PART I
1980年代の東京にて、人々はその「一番良い時代」を謳歌していた。その1人である矢作省吾が街中をバイクで駆け抜け、初めて出会った美少女・高中由唯の存在に一喜一憂し、若さゆえのあり余る力で拳を天に向かって突き上げる日常を過ごしていたある日、友人の中川真二に地下駐車場へ呼び出された省吾は、真二に巨大な試作バイクを見せられる。省吾が跨ったそれには、今までに見たこともないバハムートのロゴがあった。そこにシークレットサービスを装った謎の男性たちが現れ、彼らによる銃撃で真二は殺害されてしまう。驚愕した省吾は咄嗟に試作バイクを駆り、その場から逃走する。
省吾はマスコミを使って世間に試作バイクを公表しようと、人気絶頂のアイドル・時祭イヴのテレビ番組にテレビ電話で出演するが、「バハムート」の名を出した途端に放送は中断し、テレビ局の情報操作によって公表は失敗する。そうとは知らないまま試作バイクを駆る省吾は、軍の特捜隊に追跡されて高速道路に追い込まれ、人型機動兵器・ハーガンに捕獲されそうになるが、試作バイクも人型に変形したことから抗戦し、窮地を免れる。その後、由唯の友人にして映画監督志望の村下智美は、試作バイクを使って自主映画を撮ると言い出す。省吾と智美はタンデム状態でロケ地を探すが、白バイに追跡された末にまったく知らない地下の広大な廃墟の街へ迷い込んでしまう。そこでは、中央にそびえ立つ巨大コンピュータ・バハムートが上空に広がる廃墟の街と繋がっていた。このまま2人で行くのは危険と感じた省吾は、智美を帰らせて単独でさらに調査を進めるが、軍のパトロール隊に発見されて交戦し、ついには人型同士で組み合った相手のハーガンと共に隔壁の損傷部から宇宙へ飛び出してしまう。彼方へ流されそうなハーガンの射出したワイヤーを省吾は試作バイクの腕で掴み、「話したいことがある」という相手をハーガンごと助けて隔壁内へ引き返す。
廃墟の街へ戻った省吾の前でハーガンから降り立った若き将校・B.D.は、自分たちの街がバハムートに支配された宇宙船の内部にあり、実際の時代も1980年代ではなく5世紀以上が経過していること、そして宇宙から接近する敵・デザルグの脅威が迫っていることを語る。また、そのために軍はバハムートの支配のおよばない地下に前線基地を造り、軍備の増強と兵器開発を進め、バハムートを解析して制御下に置く目前で試作バイクことガーランドを極秘に開発したが、盗み出されて表に出てしまったとも明かす。信じられない現実と、人々に気付かれずに戦争準備を進めるB.D.に反感を覚えた省吾は、苛立ちながらその場を後にする。
やがて、バハムートの端末でもあるガーランドを駆る省吾は、「7Gのオペレーター」と呼びかけるイヴにより、かつて地球で起きた出来事と、デザルグの正体が省吾たちと同じく地球人であることを知る。省吾は悩み続けた末に由唯と一夜を共にし、この街の真実を彼女に明かす。一方、B.D.はバハムートを掌握してクーデターで軍の高官を粛清し、国会議事堂と首相官邸を占拠して実権を握ると、デザルグの脅威を「某国の侵略」と称して公表する。それに伴い、街はイヴさえも軍の広告塔と化すほど戦時色に染まっていく。
省吾が由唯とのささやかな幸せに救いを見出そうとしていた矢先、軍はさらなる機密漏洩を阻止するため、バハムートの存在を知るもう1人の民間人である智美を暗殺し、バハムートが写ったフィルムを処分する。怒りが頂点に達した省吾はガーランドでバハムートへ突撃し、B.D.はハーガンで立ち塞がってガーランドを冷酷に叩きのめす。先日の助けられた借りを返すとしてとどめは刺されずB.D.に見逃された省吾は、満身創痍の姿でガーランドから這い出ると、朝焼けの渋谷の街をどこかへ去って行くのだった。
PART II
B.D.に敗れ去り、友人のライトニング率いる暴走族「TRASH」に身を寄せていた省吾は、智美の殺害犯として軍に仕立て上げられた指名手配中、半年ぶりに由唯と再会する。その頃、街には戦意高揚の垂れ幕が掲げられ、軍の広告塔と成り果てたイヴを通して人々を戦争に駆り立てるメッセージが連日流されていた。しかし、バハムートは完全には軍の管理下に落ちてはおらず、軍がイヴの亡霊と呼ぶかつてのイヴが現れ、7Gのオペレーターである省吾に自分へのコンタクトを呼びかけ続けていた。省吾は自分を待ち続けた由唯のわだかまりを心身で解いて想いを伝えると、本来のイヴに会うため、そして彼女が何を自分に伝えようとしているのかを知るため、TRASHの助けを借りる。
その頃、デザルグはMZ23の一部がB.D.に背いて試みた平和的接触を拒絶し、さらなる本格的な侵攻を開始していた。迎撃に出た最新鋭艦エアグレーンFX-101とその護衛部隊も、デザルグの圧倒的な戦力の前にはなす術もなく壊滅してしまう。その脅威を目の当たりにしてB.D.が平静を装う中、軍の手でプロトガーランドとして修復されたガーランドを入手した省吾は、軍の追跡をかわしながらTRASHと共にバハムートへ向かう。物量で勝る軍の攻撃にTRASHは1人、また1人と倒れていき、ついにはガーランドも大破してしまうが、省吾は軍の追撃で負傷した由唯と共に、バハムートの未知セクションにあるイヴのもとへ辿り着く。
イヴの言葉に省吾が、省吾の言葉にイヴが揺り動かされる。イヴの質問に対して自分が今したいこと、そして「大人は汚い人々だ」という気持ちを明かす省吾に対してイヴは「あなたが憧れた大人になればいい」と告げる。しかし、月の防衛システム「A.D.A.M.」の作動開始に伴い、ついにイヴの真実が明かされる。500年前、人類は自らの手で地球を死滅に追いやり、そこで国際連合が地球保護法をベースとした「A.D.A.M.」による管理のもと、生き残りの人々は500年間地球から去ったうえで地球へ帰還する時を迎え、イヴも500年前と同じ過ちを繰り返さない人々だけを地球に送り届けるためのプログラムだったのだ。だが、「A.D.A.M.」はイヴの送ったデータを良しとせず、月面からの放電攻撃でデザルグやMZ23を破壊し始める。傷の具合が思わしくない由唯をイヴに預けた省吾はTRASHと合流するが、そこへB.D.が再び現れる。省吾は怒りに任せて飛びかかるが、B.D.に軽くあしらわれた末に「殴るだけ損だ」と負け惜しみを言うしかなかった。イヴが「ファイナル・プロテクション・モード」を発動させ、MZ23の最期を悟ったB.D.は省吾ら新しい世代に後を託し、「A.D.A.M.」との闘いへ飛び立つ。
イヴの最後の歌声が響き渡る中、「A.D.A.M.」による放電攻撃はデザルグを消滅させたうえでMZ23にもおよび、人々も建物もすべてを巻き込みながら1980年代の東京は崩壊する。しかし、MZ23が消滅する前にイヴは省吾たちのいるバハムートの一部を切り離し、彼らを脱出させる。やがて、地球へ降り立った省吾たちの目前には、再生した地球の大地が広がっていた。
PART III
省吾たちの地球帰還から数百年後。人々はシティネットワークが張り巡らされ、コンピュータ「SYSTEM」に全管理を委ねた街「エデンシティ」で暮らしていた。それは、恒久の平和を目指す一方で必要とあらば肉体と機械の直結も辞さないほどの徹底ぶりであり、かつての人類の過ちを繰り返さないために取られた完全なる手段にして支配だった。しかし、それを嫌ったレジスタンスによる反攻作戦が開始される。エデンシティを統治する情報監督局「E=X」と、それに敵対する民間ゲーム会社「オレンジ社」によるその戦乱に、天才的なハッキング能力を持つゲーマーの青年・エイジ・タカナカもいつしか巻き込まれていく。
やがてSYSTEMは、地球環境の維持のためには人類を宇宙に排除する必要があると判断し、「プロジェクト・ヘブン」を発動するが、エデンシティ外周部での反発重力推進システムの稼動中にシティネットワーク中枢が爆破され、プロジェクト・ヘブンは頓挫する。そして、エデンシティの支配者であるウォン・ダイの正体が、あの省吾だったことが明らかとなる。省吾たちが地球へ帰還した際、彼を7Gのオペレーターと認めなかったSYSTEMは、クリエイターの生き残りであるオリジナル・イヴと省吾の接触を恐れ、彼をSYSTEMへ強制的に接続してその操り人形であるウォンへ作り変えていたのだ。
省吾はSYSTEMによる支配から解放された直後、新たな7Gのオペレーターとして選ばれたエイジに後を託して死んでしまう。それを知ったイヴは上昇を続けるSYSTEM中枢部に残り、エデンシティの人々を救うためにプログラム変更を行うのだった。