科学の粋が集まる学園都市。東京西部の未開拓地に築かれたその街は、表向きは学生たちが暮らす学園都市だが、裏の顔は「超能力の開発」を推し進める巨大な研究機関でもあった。
その都市に住む少年・上条当麻は、触れた異能を無効化する右手「幻想殺し(イマジンブレイカー)」を持ちながら、不幸体質ゆえにクラスメイトから「不幸の避雷針」と呼ばれるほどトラブルに見舞われる日々を送っていた。そんな彼の日常は、空から落ちてきた謎のシスターとの出会いによって大きく変わっていく。
一方その頃——。
電脳暦の世界では、人類が発見した月面遺跡「ムーンゲート」から得られた技術を元に、人型兵器「バーチャロイド」が実用化されていた。しかし遺跡に封じられていた因果律制御機構「タングラム」が暴走し、時空を超えて漂流を始めてしまう。各勢力はこれを追い求め、やがて抗争は「オラトリオ・タングラム」と呼ばれる祝祭的な戦乱へと姿を変えた。
漂流を続けるタングラムが辿り着いた先は、学園都市。学生たちが能力開発に励み、暗部の思惑が渦巻くこの都市を観測したタングラムは、興味を覚え介入を開始する。こうして、異世界から持ち込まれた「バーチャロイド」と、学園都市の科学・能力体系が交錯し、二つの世界をまたぐ新たな物語が幕を開ける。
学園都市で用いられるバーチャロイドは「G55」と分類される。これはタングラムの影響によって電脳暦世界の第2世代型バーチャロイドが転送・変換され、安定化したモデル群である。制御OSには「MSBS ver.55」が搭載され、学園都市で流行するゲーム「電脳戦機バーチャロン」の枠を越え、実際の空間でもその力を発揮する。