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ヘビーガン

ヘビーガン

型式番号:RGM-109

機動歩兵的な兵器に端を発したMSは、進化の過程で単機であらゆる状況に対応できる能力・汎用性を追求した結果、機体のサイズが大型化していった。

黎明期のMSの平均全高は17~18メートル程度であったが、世代を重ねるにつれて22~25メートル、さらには30メートルを超える機体も珍しくなくなっていた。しかし、大型化に伴い整備施設の規模も拡大し、シャアの反乱以降の非戦時下では設備維持に莫大な予算が必要となる状態に陥っていた。このまま進化を続ければ予算が逼迫することは明白であり、その流れを是正するため、連邦政府は宇宙世紀0102年に外郭団体であるサナリィに解決策を求めた。その結果、サナリィは設備規模縮小のためMSのサイズを見直し、原点に立ち返る意味も込めて、黎明期の平均全高をさらに下回るサイズに統一する「MS小型化計画」を提案した。

開発はアナハイム・エレクトロニクス(AE社)に委託されたが、同社は小型MSの開発に消極的であった。AE社はこれまでMSの大型化による艦船・設備の建造で巨額の利潤を得ており、さらに第4世代MSに続く第5世代MSの開発に注力していたため、即座に受け入れようとはしなかった。また、当時はマフティー動乱など小規模な反地球連邦運動はあったものの、大規模な武力衝突は沈静化しており、連邦軍の主力MSはジェガンタイプの改装で十分という事情もあった。こうした背景もあり、連邦軍の発注から5年もの歳月を経て、ようやく本機が完成した。

本機は新世代の小型MSとして開発されたが、設計は保守的で、ジェガンをそのまま小型化した機体といえる。熱核反応炉も旧来のジェガンと同型のジェネレーターを流用しており、基本性能は大差ないが、軽量かつ高剛性の新素材フレームを採用したことで、出力に余裕が生じ、機動性や運動性が向上している。設計にはガンダムタイプのコンセプトが取り入れられ、RGM系量産機としては珍しくガンダリウム合金を装甲材に採用。コックピットはF71 Gキャノンと共通で、操縦方式はジェガンシリーズのアームレイカータイプからスティックタイプに戻されている。ただし、後の機体で標準装備となるビーム・シールドなどの新技術は搭載されていない。

初の小型MSとして生産された本機は、初期型では不具合が頻発し、現場では「ジェガンM型のほうがマシ」とまで言われた。しかし、量産が軌道に乗ると問題は解消され、生産性とメンテナンス性はジェガンを上回ると評価された。

ただし、本機の設計は従来技術の延長に留まり、第2期MSで採用された新技術の多くは導入されていなかった。連邦軍の要求性能には達しておらず、AE社がMSの小型化に本腰を入れなかったことが影響したとされる。同社は小型MSが従来のMSに取って代わることはないと考え、あくまで「軽MS」として扱っていた。しかし予想に反し、本機は従来機を上回る性能を示し、小型MSの有効性を証明したことで、AE社も同カテゴリの機体開発を行わざるを得なくなった。

サナリィは、本機の試作1号機の性能に不満を持ち、技術向上に努めなかったAE社に見切りをつけることとなる。これを契機に、サナリィは独自のMS開発へと舵を切り、F90シリーズやガンダムF91といった小型高性能MSを開発する道を模索した。

本機は主力MSとして採用されたが、あくまでより高性能な後継機が完成するまでのつなぎとして量産された。性能不足を補うため、強化オプションのプランも検討されていたとされる。

宇宙世紀0120年ごろには後継機ジェムズガンが登場するが、宇宙世紀0133年ごろまでは制式機の座を維持。一部の機体は改修を受け、開発から約40年後においても現役で稼働している。

 

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