化MSとして生み出されたその機動性は、宇宙世紀0153年でも一線級のレベルを保ってはいる。

    また、コロニー間の都市伝説やローズマリー・スズキの著書「神の雷の真実」など断片的にしか情報がなかったためか、初登場シーンでサンドージュに搭乗したザンスカール兵にVガンダムと勘違いされている。

    機体性能自体はX1〜X3と同じだが、この機体もX3ほどではないものの実験機としての色合いが強く、他の3機と同様にパーツの形状に違いがある。外見上は頭部アンテナや胸部排熱ダクトの形状が異なっており、排熱ダクトの変更は放熱を積極的に推進力に利用することを目的としていたが、目立った効果は出ていない。

    『ゴースト(幽霊)』の名称は、17年前までに全機が失われ、「存在しないはずのクロスボーン・ガンダム」である本機にフォントが付けた「あだ名」である。従って彼以外の者は呼称せず(フォント自身も1度しか『ゴースト』と呼んでいない)、『X-0(エックスオー)』がマンサーナ・フロールでの正式コードとしてつけられている。銀色の塗装は隊長機としての意味合いをもつものであり、ベラ・ロナ専用機を想定したものとされる。

    輸送艦から回収された後、盲目のカーティスが操縦するために、センサーで感知した周囲500m内の情報を立体音響に変換するシステムが追加されており、音声は主にイヤホンやヘッドホンで使用している。ただしデータのない機体などは警告音しか鳴らない。 またコックピットレイアウトは、木星では標準のレイアウトになっており、後の木星製のX-11~X-13も同様の仕様になっている。

  • ファントム

    • Pilotフォント・ボー

    型式番号:EMS-TC02

    サーカスで2番目に認可の下りた機体。機体色は緑。正式な機体名は「ファントム」だが、フォントにより愛称として「ファントムガンダム」の名を与えられる。『ゴースト』の主人公機といえる存在でもあるため、書籍などでも「ファントムガンダム」として紹介されることが多い。後にクロスボーン・ガンダムX-0の補給用パーツを使って、後述の「ゴーストガンダム」に改修される。

    フォントによると「まったく別々の技術で作られた機体のデータを組み合わせて作られた機体」である。その実態は、影のカリストがサナリィ襲撃時に入手したミノフスキー・ドライブ実験機である「F99レコードブレイカー」のデータと、木星製ガンダムである「アマクサ」のデータを掛け合わせて造られた「惑星間高速移動試験機」である。木星圏から地球への航行を目標に、いざというときは連邦に対する単独でのテロ攻撃も視野に入れた、木星の切り札として完成が望まれていた。

    ミノフスキー・ドライブを搭載しているが、木星の技術ではMSサイズでのシステムは完全に再現できず、余剰エネルギーである「光の翼」の噴出が想定以上に不安定になってしまったため、全身に小型の光の翼の吹き出し口を増設(内圧軽減を兼ねたサブスラスターとなっている)し、強力なIフィールド発生装置を組み込む事で、無理やり光の翼を抑え込むという手段が取られた。しかし、不安定な光の翼とIフィールドがぶつかり合いさらに不安定になり、機体各所から展開する光の翼はまるで炎のように揺らめいて見える(通称「ファントムライト」)。木星製のMSでありながらツインアイ状のフェイスをしているのも、自身の発生するビーム粒子からカメラを傷付けないための配慮であり、カバーの下は通常のモノアイである。また、放熱問題が未解決であり、2段階のフェイスオープンによる強制排熱機構を搭載しても完全には放熱しきれず、ミノフスキー・ドライブのフル稼働は精々15分程度と予想されていた。応急処置として、全体を強制冷却するカートリッジが背部にセットされているが、これを用いてもさらに15分延長できる程度である。

    上記のような開発経緯のため、この機体には本来の機体制御用のバイオ・コンピューターと、Iフィールド発生装置増設の際に組み込まれた木星製OSの二つの操作系統が混在している。しかし、上層部が開発を急がせたことによりバイオコンピューターの解析が不十分なままロールアウト、バイオコンピューターの立ち上げはできなかった(8カケのつりばし形のプログラムのピン配線が必要だが、最初期の理論のため木星側の技術者に知る者がいなかった)。最悪、木星OSだけでも通常起動はできると考えられていたが、実際は2種のOSの折り合いが悪かったため起動すらできず、封印されていた。

    主武装は、腰部スラスター内に格納されているビーム・サーベル「フレイム・ソード」。刀身はファントムライト同様、Iフィールドによって炎のように揺らいでいる。ビーム・シールドのビームをIフィールドによって「流す」ことにより、その防御力を完全に無効化して攻撃するという、かつてのクロスボーン・ガンダムと同様の戦法を採ることができる。また、ビームを発振させずにデバイス部分を加熱させることでヒート・ソードとしても運用することができる。蛇の足による奪取後は、バタフライバスターBが新たに装備された。これは蛇の足の戦力不足を補うために、ブラックロー運送に製造を発注していたもので、X-0が使用しているバタフライバスターの設計コンセプトを元に最新技術でリニューアルしており、元のそれより12%ほど出力が上昇している。

    先述の通り、本来の惑星間航行機としては失敗作であり、ミノフスキー・ドライブ搭載機としても同時代のV2ガンダムと比べると50%ほどの完成度である。しかし、ミノフスキー・ドライブ搭載機であることに変わりはなく、同世代の他MSと比べても高い機動性を有している。また、全身のIフィールド発生装置により纏っているIフィールドは"嵐"と形容されるほどで、ファントムライト発動中は近接武器、遠距離武器問わずビーム兵器に対して圧倒的防御力を誇る。その防御力はビーム・サーベルを掻き消し、ヴェスバーのビームをも拡散させ防ぐほど。このため、先述のフレイム・ソードと合わせて攻防共にビーム兵器に対して圧倒的アドバンテージを持ち、結果的に「対ビーム兵器特化機体」とでもいうべき機体となっている。

  • ゴーストガンダム

    • Pilotフォント・ボー

    型式番号:XM-XX

    ザンスカール帝国軍による核攻撃阻止の際に機体に大きなダメージを受けたファントムを、修復と強化を兼ね蛇の足が改修した機体。命名はカーティスで「いつまでも敵(サーカス)のつけた名前で呼ぶこともあるまい」との理由から。ただしパイロットであるフォント本人は、以前のままファントムと呼称している。

    X-0の補給用パーツによる各部の改修、外宇宙探査で発見された希少金属による全身の対ビーム・コーティングが行われている。それに伴い頭部はいわゆる「ガンダムフェイス」へと換装され、モノアイからツインアイに変更、機体色も緑色から銀色へと変化した。このコーティングは対実弾用のリアクティブアーマーとしても機能する。その他の主な変更点としてはバックパックの形状変更、腰部サブスラスターの増設、脚部裏面のダクトの大型化があげられる。バックパックは内部に変化はないものの、外装の変更による軽量化及び冷却剤の循環効率の向上が図られている他、蜃気楼鳥時に機首となった際武装をマウント出来るよう、シザーラックが増設されている(基本的にクジャクの運用を想定している模様)。さらに今まで1発のみだった強制冷却カートリッジを弾帯(ガンベルト)の様に多数搭載することにより、ファントムライトの更なる連続使用も可能となっている。残り二つの変更点もファントムライトの可動効率と蜃気楼鳥時の推力向上を目的としており、本来予定されていたミノフスキー・ドライブ搭載可変型MSとしてのファントムの性能を最大限に発揮できるような改造が行われてる。

    武装面では、フォントのアイディアによりフレイム・ソードの鞘をビーム・ライフルとして使用できるように改修されている。このビーム・ライフルはフレイム・ライフルと呼ばれ、Iフィールドを収束させてバレルとして扱うもので、ビームの弾道は収束しきれないIフィールドの影響を受けて不規則に折れ曲がるため、純粋な射撃武装としては欠陥品である。しかし、その予測のつかない軌道のビームは敵の混乱や動揺を誘い、密集している敵集団をこじ開けるなどに適しているとも言える。他にも正式な武装では無いが、劇中においてビーム・ガンと同様のアイディアから全身のファントムライト噴出孔をIフィールドで即席のビーム砲として使用する場面が見られる。また、上記のシザーラックを使い、改修後の初出撃ではクジャクをマウントした状態でそのグリップ部に掴ったX-0を輸送する姿を見せている。

    ギゾとの最終決戦のさい、フォントがミダスのMSを強制停止させる頭部から放つ光「ミダス・タッチ・フラッシュ」の仕組みを解析したことにより、それに対処するために左目をファントム時代のモノアイに、右目をX-0の補給用パーツによるカメラアイに換装し、木星系とサナリィ系の2系統の視覚センサーを高速で切り替えることでウイルスを無効化する対処を施している。

  • クロスボーン・ガンダムX-0 フルクロス

    • Height15.9 m
    • Pilotカーティス・ロスコ

    型式番号:XM-X0

    X1のものと同様の「フルクロス」をX-0に装備した形態。本来フルクロスの原型は木星戦役時にすでに完成しており、X-0とともに輸送艦に実験兵器として積まれていたものをカーティスらが回収し、調整の末にX-0に装備され、実戦投入された。装甲内のA.B.C.マントの数はX1に及ばないものの、X-0自体の耐ビーム・コーティングで防御力を補っている。さらに「鋼鉄の7人」作戦の際、近接戦闘時に一部装甲をパージしたことからかマント内壁に駆動フレームが組み込まれ、状況に応じて外装の展開が可能となっている。またゴーストガンダムやほかのMSと同様、コクピットを特殊な混合液で満たすことで、パイロットの負担を軽減しており、それまで実現できなかった機動性を実現している。

  • デスフィズ

    • Pilotジャック・フライデイ

    型式番号:EMS-TC04

    接近戦能力に極めて特化した機体であり、高い加速力で敵の懐に飛び込んで接近戦で相手を破壊することを目的としている。用兵思想としては木星戦役時のクロスボーン・バンガードの戦術に近い。そのため武装は可能な限り簡略化されており、全武装が両腕部に内蔵されていて、手持ち武器の類は装備されていない。

    補助用にビーム・ガンも装備しているが、基本的には主武装であるビーム・ファングによる近接戦闘をメインとしている。このビーム・ファングはクロー状のビームサーベル、円盤状のビーム・シールド、ザンスカールのMSが用いているビーム・ローターという3つの機能を併せ持ち、軽量化と共に高い攻撃力と機動力をデスフィズにもたらしている。サーベルそのものは通常のそれと変わらないものの、基部が毎秒24回転することで高速でビーム・サーベルを連打しているのと等しくなり、相手のシールドや装甲を容易に切り裂く。元々サーベルの攻撃力を上げるための回転をローターに転用したのか、その逆なのかは不明。また、水中ではビームを出さずに腕部を回転させることで、スクリューとして使用して移動することも可能。

    構想段階での仮称は「ツメ怪人」とされていた。サーカスの機体で一番手で登場したのは、サンライズ側にサーカスの機体デザインを見せたところデスフィスが最も好評だったためである。

  • デスフィズ・モール

    • Pilotマーメイド・ヌブラード, ジャック・フライデイ

    型式番号EMS-TC04 kai。奪われたデスフィズの運用をあきらめたサーカスが、その予備パーツを用いて組み上げた機体。オリジナルとは異なり、両腕部を腕部三連ビーム・ファングの代わりに、小型ビーム・ファングが8基取り付けられたものに換装している。この腕は硬い岩盤などの切削に適したビーム・ドリルとして運用でき、基部は岩塊からの保護の為カバー内に収められているものの、一つ一つがボールジョイントのため角度の変更が可能となっている。しかし、小型化の為一本一本の出力及びビーム・ローターとしての機能は低下しており、全体的に失敗作になってしまっているが、マリア・シティでの戦闘後は破壊されたデスフィズから無事だった両腕部の三連ビーム・ファングを移植しカラーリングもそちらに合わせたため原型機との差異はなくなっている。

  • ガラハド

    • Pilotゴードン・ヌブラード

    型式番号:EMS-TC05

    戦闘に必須な「弾」を、戦場で補充し続けることにより長期継戦能力を持たせることを目指した機体で、機体その物のサイズに比して巨大な左腕を持つのが特徴。この左腕は独立したIフィールド・ジェネレーターを装備しており、敵MSのビームを逸らす機能を有しており、いうなればカリスト兄弟が用いたMS「ディキトゥス」の小型版と言える。左腕部は肩部とワイヤーで繋がっており、切り離した左腕で敵MSを捕獲しこれを物理的、心理的な「盾」あるいは振り回して投げつけることによって敵機そのものを「質量弾」とすることが可能。弾にされた機体やそのパイロットは遠心力でつぶれ、ぶつけられた側もその大きさから尋常ではない被害をこうむる。敵を「質量弾」にするということは戦闘中=敵がいる間は決して弾切れを起こさないということであり、継戦能力は高い。また、巨腕の外見とその戦法により、敵側に与える心理的なプレッシャーも高い。

    ビーム・ライフルは連射性が高く、ビーム・マシンガンに近い。また、格闘戦時にはビーム・チェーンソーとして使用する事ができる。両膝にはビーム・サーベルが内蔵された隠し腕が装備されており、向きと大きさを調整することで機体前面を覆うビーム・シールドとしても使用可能で、左腕を用いない純近接戦闘においても高い戦闘力を発揮できる。

    機体のモチーフは怪力男で、「ガラハド」という名称も作者が見た古いサーカス映画に登場する怪力男に因む。

  • エスピラル

    • Pilotディーヴァ・ダッダ

    EMS-TC-S01

    開発未認可の3機のうちの1機。

    コルニグスのコンセプトを簡略化した機体で、ミノフスキー・クラフトによる浮遊機能を持ち、胴体につけられた2つのリング状パーツに、同型のアームを3つずつ配置(うち1つずつのみ手を装備)。アームにはビーム砲と空気圧縮式のジェット推進システムを内蔵し、リングの上を自由に移動することによって、射撃性能と機動性を両立させている。

    当初は宇宙用の機体として開発されていたが、機体を使いこなすほど、アームに搭載していた噴射剤の消費が増え、稼働時間が短くなる欠点があったため、空気圧縮式のジェット推進システムに変更された。

    ビーム砲6門による集中攻撃をした場合、同時に推力も偏向して機動性の若干の低下を招く弱点がある(ファントムのような高い機動性の機体でないと、その点をつくことはできない)。

  • バンゾ

    • Pilotラーザブ

    型式番号:EMS-TC06

    宇宙世紀0150年代のMSは直進するビームへの対策に特化しているが、このMSはその盲点を突くことを目的として開発された。

    大量の小型ミサイルを機体内に格納しており、全方向に多数のミサイルで弾幕を張る。ミサイルと言っても誘導性は無く、ただ直進するだけだが、それに混ざって「Uターンして戻ってくる」「旋回する」という行動がプログラムされたものが混じって存在する。前面に展開したビームシールドでは、背面や側面に飛んでくるミサイルの直撃を避けることはできない。また、MSの無防備な背面には推進機器が存在するため、弾幕を受けた敵は推進機器を破壊されて機動性が低下する。

    ミサイルが極限まで小型化されているため、攻撃力が低下し、一撃でMSを確実に撃破するほどの威力は無い。そのため、ミサイル弾幕で敵の機動性を奪い、その後格闘戦などでとどめを刺すという戦法をとる。なお、ミサイルの一部が自機にも命中することを想定し、装甲は厚く作られている。ビーム・サーベルは左腕手首内に装備されており、右手によって手を組みそのまま引き抜く形で運用される(右腕部でも同様の運用が可能かどうかは未確認)。

    デザインのモデルは火吹き芸人で、それにアニメ『無敵超人ザンボット3』の敵艦「バンドック」を重ねてデザインされた。「バンゾ」という名称と遮光器土偶型のフォルムもバンドックに因む。

  • ラロ

    • Pilotロナルド

    型式番号:EMS-TC01

    「ライドボール」と呼ばれるサポートメカをセットで運用する、玉乗り芸をする道化師を模した機体。ラロ本体は木星のSサイズフレームが採用されているため、全高は10m足らずに小型化されており、高い機動性を持つ。

    ライドボールはザンスカール帝国のアインラッドと同様のコンセプトのサポートメカであるが、ラロ本体と同程度の大きさの球体をしており、ビーム・ライフルの直撃に耐える防御力を有する。

    本来は木星の次期量産MSの試作品であったが、防御のためにはラロ本体を常にライドボールの陰に置かなければならないため、エースパイロットであれば問題なく使いこなせるが、一般兵には向かないとして不採用となった。

    デスフィズとは「矛と盾の関係」「力関係が均衡している」と言う事もあり、両者が戦った場合の勝敗は純粋にパイロットの腕と集中力次第となる。

    デザインのモチーフは上述のように玉乗りをするピエロで、サーカスという組織名も作者がラロのイメージが先行して命名したもの。

  • バイラリナ

    • Pilotコーシャ

    型式番号:EMS-TC03

    デスフィズとは対照的に、遠距離からの射撃攻撃力に重点を置いた機体。外観は、黒衣のバレリーナを模している。

    駆動部分以外の脚部ほぼ全てを、大口径・大出力のヴェスバーとして転用する機能を持っている。脚部のヴェスバーは、ニードル・ヴェスバーと呼ばれ、通常のヴェスバーと比べてビームを「絞り込む」ことに特化しており、ビームを極限まで収縮させることにより、攻撃範囲の狭さと引き換えに威力・射程を保持したままの連射を可能としている。とは言え連射には限度があり、衛星軌道上まで届くビームを連射した結果、砲身が焼き付いて使用不可能になってしまった描写がある。当機の脚部の膝下が長いのは、メガ粒子の収束に一定のストロークが必要だからである。

    作中では脚部を軸に回転しつつ、ビーム・シールドを兼ねたビーム・ファンを用いた接近戦も行っている。だが、本来この機体はヴェスバーの運用に特化したMSであり、ヴェスバーの砲身を兼ねた脚部は細く安定性に欠け、重力下ではほとんど歩行脚としては機能しないため、この戦い方はパイロットの技量によるところが大きい。

    また、脚部を折りたたむことで簡易な変形機構を持つ。飛行性能の上昇も見られるが、本来は砲身と推力の方向軸を合わせることによる「長距離・精密射撃形態」である。

    上述のように、デザインのモチーフはバレリーナ(舞踏家)で、「バイラリナ」という名称もバレリーナに由来する。

  • グレゴ

    • Pilotクォ・グレー

    型式番号:EMS-TC07

    サーカス部隊の「団長」クォ・グレーの専用機で、再現不能だったファントムのファントムライト(ミノフスキー・ドライブ)を除いた全サーカス機の全特殊兵装(デスフィズのビーム・ファング、ガラハドの大型アーム、バンゾのミサイル、バイラリナのヴェスバー、ラロのライドボールを応用した防御システム)を統合・搭載した、四腕二脚を有する異形のMS。パイロットの“団長”クォ・グレーは「一騎当千どころか五千機はいけますよ!」と発言する。

    本機は『ガンダムエース』の企画「サーカス部隊MS募集」においてキルジャルグとカルメロと共に「大賞」となった作品のうちの1つで、名称も投稿者の命名。投稿案では、大型アーム先端のリング状の手は「ファイヤーゲート」と呼ばれるミノフスキー・ドライブを応用したビーム粒子加速器で、これによって自身のビームを増幅もしくは敵のビームを減衰させて防御、リングをくぐった相手の電子機器を破損させるなどの用途を持つとされていた。

  • カルメロ

    • Pilotマーメイド・ヌブラード

    型式番号:EMS-TC-M01

    開発未認可の3機のうちの1機。

    水中戦用の機体だが、海のない木星では水中での実証ができなかったため、開発チームのアイデアにより、接地しての水際からの陸上目標への攻撃能力に特化している。

    背部に折りたたまれた脚部を展開すると全高約30mになり、浅瀬で上半身のみを水面から出した状態で接地し、機体を安定させ精密な長距離射撃を可能としている。

    この展開された脚部には各9基、計18基の水流ジェット推進装置を持ち、折りたたまれた状態で移動に用いる他、展開・接地した状態でフル回転させ、水流を乱して敵水中MSの機動性を封じることができるが、乱された水流の側面に死角がある。展開した脚部はジェット推進とその長さによる遠心力によって、強力な蹴り攻撃に用いることも可能。

  • キルジャルグ

    • Pilotアニマール・ベルヴァ

    型式番号:EMS-TC-G01

    開発未認可の3機のうちの1機。

    不整地での高機動戦闘を目的として開発され、その結果として四足獣型のMA形態を有する。

    首周りに巨大な鬣状のパーツを持ち、MA形態時には鬣の先端にあるビーム・サーベルを前方に向けて一点に集めてビームの傘を形成することができる。このメガ粒子の傘は、X-0の「クジャク」と互角に切り結ぶことが可能な高出力を誇る。これに加えてMA形態時の尻尾は、MS形態時にはフレキシブルに稼働する電撃鞭として使用可能。電撃鞭の各節は磁力線で繋がっており、あらゆる電磁波の伝達を阻害するミノフスキー粒子散布下であっても延長できるため、“ある程度の”距離の敵機を攻撃することも可能となっている。

  • ミダス

    • Pilotキゾ

    型式番号:EZM-S01

    キゾ中将が極秘に自身専用に開発した高性能MS。機体名は『ギリシア神話』に登場する「ミダース王」に由来する。『ゴースト』作中ではザンスカールと木星帝国が技術的に交流があったとされているため、その設計はザンスカール系MSと木星系MSの折衷案に近く、2系統のMS技術の収斂進化によって誕生したMSと言える。全身を金色の耐ビーム・コーティングに塗装し、ジェネレーター出力は(二基搭載のザンネック以外で)ザンスカール製MSのトップを誇る。この値を越えるのは、連邦・リガ・ミリティア機を視野に入れてもV2ガンダムのみという、高出力である。

    ミダス専用武装の「帝王の錫杖(カイザー・スタッフ)」は、瞬時に変形することで射撃戦と接近戦の両方に対応する。両形態ともビーム発生基部を高速回転させる、「サーカス」所属のデスフィズのビーム・ファングやガラハドのチェーンソー・ライフルと同系統の発想が見られるが、機体の高性能ジェネレーターからエネルギーを直接供給しており、一撃辺りの威力は他の一般的なMSの武装より格段に強力である(この方式のため、他の機体が装備しても使用はままならない)。このため劇中では、クロスボーン・ガンダムX-0フルクロスが使う武装「クジャク」でさえ貫けなかったアインラッド外輪を破壊して見せている。両手の指先から発するビーム・クローも、「帝王の錫杖」同様に本体からエネルギーが供給される方式であるため、一般的なビーム・シールドでは防げないほどに高圧な装備である。防御面ではやはり「クジャク」の至近距離斉射を防ぐほど強固なマント状のビーム・シールドを備え、機動力においてもスラスター噴射のみで(完成度が低いとは言え)ミノフスキー・ドライブ搭載機であるファントムすら凌駕すると、隙のない性能を見せる。

    そして、このMSの真価といえるのが、MSを強制停止させる頭部から放つ光「ミダス・タッチ・フラッシュ」である。これは新兵器開発部隊「ゴールデンエッグス」が古いMSの研究をする中で、MSの基礎OSに存在したある種の“バグ”を偶然発見したことに端を発する。これは、一定の光の明滅パターンがMSの視覚センサーから侵入し、運動プログラムに機能停止の指令を受けたと誤認させるものである(この効果は複雑な駆動制御プログラムを備えるMSに限定され、戦艦や戦闘機には影響はない)。いわば一種のコンピューター・ウイルスであり、U.C.153年時点では有効なワクチン・ソフトはまだ存在しない。使用すれば自機も感染するため、木星系とザンスカール系の2系統の視覚センサーを高速で切り替えることでウイルスを無効化している。この兵器の名前の由来も、ミダース王の触れるもの全てを黄金に変える能力「Midas Touch」に由来する。戦場をたった一機のための“狩猟場”に一瞬で変えてしまえるこの機能の実現が、キゾ中将の野望を実行へ移させるに至る要因の一つとなったとされる。

  • メッメドーザ

    • Pilotマリア・エル・トモエ

    型式番号:EZMA-S01

    キゾ中将が極秘に開発したサイキッカーのマリア・エル・トモエ専用巨大MA。

    金色の耐ビームコーティングで塗装された全身のその大きさは全長200mにも達する。木星帝国で試験的に製造された、戦艦にMSの技術を応用し駆動アームを装備した「モビルシップ」に近いカテゴリーの機体といえる。ザンスカール軍から離脱したエル・ザンスカール軍の旗艦としての役割と、キゾ中将の駆る専用MSミダスの母艦としての役割を併せ持つ。自身の戦闘時にはMA形態へ変形する。フレキシブル・アームの関節に左右4門ずつの計8門、頭部には大型ビーム砲2門と大火力を誇る。フレキシブル・アームは軸回転が可能なため、関節部のビーム砲は状況に応じて腕の内側にも外側にも向けることができる。また、掌が棘状のクローになっており接近戦時には相手を掴んで攻撃できる他、この棘は他機体を隷属させ操る際のコントロール波を放射・増幅する機能も備える。

    だが、当機体の最大の機能は、宇宙細菌「エンジェル・コール」を内包する無数の遠隔操作オールレンジ兵器「ギムレット・ビット」を敵MSに打ち込み、宇宙細菌を流し込み敵機パイロットを融解・細菌化、そのMSをサイコミュ受信装置として隷属させ“死者の軍団”として遠隔操作することにある。支配下に置かれたMSは、機体そのものが宇宙細菌をコックピット内に内包する「細菌爆弾」となる。キゾ中将の操縦するミダスの機能「ミダス・タッチ・フラッシュ」で敵MSが強制機能停止に陥った後でならば、カオスレルの“死者の軍団”を生み出す効率も更に向上する。

    エンジェル・ハイロゥのコア選抜には敗れたとは言え、充分に強力なサイキッカーであるマリア・エル・トモエがメインパイロットを務めるのに加え、彼女に隷属する12名のサイキッカーがサブパイロットとして搭乗している。トモエの感応波をサブパイロットらでより増幅させており、理論上では最高120機のMSを隷属・操作可能である。ギムレット・ビットにはサイコミュ受信装置が搭載されているのみで、MSの遠隔操作に必要な機材はカオスレル本体に内蔵され、カオスレルの巨体の総質量の約4割はこのシステムによるものである。また、ギムレット・ビットは推進する直線方向への貫通力は非常に高いが、横からの衝撃には極めて弱く、わずかでも軸線にズレが生じれば容易く分解される。

  • ジョング

    • Pilotゴールデン・エッグス司令

    型式番号:ZM-GE-03

    ジオン公国軍のMS「ジオング」の機体コンセプトを参考に、U.C.0150年代の技術で発展・再現した機体。ジオングと同様に脚部はなく、頭部と胸部・腕部・下半身が分離してのオールレンジ攻撃が可能(下腕部のみの分離も可能)。腕部のビーム砲は4連のビーム・サーベルとしても使用できる。

  • ビブロンス

    • Pilot--

    型式番号:ZMT-XXG

    漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』に登場。型番未収得のテスト機で、ブルッケングと同様にアインラッドを固定装備したMS。外観は長い尻尾と双頭が特徴。尻尾の先端は近接戦用クローとなっており、背部のソケットに接続することでアインラッド形態に変形する。双頭はセンサーではなくビーム砲の砲塔で、本来の頭部は双頭の間に胴体と一体化している。アインラッドの直径を抑えたことにより、本体がサイドに大きくはみ出たが、シールドによる防御ではなく、フレキシブルに稼働するビーム砲による攻性防御を行っている。