フロム・ソフトウェアが『キングスフィールド』で培った3Dアクションゲームの技術を基に、『アーマード・コア』シリーズの開発が始まった。
作品ごとに詳細は異なるものの、基本的には国家による支配が崩壊し、巨大企業が支配する近未来を舞台に、プレイヤーは「レイヴン」または「リンクス」と呼ばれる傭兵となり、「アーマード・コア(AC)」と呼ばれる人型機動兵器を操ってさまざまな任務を遂行していくというストーリーが展開される。主人公は主に中立的な傭兵斡旋組織(例として『AC1』の「レイヴンズ・ネスト」)から依頼を受け、報酬を得る。また「アリーナ」や「オーダーマッチ」と呼ばれるレイヴン同士の対戦もあり、その成績によって傭兵としてのランクが評価される。
ゲームの特徴は、プレイヤーが多数のパーツを組み合わせて自分好みのACを設計できる点にある。各パーツには異なるパラメータが設定されており、その性能が実際の操作に反映され、立体的な空間での戦闘が展開される。また、シリーズの一部作品では趣向を変えたシステムも採用されており、たとえば『ACFF』では、AIが操縦する無人AC「u-AC」による競技大会「フォーミュラ・フロント」を舞台に、プレイヤーはu-ACを設計する技術者「アーキテクト」として登場する。
ACは全11のパーツから構成されており、腕部や胴体などの基本構成パーツに加え、武器やメインコンピュータといった細かな要素まで、プレイヤーが自由に組み上げてオリジナルの機体を作り出し、スピード感あふれる戦闘を楽しむことができる。
本作は基本的に1人用だが、対戦アクションゲームとしての要素も強く、公式大会や企業協賛、ゲーム雑誌主催、さらにはファンによる小規模な大会など、さまざまな対戦イベントが行われてきた。初期には電話回線を用いたダイアルアップによるオンライン対戦にも対応しており、遠隔地のプレイヤーとの対戦も可能であった。後にはチーム単位での対戦も実装され、遊びの幅が広がった。
メカニックのデザインには河森正治をはじめとした著名なデザイナーが参加しており、登場人物のビジュアルはあまり描かれないものの、数多くの実力派声優が起用されている点も魅力の一つ。
フロム・ソフトウェアはPlayStationの登場以降にゲーム業界へと参入した後発組であったが、『キングスフィールド』と並んでこの『アーマード・コア』シリーズが看板タイトルとなり、その実績から『重鉄騎』や『Another Century's Episode(A.C.E.)』シリーズといった他社ロボットゲームの開発にも関わるようになった。その後も培われた3Dアクションのノウハウは、『DARK SOULS』や『Bloodborne』といった代表作にも受け継がれ、さらにはそれらの知見が再び『アーマード・コア』シリーズへと還元されている。