型式番号:MSS-008
ル・シーニュはアナハイム・エレクトロニクスが開発したガンダムタイプのモビルスーツである。宇宙世紀0087年、グリプス戦役が勃発し再び戦乱の時代が訪れた中、エゥーゴに所属するニュータイプパイロット、アスナ・エルマリートのデータを基に、バイオセンサーを調整した専用機として納入された。
当時の主流は単機で複数のミッションに対応できる可変型MSやモビルアーマーであったが、ル・シーニュはあえて非変形の汎用型として設計されている。機体構造は簡素化され、軽量化や可動域の拡大によって機動性や運動性の向上を重視した設計となっている。その分装甲は最小限にとどめられ、耐弾性は同時代の標準的な機体と比べやや頼りない部分もある(この点は百式に近い設計思想である)。
火力やジェネレーター出力、スラスター推力といった各種性能面でも特に目立つ特徴はなく、一見するとネモに角をつけただけの凡庸な機体に見えるかもしれない。しかしこれは、派手な高性能に頼るのではなく、効率的かつ最小限の運用で機体の潜在能力を最大限に引き出すアスナの操縦スタイルに合わせた仕様であり、彼女の高い技量と合わさることで真価を発揮する。
制御系には、パイロットのニュータイプ能力を引き出すためにバイオセンサー(バージョン0)を本格的に導入。さらに、アスナの過去の操縦データも反映され、彼女が最大限のパフォーマンスを発揮できるように調整されている。
ショルダーアーマーはガンダム系としては珍しく、前方に張り出した独特の形状をしており、これは作戦に応じて武装を変更するための換装構造を持つためである。通常はビーム・サーベルやガトリング砲が装備される。また、バックパックも着脱や換装が容易な構造となっており、用途に応じた複数のバリエーションが用意されている。