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YF-21 シュトゥルムフォーゲル

YF-21 シュトゥルムフォーゲル

OVA『マクロスプラス』に登場するVF-22の試作型。2040年、惑星エデンのニューエドワーズ基地において、VF-19 エクスカリバーの試作機である新星インダストリー社製YF-19と統合軍の採用コンペティションを競い合う。コールサインはΩ1(オメガワン)。性能試験に使用されるのは2号機で、バックアップ用の1号機と3号機も存在する。

開発主任兼テストパイロットは、ゼネラル社に所属するゼントラーディ系2世のガルド・ゴア・ボーマン。優秀な頭脳と飛行技術を持つガルドは、YF-21のシステムの一部ともいえる存在である。

YF-21は革新的な技術として、操縦・火器管制系のアビオニクスにBDI (Brain Direct Image) システムを搭載している。これはパイロットと機体を神経接続し、人機一体に近づけるシステムである。操縦者はコクピット内で精神統一を行い、自身の肉体感覚に機体イメージを一体化し、飛行・索敵・攻撃などの操作を実行する。機体各所の光学センサーで捉えた映像はパイロットの脳内へ直接投影され、パイロットは目をつぶっていても機体全周囲の視界を浮かべることができ、接近するミサイルの軌道予想やレーダー波など、肉眼では視認できないものすら映像化される。これにパイロットが返すアウトプット、つまり機体操作命令も、脳波を電気信号として検出し、その意思を機体各部にダイレクトに反映する。主翼は新素材を用いたたわみ翼になっており、その形状変化も脳波により制御される。

従来の空中戦(ドッグファイト)では、パイロットは首を振って標的を視認し、手足でレバーやペダル類を駆使するという忙しい動作が必要であったが、BDIシステムでは「脳」だけを働かせ、黙想状態でイメージするだけで、機体に同化し思うがまま自在に操ることができる。またバトロイド形態においては、クァドラン系バトルスーツ同様、四肢を文字通り自分の手足のように操ることが可能である。

しかし、弱点として、パイロットに高度の精神集中力が要求される点が挙げられる。精神フィードバックの制御の失敗がそのまま機体制御の失敗となる危険性をはらんでおり、パイロットの集中が乱れたとき予測不能な挙動や操縦不能に陥ることが懸念された。実際、スーパーノヴァ計画のテスト中に原因不明の事故を起こし、あわや墜落という事態に遭う。複雑で高価なシステムであることと相まって、量産型のVF-22では、機能を大幅に簡略したうえで手動操縦の補助機器としての使用にとどめられている。

イサム・ダイソンがYF-19を駆って地球へ無断出撃した際には、軍に追撃出動を要請される。その後、ガルドの駆る2号機は地球上空にて無人戦闘機ゴーストX-9と交戦し、圧倒的な機動力に翻弄される。被撃墜寸前にまで追い詰められたガルドは、最後の切り札として飛行に不要な四肢を排除し、エンジンのリミッターを解除する。凄絶なドッグファイトの結果、特攻でX-9の撃墜には成功するものの機体は大破し、ガルドも特攻直前に過酷なGフォースで身体が損壊する。

2050年代には、マクロス・ギャラクシー船団において、パイロット自身の身体をサイボーグ化することで機体との直接接続や耐G性能向上を図った機体、VF-27 ルシファーが開発される。

ハイ・マニューバ・モード

本機は地球上でゴーストX-9と交戦する際、ファイター時の死荷重となる手脚接合部の関節から切り捨てた超高機動戦用のハイ・マニューバ・モード(別名:リミッター解除モード)で一騎討ちを挑む。エンジンに掛けられたこのリミッターは、機体の構造限界というよりパイロットの「肉体限界」に合わせて設定されており、解除するには文字通り命懸けの覚悟が必要となる。有人機としての運用には大きな問題があるモードであるが、使用時間制限が付与されたうえで、あくまで緊急用としてVF-22以降も継承されている。

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