型式番号:RX-93
設計にはロンド・ベル所属のアムロも参加。連邦軍側の開発プロジェクト主導者は同部隊所属のチェーン・アギ准尉。アナハイム社側の開発責任者はオクトバー・サラン。それまでアナハイムが開発を進めて来た20m超級の大型機体フレームに高出力ジェネレーターを搭載、サイコミュ兵器を含む様々な武装オプションに余裕を持たせた大型非可変試作MSであるRX-9x系の流れを汲んでいる。その為、基礎設計自体はブライトがロンドベル艦隊司令に復職したU.C.0092年12月末時点でほぼ固まっており、その図面を見たアムロの意見によりサイコミュ関連の仕様策定、メンテナンス性と拡張性を与える為のユニット構造、それに伴う装甲の形状変更などが行われて、操作系にサイコミュを導入、新型の無線誘導攻撃端末であるフィンファンネルを装備させ、第四世代MSとして開発が進められた。
小説版(『ハイ・ストリーマー』)では、チェーンはアムロに、これまでのガンダム系MSの最大平均値というべき数値を取り出し、新素材を使って再設計した本機の概念図を見せるが、それはアムロが考えていた「ニュー・ガンダム」に酷似していたという。ブライトはアムロのアイデアを入れて具現化するよう促し、アムロもそれに応えるように、パイロットに不親切な部分があることを指摘し、外装の強化とサイコミュの搭載を提案する。また、『ベルトーチカ・チルドレン』では、サイコフレーム導入以前の本機のサイコミュ・システムはアムロ自身が設計したもので、あくまでフィン・ファンネルのコントロール用であったとされる。
『ガンダム・センチネル』の「アナハイム・ガンダム開発一覧表」では、本機の機体名の "ν" はアナハイム社内の開発コードとされ、「γガンダム(リック・ディアス)」から数えて11番目の「アナハイム・ガンダム」とされている。
アナハイム社が培ってきたMS技術も積極的に利用されており、機体に用いる部材はΖ系MSのものを使用。センサー類にはインコムやバイオセンサーの技術をスピンオフして用いており、当時の汎用MSの1.5倍の高い出力を持つ新型ジェネレーターを採用し、その高出力を活かすべく機体各所にマウントラッチを配し武装面の拡張性を持たせている。機体を軽量化し内装火器を極力減らす事で、内部構造に余裕を持たせ、実戦データのフィードバックによるアップデートが容易となり、各種オプション装備が構想された。整備性やアップデート、量産化を踏まえて、アナハイム社製のこれまでの実験機や量産機の中から選別したムーバブルフレームのデータを参考とし、信頼性と整備性の高さが既に実証されている設計技術と軍規格部品を基に、コストを度外視しながら新技術を積極的に導入し完成度を高めるという堅実な方法で開発を進めた。このように「究極の汎用性」をコンセプトに開発が進められた結果、開発期間こそ短かくほぼワンメイクに近い存在であったものの、極めて高い信頼性と機体性能を実現するに至った。その他、フィン・ファンネルの搭載にあわせて機体の慣性重心、バランスを考慮し、重心移動に対応した機体管制プログラムも搭載されている。操縦系統もΖ系ほどの先鋭さはなく操作しやすくなっている。各主要バーニアスラスターはアムロの提言もありニュータイプ操縦者に対応できるレスポンスの向上が計られ、最大出力までのタイムラグを最小とする急速加熱システム、触媒メッシュへの過熱と改良型プロペラントペレットを採用、同時にそれにより増加する操縦者にかかる高速Gを軽減する為に球型コックピック周辺にも改良を施し、実戦ではサイコフレームによる脳波コントロールと合わせ、理論値を超える極めて高い高機動性能を発揮した。これら新型スラスターの恩恵により脚部周辺の出力だけでジェガン1機分に匹敵する高推力を得ている。各部姿勢制御用スラスターなどにも次世代系の新技術が用いられるものの、肩部などに出力の強化が提案されるもアムロの意見で通常型に差し戻すなど、全体的により高い機体スペック値を目指せたものの意図的にバランスを考慮し、あえて抑えている部分もある。消耗率の高い駆動系や推進系デバイスには積極的に連邦軍の規格品を使用する一方で、消耗品ではないケーブルや機体フレームの一部には標準規格を超える高品質素材や新規設計部材を用いるなど、ハイエンド機としての高水準が保たれている。アムロの専用機として開発されることから、アナハイム社の技術の粋が注がれ、総合的に本機は宇宙世紀0093年における最強クラスの性能を有するMSでありながら、整備性の高さや操縦が簡単で実用兵器としての信頼性も兼ね備えたバランスの良い機体として完成した。