型式番号:SPEX-07
単独外宇宙探査用クルーズチェイサー。巡航形態では3本の槍と2個の球の合わさった流麗な形状で「3次元」を象徴する機体。高機動形態では背中に球体を、右肩から長いビークマヌーバーを生やした、脚の長いスマートな人型となる。コクピットは左胸部、タンデム複座。前席がパイロット用、後席がコ・パイロット用。腰部デフレクター発生器の円筒数は4本。カラーリングは白を基本に、手足には白地にグレーのツートン、境目ラインに青が入る。ラウンドグローブは青とグレーのツートン。
長老会の求める外宇宙探査機の要求により開発され、恒星間航行用超光速推進システム、バイアス・ドライブが搭載された。また長期単独航行のために防御性能と長期生活用の装備が充実している。
開発当初、高度な要求性能を満たすための技術が未だ成熟していなかったこともあり開発が難航、計画は一時中断され、未完成の機体は倉庫に放置されていた。廃棄処分されそうになっていた時、長老会はロバートに開発再開命令を出す。スペックス計画機の充実による各種理論の成熟とロバート・沢木の手腕によって、機体は高度な最新鋭機として蘇った。最新鋭機でありながら頭文字が初期段階の「B」なのはこの事情による。またスペシャルフォームへの変形機構を初めて導入した機体であり、本機での成功により以降の機体に継承され発展していった。
デフレクターの他に船体全域を耐環境シールド(保護シールド)で覆っている。これは磁気反発力で宇宙塵・宇宙線などを弾き返すもので、防御力が高い。また、緊急時には星間物質を吸収して推進剤とする磁場吸引シールドが用意されている。
背部(巡航形態では尾部)にクルーズキャビンを装備。乗員二名が長期生活できる。キャビンには共通規格の主エアロック、ベッド兼冷凍睡眠装置×2(上下2段)、宇宙服収納庫兼個人用簡易エアロック×2(収納されている宇宙服は腰部全周が推進器ベルトが覆い太めなため「おむつ宇宙服」と呼ばれる)、フレキシブル・シャワー・ルーム(シャワー、トイレ、洗濯機を兼ねる装置)、簡易キッチン等も装備。排泄物は濾過され一部が飲料水や簡易食に還元される。フード・サプライヤーは搭載された食料から合成食をパレットに形成する。キャビンとコクピットとの間の通路・コクピットコリドー(バキューム通路)は、エアーの吸引・噴出と弱い重力場によって乗員を移動させる。
背部両側のラウンドグローブと呼ばれる2個の球体にインパルスドライブを内蔵。これはそれぞれが2個の半球が合わさった形状をしており、根元と赤道面(赤道軸は根元軸と推力線それぞれに対して45度傾いている)の2軸回転で全天360度に主エンジンの推力を振り向けることで大推力高機動を可能にする。そのため機体各部のバーニアは比較的少ない。その都合上、熱核ジェット用のインテークが球体の赤道部分全周囲に空いており、球体がどの角度であっても大気を内部に吸入できる。この内部機構をサークル・ジェットと呼ぶ。
武装は掌のアームレーザー、右胸部上面から伸びるビークマヌーバー(巡航形態での機首〜垂直翼部分)。ブラスティーは特に前者の使用頻度が高い。マヌーバーは複合戦闘ユニットで、大口径レーザー砲、魚雷、原子放射線砲(原子砲)を内蔵。原子砲は強力すぎるため使用には細心の注意を要する。下面5箇所が魚雷ラックとなっている。マヌーバーはさらに根元から分離して反重力装置とインパルス・ドライブで推進、遠隔操作または自律行動する無人支援機とすることが出来る。本体側のマヌーバー接続・可動機構部はそのまま隠し腕となっている。
通常速度域はインパルス・ドライブで機動。恒星間航行用超光速推進機関バイアス・ドライブ(一種のブラックホール推進)を脚部に持つ。巡航・高機動形態のどちらでも超光速航行が可能で、さらに航行中の変形も可能。同機関は完全ではなく、超光速域での使用時にはパイロットの精神が高揚するという影響が出て、長時間放置すると廃人になる危険があるため、使用時操縦はオートに任せ、パイロットは睡眠剤を飲んで睡眠して過ごすのが通例である。
高速大容量コンピューターを備え、クリスティが監察庁コンピューターから過去の記録を奪取する際、選別する暇の無かった彼女は奪取可能な全データを奪ってしまう。その中には監察庁の機密データと、彼らが取得していた地球全市民の個人データまでもが入っていた。それが本機が監察庁の抹殺対象となった理由でもある。後に機密データはパンドラの作戦立案に役立つこととなる。
監察庁本来の用途は長期独立行動による外宇宙調査・偵察・遊撃・隠密工作だった。だがクリスティが奪ったことにより、太陽系解放の戦いにおいて、自由を求めて戦う人々の象徴的存在となる。
ゲーム版からのリデザイン時に変形パターンも変更され、巡航形態時には腕部・脚部を前方に配置し、胴体部は垂直にする変更がなされた。これによりゲーム版では主翼中央部にあったラウンド・グローブがHJ版では尾部となった。初期稿では爪先に収納式のスキッドが存在し自立できるデザインだったが、決定稿でスキッドが存在するかは不明。また下部垂直尾翼に収納式の4本の脚があり、着地・歩行を可能にするという案があった。
別冊ムック収録の座談会により、ブラスティーのデザインモチーフはスタートレックのエンタープライズ号だったと明かされた。