第二次ウィンダミア独立戦争時のウィンダミア王国軍主力VF。巨大財閥「イプシロン財団」傘下の航空機メーカー「ディアン・ケヒト社」が生産している機体で、設計はゼネラル・ギャラクシー社(GE社)から引き抜かれた「SV・ワークス」が手がけている。S・VワークスはGE社の創設者「アレクセイ・クラーキン」の遺志を継ぐチームで、そのスタッフのなかにはかつて「SV-51」を開発した元・反統合同盟の技術者も含まれている。型式番号の「Sv」は「Slayer Valkyrie(スレイヤー・バルキリー)」もしくは「Slayer VF」、すなわち「対VF用VF」を意味するとされ、敵VFの迎撃や拠点防衛を担う局地戦闘機として設計されている。
ファイター形態時は「VF-17 ナイトメア」系列のように脚部を横に寝かせて収納しているが、足首となるエンジンノズルを中央で密着させることで単発機のような外見を作り出している。新統合軍側の機体は基本的に両腕を並列に収納しているが、本機ではドーサルスパインの前半分を右腕、後半分を左腕とした直列配置を採用している。両腕は回転式のシャフトパーツで接続されており、変形時は機首側に沿うかたちで肩甲骨を形成する。主翼は変形時に裏表が反転し、ガウォーク形態では外翼がやや下方に折れ曲がる。バトロイド形態時は左右のインテーク前縁同士が密着して胸部を構成し、機首は内蔵されたカメラが展開されて頭部となる。
この特殊な変形機構を採用したことで推力の一点集中化と機体強度の向上がなされ、同時期のVFのなかでも上昇力、加速性能、機動性に優れている。その一方で燃料搭載スペースが小さくなっており、機内燃料に依存する大気圏外での航続距離は短い。ただし、この欠点は増槽とブースターを兼ねた無人支援戦闘機「LD-262 リル・ドラケン」を装着することで、ある程度の改善が図られている。
さらに特徴的な機構として、惑星ウィンダミアIVから産出される鉱石「フォールドクォーツ」を利用した短時間限定の推力増強システム「リヒート・システム」を搭載。「VF-31 ジークフリード」にされた同系統システム「フォールドウェーブシステム」よりも完成度は劣っているが、推力のみに機能を特化することで倍近いブースト能力を得ている。
強力な電子ジャミング機能を搭載しており、外装の塗色やマーキングを偽装する光学ステルスシステムも備えている。
コクピットは非透過選択式の装甲キャノピーを採用しており、バトロイド形態と同様に外部カメラの映像をコクピット内壁に投影する方式となっている。キャノピー表面には搭乗する空中騎士団のパイロット各々の家紋が描かれている。同時期のVFに普及している耐Gシステム「ISC」を標準装備しているが、高い身体能力を持つウィンダミア人の搭乗を前提としているため、地球製VFに採用された「EX-ギア」ではなく、通常の射出シートを採用している。
Sv-262Hs,指揮官機。通信・索敵能力の強化に伴い機首がBa型よりも延長され、バトロイド形態時はツインアイ型のメインカメラと触覚状のレーザー機銃内蔵型アンテナ2基を展開したアヌビス神のような頭部形状となる。このアンテナは、ウィンダミア人特有の外部器官である「ルン」をイメージしている。パワーバンドもBa型より高出力に調整され、惑星ウィンダミアIVのプロトカルチャー遺跡から出土した王家由来の大型フォールドクォーツを組み込むことで、リヒート・システムの出力も向上している。この出力向上に対応するため、主翼の外翼部分がドッグトゥースを伴った三角形状に大型化している。
「ダーウェントの白騎士」の称号を持つ空中騎士団のエースパイロット、キース・エアロ・ウィンダミアの専用機。カラーリングは濃紺に金のラインマーキング。本来、白騎士の搭乗機は白銀色に塗装されるのが通例だが、新統合政府打倒のために悪意ある行為も辞さないという決意表明と、その行為によって白騎士の称号を汚さないようにあえてこのカラーリングを採用している。