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機体リスト
機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争

共收録 13 台の機体。
  • ガンダムNT-1

    • Height18 m
    • Weight40 t
    • Pilotクリスチーナ・マッケンジー

    型式番号:RX-78NT-1

    NT能力の開花により、乗機のRX-78-2を超える反応速度を得ていたアムロのために新開発された機体。カラーリングはRX-78-2のトリコロールに対し、本機はほぼ白と青のツートンカラーとなっている。

    コードネーム「アレックス (ALEX)」は、ガンダムシリーズの型式番号「RX」をもじったものであり、Armor Layered EXamination(装甲積層試験)の略称でもある。機体各所にマーキングされた「U.N.T.SPACY」は地球連邦軍の極秘計画コードを表しており、それぞれUnder Normal Tactics(非通常戦術)SPecial Assortment Construction Yard(特別分類建造場)を意味している。

     

    一年戦争当時の地球連邦軍内ではNT(ニュータイプ)の存在に懐疑的な意見が多く、ジオン公国軍のサイコミュ兵器のような技術は未開拓であった。そのため、NT専用兵器の開発には出遅れたが、開発計画にはすでにNT対応機が盛り込まれており、機体開発が開始される。ただし、ようやくMSの量産体制が整った段階であったため、本機では既存の機体をベースに、基本性能やコンピュータシステムの性能向上を主眼に置いた設計がなされることになった。

    開発計画は、一年戦争における連邦軍の陸軍・海軍・空軍・宇宙軍が個別に新型MSを開発する「G-4計画」に組み込まれている。本機は宇宙軍の主導のもと、兵士のメンタルヘルスからコンピュータ研究を専門としていた地上のオーガスタ基地が開発を担当。U.C.0079年8月に設計開発がスタートし、同年11月にはRX-78-2の実働データがフィードバックされた。

    RX-78シリーズで特に参考にされたのは3号機であり、本機は一年戦争で開発された4機目のガンダムに位置付けられる。そのため、本機の出力はRX-78-2と比較して1.3倍の向上が見られる。また、スラスターの増設・大型化による運動性の向上が図られ、高出力化に対応するためにダクトが増設されている。

    本機はNTが搭乗すれば第3世代MSクラスの性能を発揮できるとされるが、NT以外のパイロットが搭乗した場合には、その過敏な操作性からシステムが誤作動を起こすデメリットを併せ持っており、「まともに操縦できる人間は、一種のバケモノ」と評されている。なお、本機は量産化も視野に入れられており、装甲などの設計にも配慮がなされていた。

    地上のオーガスタ基地での開発を経て、北極基地からサイド6リボーコロニーに移送される。その際、ジオン公国軍の特殊任務部隊「サイクロプス隊」による2回の強襲を受け機体は中破。ホワイトベースとアムロのもとへ届けられることなく一年戦争の終戦を迎える。しかし、新機軸の全天周囲モニター・リニアシートやマグネット・コーティング、フルアーマーオペレーションなどの技術は後続の連邦軍MSにもフィードバックされ、MS開発体系において大きな影響を持つ機体となった。本機の肩部エアインテークやバックパックの意匠は、後年に開発されるジム・カスタムやジム・クゥエルなど「オーガスタ系」と呼ばれる機体に引き継がれている。

     

  • ザクII改

    • Height17.5 m
    • Weight74.5 t
    • Pilotバーナード・ワイズマン

    型式番号:MS-06FZ

    OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』およびアニメ版『機動戦士ガンダムUC』に登場。メカニックデザインは出渕裕。設定画には「MS-06/F《ザク》」の名称が記されており、『0080』の制作発表直後の雑誌では「MS-06F ザク」と紹介され、出渕も当時のインタビューで「リファイン」であると述べている。これは書籍『ENTERTANMENT BIBLE』シリーズでも踏襲されており、リック・ドムIIやゲルググJと異なり名称や型式番号が変更されていないのは、生産数が多くすべて改修機として扱われたためと解説されている。プラモデル発売以降は別の機体と設定されたが、『アウターガンダム』をはじめとする同時期の『サイバーコミックス』などに掲載された漫画では、本機のデザインを通常のザクIIのリファインとして描くことが流行し、『0080』のリリース終了後に同作品のスタッフによって制作された書籍『MS ERA 0001〜0080 ガンダム戦場写真集』でも同様の手法がとられている。出渕は『0080』のMSのデザインの中でも、ザクは完成されているためアレンジが難しかったと述べており、後年にはこのデザインはさすがにやりすぎだったと述べている。なお、プラモデル発売以降の名称は「ザク改」あるいは「ザクII最終生産型」とされていたが、模型雑誌『ホビージャパン』で「ザクII改」とされ、以降はほぼこれに統一されている。

    統合整備計画によって改善された、第2期生産型MSのひとつ。連邦軍MSの登場や、自軍の新型機の開発によりザクII自体の性能が劣り始めており、そのため新型機のデータをフィードバックし、チューンナップがほどこされている。また、F2型の改修結果を踏まえて、装甲形状・材質や機体バランスのさらに徹底した見直しにより、それまでのザクIIとはかなりかけ離れた外観をもつに至っている。もっとも大きな改修点はコックピットで、訓練不足の新兵でも十分に扱えるほど良好だったとされる。ほかに、機体各所のアポジモーターやバックパックのスラスターを増設・大型化しており、総推力は前期型(F型)と比較して70パーセント増となっている。その反面、推進剤の総量は変わっておらず、戦闘最大推力時の限界時間は半分に落ちている。装甲もかなり強化され、武装も一新されており、連邦軍のジムに遅れを取ることはなく、かなりの高性能を実現している。S型やR型に匹敵するジェネレーター出力やスラスター推力をもちながら、F型に匹敵する素直な操作性は、ドムやゲルググに匹敵する運動性能を引き出したとされる。ロールアウトは終戦の1か月前であり、本機がザクの一年戦争における最終生産型となるが、生産数は少ない。宇宙艦隊の一部の部隊(特に学徒兵や新兵からなる急造部隊)が使用したのみで地球上に降りることはなく、実戦参加回数も少ない。

    なお、頭部のバリエーションとして「Bタイプ」と呼ばれるフリッツヘルムをかぶったような外観のものもある。これは、現地での修理あるいは改造の際に、パイロットなどの要請を受け入れ、頭部に増加装甲をほどこしたものである。

  • ガンダムNT-1(チョバム・アーマー装備型)

    • Height18 m
    • Weight95 t
    • Pilotクリスチーナ・マッケンジー コテヅ

    型式番号:RX-78NT-1FA

    一年戦争末期に連邦軍内で進められていたフルアーマーオペレーションの一環として開発された複合装甲。「チョバム」(CHOBAM) は(Ceramics Hybrid Outer-shelled Blow up Act-on Materials, セラミックス複合外装による爆発反応材質)の略。本作品におけるチョバムアーマーの名称は、旧世紀の同名の装甲技術と、開発にチョバム地方の技術者が関わっていたことに由来する。アーマー装備時のNT-1はガンダムNT-1・FA(型式番号:RX-78NT-1FA)と呼ばれる。

    ルナ・チタニウム合金とハニカム素材のシートを積層した構造をもち、装甲が破壊されることで衝撃を吸収し、機体本体へのダメージを最小限にする。また、偽装用装甲としての意味合いを持っており、敵機に対して能力を見誤らせるための効果を持っている。チョバムアーマーによって95トンと大幅に増加した本体重量による機動性の低下を補うため、肩部に補助バーニア、腰部にスラスターが追加されており、機動性はあまり低下しない。NTが搭乗した際はデッドウェイトとなる装備であるため、アムロへの引き渡し後は腕部90mmガトリング砲とともに撤去される予定であったが、本機がガンダム量産計画(RX-81)の試験機としての側面を持っていたため、チョバムアーマーと腕部ガトリング砲を採用していたとされる。後年のジム・キャノンIIやガンダムTR-1[ヘイズル]などにも用いられている。

    作中ではケンプファーのショットガンの直撃をものともせず、全身に巻き付けられたチェーン・マインの爆発により増加装甲は破壊されるも内側の機体そのものは無傷であり、高い防御能力を発揮している。

  • ジム寒冷地仕様

    • Height18 m
    • Weight44.7 t
    • Pilotユウ・カジマ , フィリップ・ヒューズ, サマナ・フュリス

    型式番号:RGM-79D

    OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場する地球連邦軍の量産型MS。主に拠点防衛用として運用され、北極基地をはじめとする地球上の寒冷地へ配備されている。

    寒冷地での運用に特化したチューンが施されており、機体各所には既存の車両や航空機の運用ノウハウを基にした氷結対策や防寒処理が施されている。また、荒天が長期間続くことが多い寒冷地での作戦を考慮し、部隊の生存性を確保するために、通信能力が一年戦争時の地上用MSとしては破格の性能を持つ。

    外観は白色と黒色を基調としたカラーリングで、武装には専用のマシンガンを装備。マシンガンはイギリスのステン短機関銃に似た円筒形の本体に、左側へ突き出したフォアグリップ兼用のマガジンが特徴的である。また、六角形のシールド(前期量産型と同形で十文字の紋章が省略されている)の設定画稿も用意されていたが、劇中では登場しなかった。この点はRGM-79G ジム・コマンドやRX-78NT-1にも共通しており、シールドの設定が存在しながら使用されないまま終わっている。

  • ジム・コマンド宇宙戦仕様

    • Height18 m
    • Weight44.6 t
    • Pilotテネス・A・ユング

    型式番号:RGM-79GS

    OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場する、地球連邦軍の量産型MS。

    この機体は広範囲の宇宙空間での戦闘用として配備された。主な改修点として、アポジモーターの増設が行われ、宇宙での機動性が向上している。また、燃料容量を増加させることで長時間の行動が可能となり、宇宙戦における運用効率が高められている。

  • ジム・コマンド

    • Height43.5 m
    • Weight18 t
    • Pilotユウ・カジマ, フィリップ・ヒューズ

    型式番号:RGM-79G

    OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』などに登場する地球連邦軍の量産型MSで、「ジム・コマンド コロニー戦仕様」とも呼ばれる機体。

    この機体は一年戦争末期におけるジムのバリエーションの一つで、次期量産機のデータ取得を目的として開発された。早期大量生産を重視してスペックがデチューンされた初期生産型ジムではなく、設計通りのスペックで製造された後期生産型ジムがベースとなっている。基礎設計はオーガスタ基地で行われ、生産は主にルナツー工廠が担当した。

    ジェネレーターや外装形状が大幅に改良されており、性能は初期生産型ジムとは比較にならないほど向上している。また、試作機のRXナンバー機とも遜色のないレベルに達している。主にスペースコロニーや地上拠点の防衛任務に配備されており、その運用に応じた仕様が与えられた。

    さらに、この機体をベースにしたバリエーションとして、宇宙用のGS型や狙撃用のSP型が存在する。それぞれの任務に合わせて改良が施されており、ジム・コマンドの多用途性を示している。

  • ジム・スナイパーII

    • Height18 m
    • Weight45 t
    • Pilotリド・ウォルフ, マスター・ピース・レイヤー

    型式番号:RGM-79SP

    ジム・スナイパーカスタムの設計コンセプトを、ジム・コマンド系列機に反映させた機体。精密射撃用センサーと高倍率カメラ(精密射撃用レーザーと光学複合センサー)を備えた開閉式バイザーを持ち、頭部バイザーを下ろして頭部全体を冷却することで超長距離の狙撃が可能となっている。非戦闘空域での突発戦闘時には専用のスナイパー・ライフルを用いて敵旗艦や敵指揮官機を仕留め、戦闘を短期決着に導く運用が想定されている。

    純粋なMSとしての性能はカタログスペック上でRX-78ガンダムを凌駕する水準を誇り、脚部に増設されたスラスターと新型バックパックによって推力が強化されている。公国軍のゲルググに単機で対抗できる数少ない量産機のひとつでもある。その基本設計や機構は、後に開発されるネモやジェガンなどに多大な影響を与えたとされる。

    しかし、生産開始が戦争末期だったことと高コストゆえに少数しか生産されておらず、一年戦争に間に合った機体はごく限られている。標準塗装は濃淡ブルーを基調としたカラーリングが採用されている。

    『マスターアーカイブ モビルスーツ ジム』では、SC型とSP型がほぼ同時期に実戦投入されたため、SC型のコンセプトを反映させて開発する時間的余裕はなかったとされる。SC型の仕様が固まった時点で、当時開発中だった汎用モデルであるG型系列にその仕様を盛り込む計画が進められたという解釈が述べられている。

  • 量産型ガンキャノン

    • Height17.5 m
    • Weight51 t
    • Pilotリド・ウォルフ, マスター・ピース・レイヤー

    型式番号:RX-77D

    名称は資料によって「ガンキャノン量産型」とされることもあるが、型式番号がRXナンバーであることから厳密には量産機ではなく、「ガンキャノン量産検討機」「量産先行試作機」または「量産検討モデル機」とする記述も見られる。実際には少数の生産に留まり、「ガンキャノン」の名称を持つ機体の系譜はここで一旦途切れることとなった。中距離支援機としての実際の量産機には、ジムとの共用パーツが多く、コストパフォーマンスに優れる「ジム・キャノン」が採用されている。

    この機体は、ガンキャノンの量産型として開発された。コア・ブロック・システムを廃止し、生産性を高めるために後期生産型ジムのパーツを多用し、装甲材質はチタン合金セラミック複合材に変更されている。その一方で装甲は非常に厚く、カタログスペック上ではガンキャノンを凌駕する性能を持つ。さらに、ガンキャノンの実戦運用で得たデータを活用し、姿勢制御スラスターの増設によって宇宙空間での機動性が向上している。

    両肩の240mmキャノン砲は伸縮可能で、バックパックに収納することで近接戦闘時の妨げを防ぐ設計となっている。また、臀部には「スタビライズド・ギア」と呼ばれるアウトリガー・ジャッキを装備しており、キャノン砲の射撃時に接地させることで射撃精度を向上させることが可能。この装備はジム・キャノンIIにも採用されているものとほぼ同型である。

  • ケンプファー

    • Height18.2 m
    • Weight78.5 t
    • Pilotミハイル・カミンスキー

    型式番号:MS-18E

    一年戦争末期に開発されたジオン公国軍の最終機体のひとつ。当時のジオン軍では工業力に勝る連邦軍のMS大量投入に苦戦を強いられていたことから、新しい仕様のMSを開発し、質で対抗する策を講じた。ゲルググのビームライフルの量産体制が整った段階で、YMS-16、YMS-17、YMS-18といった複数のMS試作機のロールアウトが行われる(またはロールアウト寸前となる)。ケンプファーはそのうちのYMS-18構想による機体であり、試作機の状態で戦線に投入されている。

    一年戦争終戦直前の統合整備計画に基づいているため、ザクをベースにフレーム、ジェネレーター、スラスターを強化した機体となっている。ただし、内部構造が異なることに加え、近接戦闘用の機体として見映えがいいデザインを求めた設計者の嗜好により、外観は大きく異なる。なお、機体はブロック構造が取り入れられており、設備が整っていない場所でも組立が容易な特性を持っている。

    YMS-18はMSの新たな運用法を開拓する機体として開発されていたが、MS-18Eは高い機動性による一撃離脱をコンセプトとし、強襲用重試作MSに分類される。本機はYMS-07Bの局地戦能力をリファインしたような特性を持ち、敵拠点への速やかな強襲を実現するため、大推力のスラスターと姿勢制御用バーニアを全身に装備している。これによって1G下でも短時間の飛行を可能としているが、ドムのような直立姿勢ではなく、うつ伏せの前傾姿勢を基本としている。この姿勢は、前面投影面積を小さくすることによる被弾率低減を狙ったもので、装甲も進行方向となる上半身上面に集中して配置されており、それ以外は軽量化のために極力薄く設計されている。それと同時に、武装はジェネレーターの負担によって推力が低下することを防ぐため、ビーム兵器を控えて実体弾兵装主体でまとめられている。これらの装備は、発射後のデッドウェイト化を避けるために専用ジョイントパーツごと排除可能となっている。一方で、熱核ロケットエンジンを多数搭載しているために推進剤の消耗が激しく、継戦時間は短い。

  • ハイゴッグ

    • Height15.4 m
    • Weight54.5 t
    • Pilotミハイル・カミンスキー , アンディ・ストロース, ガブリエル・ラミレス・ガルシア

    型式番号:MSM-03C

    OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場。メカニックデザインは出渕裕。腕部は出渕がこれ以前にラフデザインを担当したカプールのラインを進めて自分のコンセプトを入れており、『0080』の中で一番自信のあるデザインだと語っている。もともと、『0080』登場MSの多くは新型機ではなくテレビシリーズに登場した機体のリメイクだったが、本機だけは大幅にデザインを変えたために当初から別機体として考えており、設定画には「MSM-05/B《ゴック改》」の名称が記されていた。

    統合整備計画において開発された機体の一つであるが、ズゴックEのような改修・改良機ではなく、ゴッグのコンセプトを元に新規設計された機体とされる。再度の地球侵攻まで開発が凍結されていたカプールまでの過渡期にあたる機体で、コクピット形状はズゴックEと同型のものに改修された。また、モノアイ形状が変更されたほか、ショルダーアーマーは可動式のものに変更。エネルギーCAP技術の導入やジェネレーターの改良によってゴッグよりも機体全高は小型化し、火力は増大。また、機体は軽量化され、他機種との部品共有も図られているとされる。そういった各種改良により、生産性も向上した。

    陸上での運動性能は旧型を大きく凌駕し、巨大な格闘戦用クローも相まって連邦軍のジムを圧倒する戦闘力を持つ。水中航行時の形状の改善や水中用ジェットパックの装備により、巡行能力も向上した。終戦までに相当数の機体が生産された一方、配備の遅延から限られた戦場でしか運用されなかった。投入後の実績からズゴックとの連携が有用であったため、戦略や武装面で差別化が図られている。

  • ズゴックE

    • Height18.4 m
    • Weight69.5 t
    • Pilotハーディ・シュダイナー

    型式番号:MSM-07E

    OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場。メカニックデザインは出渕裕で、設定画には「MSM-07/E《ズゴック》」の名称が記されていた。"E" は "Experiment" の略である。

    統合整備計画の一環で開発された機体で、ズゴックの性能を引き継ぎつつも、ショルダーアーマー等に多少の設計変更が行われている。ズゴックの地上運用後に見つかった問題点をクリアするため開発された試験機で、製造はキャリフォルニアベースで行われた。まず、ゴッグに比べズゴックの水中整流効果が劣っていたことから、ゴッグと同様に四肢を伸縮可能な機構が導入された。また、主推進器は背中から脚部に変更され、整流効果と航続距離の向上が図られた。それに伴い、背部の推進器は陸上行動時のジャンプ用に変更され、その際の機動性が向上している。ジェネレーターは原型機と同出力ながらも、熱核水流ジェットの機器と一元化し整理された。また、コクピットはハイゴッグと同型のものを採用。さらに、各部関節に使用される駆動ユニットは生産性と追従性の観点から新規品となっており、S型を凌駕する運動性を発揮する。加えて、パーツや兵装は他機種と互換性を持たせており、ズゴックの持っていた操作性やコスト高を解消した機体である。

    戦争末期に完成し、少数の機体が量産配備された。

  • リック・ドムII

    • Height18.6 m
    • Weight45.6 t
    • Pilotカリウス・オット

    型式番号:MS-09R-2

    OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』および『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場する機体。デザインは出渕裕が手がけた。型式番号「MS-09R-2(エムエスぜろきゅうアールツー)」と読む。

    この機体は、リック・ドムをベースにスラスターやジェネレーターをチューンナップした改良型である。リック・ドムとの製造工程に大きな違いがないことから生産ラインを引き継ぐ形で量産化が進められた。しかし、開発時期が戦争末期に差し掛かっていたため、実戦参加機はごく少数に限られた。

    統合整備計画のもとで再設計された機体であり、宇宙空間での運用を前提とした機能や形状が施されている。その設計思想は後に開発されるドライセンの母体ともなり、ジオン系のモビルスーツ開発における重要な機体となった。

    連邦軍からは宇宙におけるジオン公国軍の脅威として恐れられた名機とされるものの、量産が戦局に追いつかず、実戦に投入された機体は一部に留まっている。

  • ゲルググJ

    • Height19.2 m
    • Weight40.5 t
    • Pilotシン・マツナガ

    型式番号:MS-14JG

    一年戦争終結直前に完成した、ゲルググの狙撃型。火器管制システムはハード・ソフトともに最新鋭のものを搭載しており、精密射撃任務に対応可能。名称の「イェーガー」はドイツ語で「猟人」の意。

    本機は単なる武装や仕様の変更にとどまらず、事実上の新設計機であると言っても過言ではないとされる。また、統合整備計画にもとづく標準化が当初から設計に取り入れられており、生産工程の簡略化や機体強度の向上、スラスター推力の改善が図られ、第2期生産型と呼ばれる標準化コックピットが採用されている。ジェネレーターは新型のものをさらにチューンアップしたものが搭載され、リア・スカートの推進器(B型のを再設計したものともいわれる)の増設をはじめ、姿勢制御用スラスター(アポジモーター)の数も当時のほかのMSよりずば抜けており、宇宙空間における機動性と運動性が向上している。ランドセルにはプロペラントタンクを2基装備可能で、これにより通常の200パーセントの長時間行動が可能となる。

    以上により、本機は初期型のゲルググと比べてもかなり高い性能をもつ機体として完成する。指揮官クラスのパイロットへの配備が想定されており、ランドセルにはレーザー通信用のユニットとアンテナが装備され、頭部のブレード・アンテナも標準装備である。また、初期型のゲルググと比較しモニター視界も良好となった。終戦直前に完成したゲルググの最終生産タイプであり、生産数は少ない。