Follow Us

機体リスト
ナイツ&マジック

共收録 29 台の機体。
  • イカルガ (斑鳩)

    • Height11.2 m
    • Weight21.6 t
    • Pilotエルネスティ・エチェバルリア

    銀鳳騎士団団長となったエルネスティの専用機であり、同騎士団の旗機。Web版と文庫版では魔力転換炉の仕様が若干異なるため、基本的には文庫版で記載する。

    前世の記憶を保有する元日本人であるエルが設計したため、背中に四本の腕を持つ日本の鎧武者をかたどった外観をしている。顔には一般的な幻晶騎士と異なり怒りの形相を浮かべた人面をイメージした仮面が取り付けられている。カラーリングは青と金。

    二基の魔力転換炉を搭載できるよう金属内格からエルによって自身専用に設計された完全なオーダーメイド品。総建造数は二騎だが、初回建造した一騎がボキュース大森海にハードランディングして大破し、使用可能な部材・部品等はほとんどカササギ建造に投入されて失われた。後にボキュース大森海内で再建された二騎目のイカルガは、ほとんど銀鳳騎士団が本国より持ち込んだ丸一騎分の予備部品とシルフィアーネ(二世)から取り出した普及品級魔力転換炉二基で賄われており、この二騎のイカルガが同時に存在したことはない。

    腹部に主転換炉である旅団級魔獣『女皇殻獣(クイーンシェルケース)』から作られた中型炉『女皇之冠(クイーンズコロネット)』を、背部に戦闘時に使用する師団級魔獣『陸皇亀(ベヘモス)』から作られた大型炉『皇之心臓(ベヘモス・ハート)』を搭載した複数動力機。

    全身の装甲が蓄魔力式装甲であり、全方位に対応した可動式の『魔導噴流推進器(マギウスジェットスラスタ)』を各部に搭載。通常の双腕に加えて艤装された背中の四本の腕『執月之手(ラーフフィスト)』はワイヤーで射出可能であり、搭載された魔導噴流推進器により周囲を自在に旋回。その鋭い指先は強力な強化魔法により分厚い装甲すら容易に穿ち、敵内部に魔導噴流を解き放ち爆砕する。
    通常の幻晶騎士の操縦桿だけでは機体各所の特殊な機器の全てを補えないため、前世より馴染み深いキーボードを模した操鍵盤も採用されている。その大出力を生かした異常な機動性と戦闘力を有する反面、機械的な制御が追い付かず操縦には直接制御が必須となっており、エルという生きた制御部が乗ることでしかまともに操れなくなっている。

    専用武装である『銃装剣(ソーデッドカノン)』は、銃床を模した持ち手がついた肉厚の大剣のような外見をしている。要は幻晶騎士サイズのガンライクロッドで、剣の内部には紋章術式を刻んだ銀板が内蔵されており、剣としての用法のほか魔導兵装としても使用することができる。持ち手にあるレバーにより機能を切り替える。構造的に脆く格闘武器には向かない魔導兵装機能を剣という形に盛り込むために、強力な強化魔法術式も内蔵されており、格闘・法撃どちらにおいても多くの魔力を消費する極めて燃費の悪い武装になっている。これらの弊害として重量も嵩んでおり、イカルガのような大出力機でなければまともに扱うことすらできない。イカルガは、非自力飛行時等魔力に余裕がある場合は、この銃装剣六挺を六腕から斉射可能。

    上記の仕様から「地上最強の戦闘能力を持つ、史上最高の欠陥機」とも呼ばれ、圧倒的な戦闘能力と外見から「鬼神」の異名で呼ばれる。
    高空飛行に備えて操縦席与圧機能を実装していたが、戦闘中に初めて高空を飛行した時に判明した、高空の高分圧エーテルによる魔力転換炉(エーテルリアクタ)や人体への有害性のため、この時の高空飛行は短期で打ち切られた。

    ボキュース大森海内での再建時には、大破回収されたシルフィアーネ(二世)から取り出した普及品級魔力転換炉双発仕様とし、源素浮揚器(エーテリックレビテータ)付き降下用追加装甲(ヘイローコート)と補助用の翼状装甲を増設して、魔力転換炉総主力が低下しても飛行能力を維持し続けた仕様で修復、アディの操縦で参戦した。

    本国帰還後、普及品級魔力転換炉二基共取り外し、カササギから抜き取った女皇之冠(クイーンズコロネット)と皇之心臓(ベヘモス・ハート)を正規の位置に再艤装した。また、余りに物騒且つ機密保持と整備工数上への配慮より、アディと結婚したエルの新生クシェペルカ王国への新婚旅行にあたって、リオタムス王にイカルガの国外持ち出しが禁じられた。

  • トイボックス

    • Pilotエルネスティ・エチェバルリア

    エルの専用機。元は魔導噴流推進器(マギウスジェットスラスタ)の実験失敗により大破したカルダトア。カラーリングはカルダトア時は緑で、テレスターレになってからは地の金属そのままの鋼色(文庫版)。アニメ版では青。

    修理されて以降も実験台として酷使され続け、一度はあまりにもガタが来たために、修理ついでに全面改修されテレスターレとなった。文庫版での登場時点では、魔導噴流推進器の実験台となったカルダトアとの関連や機体名称は明かされておらず、「鋼色のテレスターレ」と呼称されていた。アニメ版では御前試合の時点ですでにトイボックスと呼ばれている。魔導噴流推進器の仕様が大きく変更されている。
    肩部と腰部に魔導噴流推進器を内蔵した可動式の装甲を有する(アニメ版では脚部や背部にも推進器が搭載されている)。この魔導噴流推進器は改良型であり、加速に際して機体が一歩踏み出すごとに小刻みに噴射することで消費魔力の軽減を実現している。可動式であることを活かし、噴射のベクトルを変更することで回避運動や制動にも利用可能だが、制動には長時間推進器を噴かさなければならず、結局のところ消費魔力の大きさは相変わらずである。

    魔導噴流推進器に限らず、エルが思い付きで造った様々な装備品の実験台にされ、それを見た団員達から「エルの玩具箱(トイボックス)」という名を贈られ、正式にエルの専用騎として扱われることとなる。

    機体の欠点である燃費問題への対策として「炉(エーテルリアクタ)」を2つに増やすという無茶な改造を行った結果、2つ目の炉を始めとする後付け部分が騎体構造に余計な負荷を与えており、強化魔法に回す魔力が増大してしまっている。それでも魔力供給量は増加したため、燃費問題はある程度解決されたが、機体バランスの悪化などを考慮すると全体的な性能はテレスターレを下回っている。

    立ち位置としてはイカルガが完成するまでの繋ぎの機体であり、戦場に出たのは女皇殻獣(クイーンシェルケース)との戦闘のみである。

  • アールカンバー

    • Height10.1 m
    • Weight18.4 t
    • Pilotエドガー・C・ブランシュ

    ライヒアラ騎操士学園が所有する訓練用の機体。搭乗者はエドガー。長剣と盾、魔導兵装として「雷の杖(アークゥイバス)」を装備する。

    サロドレアがベースで、非常に良好な操作性をそのまま維持している。その代わりに型落ちの凡庸な機体止まりであったが、正規の騎操士にも劣らない際立った技量を持つエドガーが操ることにより学園内では最強の騎士であった。

    カザドシュ事変において、ケルヒルトの操るテレスターレと交戦。機体性能で勝る敵に対し善戦するも力及ばず大破。魔力転換炉を損傷するほどのダメージを受け作中から退場した。

    カラーリングは白。この白一色という塗装は御前試合で搭乗したテレスターレや後継機であるアルディラッドカンバーにも受け継がれており、これらエドガー機は「純白の騎士」と形容されることが多い。

  • アルディラッドカンバー

    • Height10.5 m
    • Weight22.6 t
    • Pilotエドガー・C・ブランシュ

    銀鳳騎士団第一中隊旗機。カルディトーレを基に改修されたアールカンバーの後継機といえるエドガー専用機。アールカンバーに似せた外装になっている。エドガーがベースとなったカルディトーレの性能に満足しているため、機体の作りそのものはほとんど弄られていない。

    アールカンバーのころと同じく剣と盾をメイン装備に、装甲と魔導兵装が一体となった特別仕様の可動式追加装甲(フレキシブルコート)を搭載しており、硬い守りを特徴としながら遠近両方にも対応できるバランスの良い機体となっている。盾は可動式追加装甲(フレキシブルコート)との併用を考慮してアールカンバーの物に比べて小型化されているが、代わりに先端が細く鋭く尖っており、盾としてだけでなく打突攻撃に用いることも考慮された形状となっている。

    第一中隊の白鷺騎士団化により、白鷺騎士団旗機となる。併せて魔法刀身強化と近接魔法攻撃力を有する魔導剣(エンチャンテッドソード)を一振り追加装備した。後、王城シュレベール城前で行われた白鷺騎士団・紅隼騎士団・巨人族披露式時には、グゥエラリンデと共に飛空船イズモからの空中降下能力を披露している。描写から、グゥエラリンデと同様に、源素浮揚器(エーテリックレビテータ)付き降下用追加装甲(ヘイローコート)が増設されたものと思われる。

  • グゥエール

    • Pilotディートリヒ・クーニッツ, エルネスティ・エチェバルリア

    ライヒアラ騎操士学園が所有する訓練用の機体。搭乗者はディートリヒ。武装は二振りの長剣だが、アニメ版では魔導兵装も使用している。

    サロドレアをベースに、二刀流で盾を持たない格闘特化型として大幅に改造されている。だが旧式故の出力不足で満足な性能を出せていない。

    ベヘモス事変ではエルネスティによって半ば強奪される形で運用。エルの直接制御(フルコントロール)を用いた戦闘行動による過大な負荷で損傷し、最後は機体に残る全ての魔力を攻撃魔法に用いた結果、構造強化魔法を維持できなくなり自壊。魔力演算機と魔力転換炉を残してほぼ残骸と化した。

  • グゥエール改

    • Height10.4 m
    • Weight18.7 t
    • Pilotディートリヒ・クーニッツ

    あまりの損壊具合に修理を後回しにされていたグゥエールを、カザドシュ事変の直前にテレスターレ仕様で再建した機体。出力不足が改善され、背面武装として「風の刃(カマサ)」が追加された。主武装の長剣も予備を含めて4本に増加している。

    カザドシュ事変では強奪されたテレスターレと交戦。ディートリヒの腕もあってケルヒルトの部下が操るテレスターレをほとんど一方的に追い詰めた。

    その後は選択装備の試験運用機として「ライトニングフレイル」などを搭載。エルとエドガーの操るテレスターレ、双子のツェンドルグと共に御前試合に参加した。

    アニメ版ではこの際、後にグゥエラリンデにも搭載される簡易魔導噴流推進器(マギウスジェットスラスタ)を両肩に搭載し、ライトニングフレイルは装備していない(代わりにエドガー機に装備されることになった)。

    機体名称について、アニメ版では模擬戦前の名乗りの中で「グゥエール改」と発言している。しかし文庫版ではこの発言はなく、再建前から一貫して「グゥエール」と呼称されている。

    本項では混乱を避けるため、再建後の姿=グゥエール改であるとする。

  • グゥエラリンデ

    • Height10.4 m
    • Weight20.6 t
    • Pilotディートリヒ・クーニッツ

    銀鳳騎士団第二中隊旗機。Web版ではカラングゥールを基に、文庫版ではカルディトーレを基に改修されたディートリヒ専用機。グゥエールに似せた外装になっている。ベース機のカルディトーレから大きく変化していないアルディラッドカンバーとは違い、ディートリヒの意を受けてかなり改修の手が加えられている。

    アルディラッドカンバーとは対となるような、防御を捨てた攻撃特化として調整されており、中近距離戦を得意レンジとする。

    グゥエールから引き継いだ各種武装に加えて、前進に機能限定された簡易魔導噴流推進器(マギウスジェットスラスタ)も搭載されて高い機動性と突撃性能を誇る。反面、非常に癖の強い機体となっている。ディートリヒは改装後暫く簡易魔導噴流推進器を使いこなすのに相当苦労しており、飛行・転倒・破損・修理を繰り返した。

    銀鳳騎士団によるボキューズ大森海内での現地改修で、源素浮揚器(エーテリックレビテータ)付き降下用追加装甲(ヘイローコート)が増設され、飛空船からの空中降下能力を獲得した。

    第二中隊の紅隼騎士団化により、紅隼騎士団旗機となる。併せて魔法刀身強化と近接魔法攻撃力を有する魔導剣(エンチャンテッドソード)を一振り追加装備した。

  • ツェンドルグ

    • Height15.3 m
    • Weight45.5 t
    • Pilotアーキッド・オルター, アデルトルート・オルター

    銀鳳騎士団が幻晶騎士の移動能力強化を目的に開発した、人型の上半身と馬型の下半身を持つ人馬騎士と呼ばれるケンタウロス型幻晶騎士のプロトタイプ。後にこの機体の設計はシルフィアーネにも流用されたため、飛翔騎士の祖であるとも言える。
    並外れて大柄な体躯のために通常機の倍以上の重量を持つが、その分多量の綱型筋肉結晶や蓄魔力式装甲を積んでいるため魔力容量と出力が高い。ただし、その出力や構造の維持のため魔力転換炉を2基必要とし、魔導演算機(マギウスエンジン)、操縦席といった部品は人型の上半身から容量に余裕のある下半身へと移設されている。操縦に要する術式が未完成であるため、動かすためには上半身と下半身をそれぞれ操る騎操士が2名必要であり、史上初となる2人乗りの操縦席が取り付けられた。実働試験を行いながら術式を最適化していき、いずれは一人乗りにというのが当初からの予定だった。

    主な装備は長大な斧槍と、先端が尖った縦に細長いランス代わりにも使える盾で、突撃の際の槍の保持を補助する固定具が下半身に付けられている。また、軽量化のために装甲を薄めにしている下半身の防御力をカバーするために、可動式追加装甲と同じ機構を持つ可動装甲が機体そのものに組み込まれている。機動時にはこの可動装甲をカウンターウェイトとして用いる事で、騎馬では考えられないような驚異的な旋回機動を見せる。

    銀鳳騎士団のお披露目を兼ねた模擬戦では、アーキッドとアデルトルートの双子を騎操士に据えて使用され、人間の歩兵と騎馬の比較に倣い戦力比を3対1とされた。模擬戦後は制式採用機であるツェンドリンブルの量産が開始されたため登場しなくなる。

  • 金獅子(ゴルドリーオ)

    • Height10.5 m
    • Weight19.5 t
    • Pilotエムリス・イェイエル・フレメヴィーラ

    エルネスティに直接依頼して製作されたエムリス専用の幻晶騎士。胸に獅子の貌の意匠を施された金色の鎧を纏い、カスタムベースはカルディトーレとなっている。

    エムリスの要望により、出力に特化した性能を持ち、パワー特化型のティラントーと正面から組み合えるほどの膂力を誇りつつ、機動性も維持しているという、アルケローリクスにも劣らない優れた機体性能を持つ。また、王族用の機体であるため、装甲も厚めに設計されている。

    背面武装と両肩(アニメ版では両肩と膝)に装備された複数の魔導兵装を連動させて放つ「獣王轟咆(ブラストハウリング)」という必殺技を持つ。この技は多大な魔力消費と引き換えに、幻晶騎士の体当たりにも耐える砦の門を一撃で吹き飛ばすほどの強力な威力を発揮する。

  • 銀虎(ジルバティーガ)

    • Pilotアンブロシウス・タハヴォ・フレメヴィーラ

    虎の意匠を施された銀色の鎧を纏うアンブロシウス専用の幻晶騎士。金獅子を纏うエムリスの機体と外見以外は全く同一で、兄弟騎と呼ばれる。

    アンブロシウスはエムリスのように特別な要望を出さず、設計をエルネスティに一任した。その結果、外見以外は完全に同一の機体が用意された。騎体争奪戦の末、アンブロシウスは金獅子をエムリスに譲ったが、機体の中身が同じであると知り、これに満足していた。

  • カルダトア・ダーシュ

    • Height10.4 m
    • Weight20.6 t
    • Pilotディートリヒ・クーニッツ

    銀鳳騎士団第二中隊旗機。Web版ではカラングゥールを基に、文庫版ではカルディトーレを基に改修されたディートリヒ専用機。グゥエールに似せた外装になっている。ベース機のカルディトーレから大きく変化していないアルディラッドカンバーとは違い、ディートリヒの意を受けてかなり改修の手が加えられている。

    アルディラッドカンバーとは対となるような、防御を捨てた攻撃特化として調整されており、中近距離戦を得意レンジとする。

    グゥエールから引き継いだ各種武装に加えて、前進に機能限定された簡易魔導噴流推進器(マギウスジェットスラスタ)も搭載されて高い機動性と突撃性能を誇る。反面、非常に癖の強い機体となっている。ディートリヒは改装後暫く簡易魔導噴流推進器を使いこなすのに相当苦労しており、飛行・転倒・破損・修理を繰り返した。

    銀鳳騎士団によるボキューズ大森海内での現地改修で、源素浮揚器(エーテリックレビテータ)付き降下用追加装甲(ヘイローコート)が増設され、飛空船からの空中降下能力を獲得した。

    第二中隊の紅隼騎士団化により、紅隼騎士団旗機となる。併せて魔法刀身強化と近接魔法攻撃力を有する魔導剣(エンチャンテッドソード)を一振り追加装備した。

  • サロドレア

    • Pilotマティアス・エチェバルリア, フレメヴィーラ王国軍騎操士, ライヒアラ騎操士学園生徒

    カルダトアの一世代前にあたる旧式機。作中より約300年前に設計・開発された歴史ある骨董品。カラーリングは茶褐色に黄色のアクセント(アニメ版)。

    一部機構が複雑な部分があり、カルダトアに比べて整備性に劣るが、性能自体は大きな差がない。フレメヴィーラの優れた汎用性と操縦性はこの時点で完成されている。

    現在一般的に稼働している機体はカルダトアから一部機構を流用し、整備性が改善されたアッパーバージョン。ただし、ライヒアラ騎操士学園の高等部騎士学科における訓練機体や商人に払い下げられたものを含め、大体が原形を留めぬほどに改造されている。

    設定資料兼備忘録の記載と、文庫の世界の父(ファダーアバーデン)設定を会わせると、森伐遠征軍におけるファダーアバーデン王国製の最新鋭機種で、前述の記載から幻獣騎士の原型機でもある模様。Web版でのファダーアバーデン崩壊は千年弱前なので、前述の解釈は成立しない。

  • ツェンドリンブル

    • Height15.3 m
    • Weight45.5 t
    • Pilotヘルヴィ・オーバーリ, アデルトルート・オルター, アーキッド・オルター, 銀鳳騎士団騎操士

    ツェンドルグを元に機構の見直しと最適化を行った量産向けの機体。隊長機のみ角があり、他の機体は角なしのタイプ。ツェンドルグで機体操作のための術式が完成したため、ツェンドリンブルでは1人乗りになっている。

    1人乗りになった反面、操縦の負担は大きく、生身で馬に乗る感覚で操縦できる補助機構や一部動作の自動化を取り入れているものの、騎操士の育成が大きな課題となっている。また、魔力転換炉を2基搭載するため高コストであり、登場からしばらくは製造元の銀鳳騎士団で運用される機体が国内総数の大半を占めていた。ヘルヴィを中隊長とした第三中隊でのみ大規模に運用されていた。Web版では、撃刺巻貝(デッドリーシェルケース)討伐後にその戦果と有用性から、量産元である国機研にアンブロシウス王が生産計画の修正を命じた。大航空時代前夜編では、人馬騎士が荷馬車を牽いて街道をゆく姿が国民にも見慣れた景色となっている。

    その移動能力に支えられた運搬力や機動力、突撃力は従来の常識を覆すものであり、専用の荷馬車を牽いて人員や幻晶騎士を速やかに遠距離まで移送可能。3式装備「戦馬車(チャリオット)」を用いた場合、絶大な戦力を発揮する。本体性能も優れており、オプション装備を分離した後も騎馬隊のように戦闘に参加し、敵を駆逐できる。特に幻晶騎士の運搬面での効果は大きく、従来は自走させるか部品にばらして馬車で時間をかけて移送していたものを、完成状態のまま複数騎を高速で運搬可能になった。

    主な装備はツェンドルグから引き継いでいるが、斧槍の代わりに騎槍を使用することもある。大西域戦争では飛空船に対抗するため、垂直投射式連装投槍器を搭載し、対地・対空への遠距離物理攻撃能力を獲得している。

    オプション装備として「荷馬車(キャリッジ)」や3式装備「戦馬車(チャリオット)」がある。「戦馬車」は装甲で固められ、斬獣剣と「轟炎の槍(ファルコネット)」を搭載している。ツェンドリンブルが移動を担当し、乗り手の幻晶騎士は魔力供給兼砲手に専念できる。2体の人馬騎士が騎槍を構えて突撃し、馬車から飛び出た斬獣剣が敵を攻撃する、非常に高い戦闘能力を発揮する編成だ。

    ただし、実在の馬と馬車や戦車と同様に、「荷馬車」や「戦馬車」を牽引した場合、単体のツェンドリンブルに比べて踏破能力が劣る場面が、いくつかの戦闘描写で示されている。

  • カルダトア

    • Height10 m
    • Weight18 t
    • Pilotフレメヴィーラ王国軍騎操士

    フレメヴィーラ王国の制式量産幻晶騎士。大量に生産・配備されており、フレメヴィーラの幻晶騎士の代名詞となっている。ヤントゥネン守護騎士団や朱兎騎士団など、フレメヴィーラ各地で運用されている。

    主な武装は長剣や槍、盾に加え、魔導兵装「炎の槍(カルバリン)」などを装備している。

    この機体は約100年前に設計され、サロドレアと比べて結晶筋肉の張り方を変更することで出力が向上し、構造の簡略化により整備性も向上した。様々な種類の魔獣に対応するため、意図的に平均的な性能に調整されており、特に際立った特徴はないものの、操作性の良さが長所である。

    テレスターレ強奪事件後、所有機を大幅に失ったライヒアラ騎操士学園(銀鳳騎士団)に代替機として供与され、選択装備の試験や試作機のベースとして様々な実験に使用された。

    その後、新たな制式量産機であるカルディトーレが開発され、主力機の座を退くことになった。

    カラーリングは茶褐色(文庫版)やダークグリーン(アニメ版)で、アニメ版では朱兎騎士団の機体のみ肩部装甲が朱色となっており、騎士団名にちなんだデザインが施されている。

  • トランドオーケス

    • Pilotヘルヴィ・オーバーリ

    ライヒアラ騎操士学園が所有する訓練用の機体で、搭乗者はヘルヴィ。アールカンバーやグゥエールと同様、サロドレアを改修した機体だが、アニメ版における外観はカラーリング以外サロドレアと同一である。

    カラーリングは、サロドレアよりも赤みが増した茶褐色で、アクセントの黄色は位置も含めて学園のサロドレアと同じデザイン。

    ベヘモス事変で大破した後、テレスターレ一号機として再建され、引き続きヘルヴィの乗機として各種試験に使用された。しかし、カザドシュ事変において、他のテレスターレと共に銅牙騎士団に強奪されてしまう。奪われた機体のうち、一号機だけは取り戻すことができず、これが結果的に後の大西域戦争の引き金の一つとなった。

  • テレスターレ

    • Height9.8 m
    • Weight18.9 t
    • Pilotエドガー・C・ブランシュ, ディートリヒ・クーニッツ, ヘルヴィ・オーバーリ, ケルヒルト・ヒエタカンナス, シェニエ バッカス

    エルが中心となって改良を行った新型機のプロトタイプ。ベヘモス事変で大破した実習機サロドレアが素体として使われているが、基本構造が既存の機体とは異なっており、パーツの共有率は二割にも満たない。一号機はトランドオーケスがベースで、カラーリングはカーキ。アニメ版では、ヘルヴィ機(一号機)のみ腰背部の蓄魔力式装甲が赤く塗られている。

    綱型結晶筋肉(ストランド・クリスタルティシュー)を採用することで、出力が従来機の1.5倍、筋肉の耐久性は10倍に上昇。さらに補助腕(サブアーム)を用いた背面武装(バックウエポン)システムが追加され、攻撃力が強化されている。その一方で、向上した出力と消費魔力の多いデバイスの追加により、連続稼働時間が半分に低下した。魔力貯蔵に特化した板状結晶筋肉を採用することである程度は対応したが、機体重量の増加などの問題があり、完全な解決には至っていない。

    また、操作系の調整が後回しにされたため、出力に振り回され、操縦性が不安定で劣悪な状態に陥り、大きな課題として残された。この問題は、最新鋭機の開発が国機研に移譲された際に丸投げされてしまった。

    この機体は、綱型結晶筋肉と背面武装を用いた機体群の原点であり、後に他国の機体でもこの形式のものは「東方様式(イースタン・モード)」と呼ばれるようになる。

  • カルディトーレ

    • Height10.1 m
    • Weight18.6 t
    • Pilotフレメヴィーラ王国各騎士団騎操士

    カルダトアの後継となる、フレメヴィーラ王国の最新鋭制式量産幻晶騎士。模擬戦での結果を基に、カルダトア・ダーシュをベースに再開発された。登場後、この機体をベースに様々なカスタム機が製作されている。

    銀鳳騎士団のテレスターレに使用された新技術と、国機研の王国伝統技術による協同製作の集大成として、良好な操縦性と高い攻撃力をバランスよく両立した傑作機となった。模擬戦で披露された選択装備にも対応しており、様々な局面に柔軟に対応できる性能を持っている。

    テレスターレ系統で課題だった稼働時間も、実用化に至った「容量特化型」の結晶筋肉を用いた蓄魔力式装甲を採用することで解決されている。この機体の登場により、国内の対魔獣戦で余力が生まれ、配備計画が見直された結果、余剰となった魔力転換炉はツェンドリンブルの量産に回された。先行量産された機体は、銀鳳騎士団に優先配備された。

    なお、アニメ版では予算の都合で登場しなかったクシェペルカ王国機「レーヴァンティア」の代役として、この機体が担っている。また、銀鳳騎士団によるボキューズ大森海内での現地改修により、少なくとも銀鳳騎士団第二中隊機には、源素浮揚器(エーテリックレビテータ)付き降下用追加装甲(ヘイローコート)が増設され、飛空船からの空中降下能力が付与された。

  • 対空衝角艦(ジルバヴェール)

    • Pilot--

    Web版には登場しない「対空衝角艦」とは、「飛空騎4式装備、空対空突撃仕様飛空船」の略称であり、銀鳳騎士団が鹵獲したクリストバルの座乗していた旗艦飛空船を大改装したものです。この艦には、内蔵式多連装投鎗器(ベスピアリ)が搭載されており、128基全門斉射(アニメ版では124基、全門より少ない斉射数)時の全弾誘導をエルのみが成功させています。全門の同時搭載は不可能ですが、戦闘中に再装填が可能です。また、船首部には装甲強化と衝角の増設が施され、対飛竜戦艦用として改造されています。

    さらに、船橋から各種船内機器へのリモートコントロールシステムが追加され、集中管理と省人化が達成されています。帆はエアブレーキとして残されつつも、推進器は起風装置(ブローエンジン)から全魔導噴流推進器(マギウスジェットスラスタ)に変更されました。船上にはツェンドリンブル2騎や、イカルガが一時的に魔力源として使用されています。アニメ版でオラシオはこの推進器を「可変型ジェットスラスター」と呼び、起風装置は撤去され、船尾の魔導噴流推進器は遠隔操作で制御されます。その結果、騎士像(フィギュアヘッド)が撤去され、船体は剣のように鋭く尖ったデザインとなりました。アニメ版最終話では、同型船が5隻就役しているシーンが描かれていますが、これはアニメオリジナルの設定で、文庫版にはその描写はありません。

    戦乱終結後、対空衝角艦は武装解除され、輸送船として改装されました。エムリスを含む銀鳳騎士団首脳部や鹵獲物を積んでフレメヴィーラ王国に帰還しました。この際、船長はダーヴィドが務めました。その後の詳細は不明ですが、文庫版の設定によると、「Knight's & Magic Side Story03 ドワーフたちの憩いの時」で、対空衝角艦は大西域戦争時に銀鳳騎士団が建造した最初の飛空船で、後に対空衝角艦を基にしてイズモが建造され、その後失われたとされています。また、10章・浮遊大陸騒乱編では、同型艦がさらに2隻建造されていることが明らかにされています。

  • レスヴァント

    • Pilotクシェペルカ王国軍騎操士

    旧クシェペルカ王国軍の制式量産型幻晶騎士。親方曰く、カルダトアより若干優秀だったとのことだが、戦力評価的には新型のティラントー相手に3対1でようやく戦いになる程度。その貧弱なパワーではティラントーの重装甲を傷つけることも困難で、ジャロウデク軍からは「案山子」と呼ばれ、侮られていた。主力たる幻晶騎士の能力不足が旧クシェペルカ王国が蹂躙された一因ともなった。

  • レスヴァント・ヴィード

    • Pilotクシェペルカ王国軍騎操士

    レスヴァントに背面武装と大型の蓄魔力式追加装甲「ウォールローブ」を装着した急造改修機で、従来の倍以上の魔力貯蓄量を活かし、多連装魔導兵装による遠距離法撃に特化している。直立した魔導兵装とウォールローブが塔のような外観を作り出し、「塔の騎士」と呼ばれた。
    ウォールローブの超重量のため、移動能力が大きく損なわれ、近接戦闘能力はほぼゼロだが、遠距離戦闘や拠点防衛用としては大いに活躍した。ウォールローブは着脱可能で、敵が接近した際には重りを捨てて逃げることができる。

    この機体は、クシェペルカ王国の窮状を打開するためにエルが設計し、ジャロウデク王国の侵攻を食い止める大きな原動力となった。その予想以上の活躍により、後の法撃戦仕様機の普及に繋がった。

    終戦後も、この機体は機能をバージョンアップしながら法撃戦仕様機として継続的に製造されており、元祖法撃戦仕様機として蓄積されたノウハウや改良された機能は、他の西方諸国の法撃戦仕様機よりも優れた法撃性能を発揮している。特に、黄金の鬣号に搭載された機体群は、孤独なる十一国の飛空船団に対して圧倒的な法弾幕を展開し、たった一隻で敵中突破するほどの威力を見せつけた。

  • カルトガ・オル・クシェール

    • Pilotアウクスティ・ヴァリオ・クシェペルカ

    クシェペルカ王国国王騎。ジャロウデク王国による王都デルヴァンクール侵攻時に、王城内でクリストバルが騎乗するアルケローリクスとの一騎打ちに敗れ、破壊された。騎乗していたアウクスティ王もこの戦闘で討ち死にした。

  • カルトガ・オル・クシェール二世

    • Pilotマルティナ・オルト・クシェペルカ, イサドラ・アダリナ・クシェペルカ

    再建された国王騎。操縦技術のないエレオノーラのために2人乗りとなっており、代わりに操縦を担当しているのはイサドラだが、その技量も素人よりはマシといった程度である。そのため、実質的な戦闘能力はほとんどなく、象徴的な存在として従軍しているに過ぎない。

  • ソードマン

    • Pilotグスターボ・マルドネス

    グスターボ・マルドネスの専用機。全身に大量の剣を取りつけた異様な外観(後に連剣の装と命名される)をした幻晶騎士。Web版ではヴォラキーロをベースに作られていたが、文庫版では特注品だった。戦場で遭遇したグゥエラリンデとの激闘の末に破壊される。アニメ版では源素供給機(エーテルサプライヤ)を用いた魔力転換炉への高濃度エーテル供給を濫用したため、戦闘中に魔力転換炉が機能を停止して敗北に至っている。

  • ヴェンドバダーラ

    • Pilot銅牙騎士団

    間者集団である銅牙騎士団の幻晶騎士。潜入工作が目的の特殊機体で、隠密性が重視されており、その一環として魔力転換炉の吸排気騒音を下げるために出魔力の低下も許容している。

    Web版、文庫版では刺突短剣(スティレット)を装備し、高い静粛性を活かして死角から奇襲し、装甲の薄い部位から操縦席を刺し貫く戦法を取っている。

    アニメ版では、武装としてショーテル状の曲刀を持つほか、大型化した右腕には4本爪の鋭利なクローが装備されており、回転させることで幻晶騎士の正面装甲をも貫く強力な武器となっている。

  • ティラントー

    • Height12 m
    • Weight30.8 t
    • Pilotジャロウデク王国各部隊騎操士

    大西域戦争(ウェスタン・グランドストーム)期のジャロウデク軍主力量産幻晶騎士。強奪したテレスターレの技術を用いて生み出された機体。

    網型結晶筋肉の特性を最大限に利用するため、筋肉量を増やし高い出力を誇っている。そのパワーを生かして並外れた重装甲にしているため防御力も高い。その半面、燃費は大幅に悪化して機動性や持久力はテレスターレを更に下回る。

    これを解決するため、高濃度エーテルを供給する源素供給機(エーテルサプライヤ)と呼ばれる機構が魔力転換炉に併設される形で組み込まれている。魔力転換炉は高濃度エーテルを供給されると過剰な反応を起こし、瞬間的だが膨大な魔力を生み出す事が出来る。しかし、本来地上の薄いエーテル環境下で稼働するように作られた魔力転換炉に高濃度エーテルを注ぎ込むのは炉の劣化を起こす行為であり、生産調達数量が限られた一番高価な部品を使い捨てにするという問題点を抱えている。そのため緊急時以外ではあまり使いたくない機能であるとエルは予想している。Web版大航空時代期には「既にほとんどの幻晶騎士から撤去されていた」となり、残存騎から撤去されている可能性が高い。

  • アルケローリクス

    • Height10.7 m
    • Weight18.7 t
    • Pilotクリストバル・ハスロ・ジャロウデク

    ジャロウデク王族のために建造された最高級機。三騎のみ存在し、国王騎に代わって実質的な旗騎の役割を担っている。ティラントー並みの出力と標準機並みの機敏性を併せ持つ。設定資料によると非常に高価な機体で、量産機としては欠陥品であり、王族用以外には生産されていない。一機は本国にいるカルリトスが、残り二機はクシェペルカに進軍したクリストバルとカタリーナが所有していたが、戦いによって二機は失われ、残存したのは本国にある一機のみとなった。三機存在するものの、騎操士としての実力がほとんどないカタリーナの機体は、兄か弟の機体に何かあった際の予備機という扱いだった。

    Web版では、生産数が二機とされており、クリストバルが二号機に搭乗していたと記されている。カタリーナは登場せず、そのため生産数が減っている。王族専用機であり、ジャロウデク王国侵攻戦には1騎しか持ち込まれなかったため、侵攻軍の旗機でもあった。

  • デッドマンズソード

    • Pilotグスターボ

    Web版では試作機ズーティルゴを、文庫版ではカタリーナ用のアルケローリクスを元に、グスターボ専用にカスタマイズされたワンオフ機。ソードマンと同じ連剣の装を引き継ぐが、これらの剣の固定機構の向きを変えてハリネズミのように切先を逆立てる攻撃形態「目覚めよ我が剣(ウェイクアップデッドマンズ)」の実装により、動くだけで周囲を切り刻む全身凶器の機体と化している。アニメ版では全身の補助腕に剣を搭載。両手の剣に加えて補助腕の剣も用いた連続斬撃という形で「目覚めよ我が剣(ウェイクアップデッドマンズ)」が描かれた。

    Web版では、オラシオとグスターボの合意により魔力転換炉の戦闘毎の使い捨てを前提として大量の源素供給器を増設。源素供給器を逐次起動しながら戦闘した。

    Web版ではアルディラッドカンバーとグゥエラリンデの二機がかりで戦い、両機と刺し違えて擱座。文庫版とアニメ版ではアルディラッドカンバーとゴルドリーオの二機がかりで戦い、アルディラッドカンバーが拘束している所へ「獣王轟咆(ブラストハウリング)」を撃ち込む事で大破(アニメ版では胸部を除いて粉砕され堀へ落下)に追い込むも、コクピットは無傷でありグスターボは生還した。

  • 飛竜戦艦(ヴィーヴィル)

    • Pilotドロテオ・マルドネス

    ジャロウデク王国で建造されたドラゴン型の完全戦闘用飛空船。就役後墜落までドロテオが一貫して騎士像での操縦者兼船長を務めた。古代の魔獣「竜(ドレイク)」を象り、重装甲を施された巨大な船体は幻晶騎士と同様に強化魔法で構造保持された金属内格で構成されており、関節を可動させる事で巨体からは想像できない旋回性を有する。

    武装は艦首から放つ主砲の超々大型魔導兵装「火竜撃咆(インシニレイトフレイム)」と、脚部の対艦格闘用の大出力アーム「格闘用竜脚(ドラゴニッククロー)」。それに加え、動力源として船体に埋め込まれたアンキュローサ12機にも多数の魔導兵装が搭載され、通常の法撃だけでなく雷撃系統魔導兵装「雷の鞭(ザファー・ナマ)」で法弾や魔導飛愴をも撃墜する濃密な対空防御網を展開する。船首騎士像も武装している。ただし地上戦闘用幻晶騎士を搭載している記述は作中無く、竜血炉艤装によるエーテル消費量激増を補う為、搭載している地上戦闘用幻晶騎士を降ろして源素供給器を追加艤装する記述もない。

    元々は他国への技術流出を想定したオラシオが飛空船を仮想敵とする「空の支配者」として試作し、推進力不足からお蔵入りとなっていた物であったが、イカルガの目撃情報から魔導噴流推進器を、法撃戦仕様幻晶騎士から複数の魔力転換炉を並列接続する動力方式を得た事で実用化に至った。二隻目以降の建造・量産も検討されたが、試作品として建造されたため、量産にあたっては大規模な設計変更が必要であること、併せて長期に渡る建造期間と莫大な建造費・必要資源で、今次戦争には間に合わないと判断され棄却された。

    大軍を擁する城塞都市をも単艦で蹂躙する強大な戦闘能力を有するが、騎士像を合わせ13機分の魔力転換炉を以ても魔導噴流推進器を常時稼動させるには魔力出力が足りず、戦闘中も帆を用いる巡航用の推進方式に切り替え魔力回復を待たなければならない。文庫版では最終決戦前の修理で竜血炉を追加艤装し、それを含む全魔力転換炉へ高濃度エーテルを供給する最大化戦闘形態(マキシマイズ)中は魔力不足が解消されたが、浮力源となるエーテルを大量に消費する上魔力転換炉の急速な劣化を招く諸刃の剣でもある。

    アニメ版では特殊弾(金属粉と硫黄粉と硝石粉を混合した煙幕)が装備されており、魔導噴流推進器の破壊や機能停止を狙った対イカルガ用兵装として実戦投入され、魔導噴流推進器が不調になったイカルガは墜落した。ただし、同じく魔導噴流推進器に吸い込んだと思われる飛竜戦艦の魔導噴流推進器は推進を続けており、その後イカルガの魔導噴流推進器エアインテークにもフィルターが増設されているので、準備をすれば対処は可能。また、格闘用竜脚の爪先を射出する近接防御ギミック(ドラゴニッククロー)がある。マキシマイズ状態では溢れ出た魔力が飛竜戦艦を拡大したように形取る。竜の頭部に船橋が設けられ、ドロテオはここで指揮を執り、船橋機能喪失後移動する座席で船橋の上部に位置する騎士像内に移動し、戦死までの短期間操縦した。

    文庫版・アニメ版では四方楯要塞(シルダ・ネリャック)防衛戦、Web版本編ではロカール諸国連合の西端城砦群付近で、イカルガ・対空衝角艦(ジルバヴェール:文庫版・アニメ版)・ストールセイガー(Web版本編)・ツェンドリンブル等に破れ、墜落粉砕した。

    Web版本編では、後にパーヴェルツィーク王国で建造された改良型の二番艦、文庫版では詳細不明な同型艦が登場する。

  • 飛空船(レビテートシップ)

    • Pilotオラシオ・コジャーソ

    オラシオが開発した、源素浮揚器(エーテリックレビテータ)を基礎技術として、世界で初めて実用化された空飛ぶ船。この技術は、オラシオ一族の研究成果である「純エーテル作用論」を基に、ジャロウデク王国の支援を受けて開発された。

    典型的な形状は、水上船を上下反対にしたようなデザインであり、船底にあたる中央上部に船橋が設けられている。船首には「騎士像(フィギュアヘッド)」と呼ばれる上半身のみの幻晶騎士が搭載され、その両手に繋がれた起風装置(ブローエンジン)によって風を発生させ、その風を舷側に張られた帆に当てて推力を得ている。推力の方向や強度は、起風装置の風の出力や帆の操作によって調整し、源素浮揚器の操作で飛行高度を制御する仕組みになっている。アニメ版では、起風装置からの噴射反動で転針や減速を行っている描写も見られた。

    後に登場する後継船や飛竜戦艦を含め、周囲の地上部隊などとの通信は、基本的に「魔導光通信機(マギスグラフ)」と呼ばれる発光や点滅信号を使用している。また、船内での通信には「伝声管」が用いられている。

    後には、巡航用の帆と起風装置に加え、戦闘機動用推進器として、あるいはそれに代えて「魔導噴流推進器(マギウスジェットスラスタ)」が搭載された船も現れるようになった。初期の飛空船は「飛礫の雨(カタパルト)」を固定武装として装備しており、輸送や空挺専用だったが、後には法撃戦仕様の幻晶騎士を搭載することが一般的となった。アニメ版では、火炎弾を投下して対地攻撃を行うシーンも描かれている。