奇居子(ガウナ)と呼ばれる対話不能の宇宙生命体に地球を破壊され、僅かに生き延びた人間は、小惑星ほどもある世代宇宙船を建造して太陽系を脱出した。播種船シドニアはその一つで、地球に代わる惑星を求めて1000年もの長きにわたり宇宙を旅してきた。だが現在、シドニアはガウナが頻出する宙域に孤立し、存続が危ぶまれている。
配管が複雑に入り組み、誰も近づかないシドニアの基底部では、谷風長道が祖父のヒロキと二人きりで、世間から隠れて暮らしていた。ヒロキは長道に対ガウナ兵器・衛人の操縦を教え込み、衛人仮象訓練装置での長道の成績はいまやヒロキを上回っている。しかしあるときヒロキが死亡し、残された長道は遺言に背いて地上へと彷徨い出る。食料工場で米を盗んでいるところをシドニアの船員に見つかり、身柄を拘束された長道は、自分には船員としての登録記録が存在しないこと、ヒロキは17年前に死亡扱いになった人物であることを知らされる。そこに落合と名乗る男が現れ、長道を身元引受人となるシドニア艦長・軍総司令の小林のもとへ連れていく。小林は長道に外の世界を見せ、シドニア存続のために力を貸してほしいと頼む。その申し出を受け入れた長道は、ただちに衛人操縦士訓練生に抜擢され、百年前の戦争で無名の撃墜王が搭乗した一七式衛人・継衛を与えられる。時を同じくしてガウナの巣・大衆合船が厳戒宙域に出現、小林はガウナとの戦争を宣言する。
特殊な生い立ちや上層部の特別扱い、光合成のできない人間特有の体臭が災いし、長道は他の訓練生から陰湿ないじめに遭う。星白閑と、中性の科戸瀬イザナだけは長道に対等に接し、やがて良き友人となる。そして訓練生たちに宇宙空間を漂う氷塊の採掘任務が与えられる。非戦闘任務のはずだったが、ガウナが氷塊を突き破って出現、触手で継衛をはじきとばして長道に深手を負わせ、同期訓練生の山野を捕食する。さらにガウナは、意図は不明ながら山野を模倣し、人間のような形状に変化する。シドニア軍司令部は長道の救出を打ち切り、他の訓練生を退避させてガウナに重質量砲を発射する。しかし砲弾が直撃する直前、長道は不可解にも蘇生しガウナと交戦、シドニアへの生還を果たす。砲弾はガウナの肉・エナを大きくはぎ取るものの、本体には傷ひとつつけられず、ガウナはエナを再生してシドニアに接近する動きを見せる。百年前の第四次ガウナ防衛戦では、二体のガウナが船内に侵入したために総人口の99%が死亡している。同様の惨事を防ぐべく、司令部はシドニア屈指の正規操縦士に、ガウナ本体を唯一破壊できる槍・カビザシを与え、ガウナ討伐に赴かせるが、ガウナは討伐隊を返り討ちにし、重質量砲をも避け、シドニアに向けて突進する。シドニアは緊急回避機動を余儀なくされ、高Gによる居住区画の崩壊で数千名の犠牲者を出しながら、ガウナを紙一重でやり過ごす。しかしガウナの到来をわずかに先延ばしにしたにすぎない。司令部は守備隊総力で迎撃する態勢を整える一方で、訓練生の長道、星白、岐神海苔夫、仄焔の四名に、討伐隊が持ち出し、いまは宇宙を漂うカビザシ1本の回収を命じる。カビザシはシドニアに28本しかなく、補充も見込めないためだ。長道たちはカビザシを発見するが、ガウナにヘイグス粒子砲で狙撃される。星白の機体はヘイグス機関の損傷で爆発し、岐神と仄の機体も戦闘不能となる。長道は一人でガウナと対決、ヘイグス粒子砲の撃ち合いを制して、回収したカビザシでガウナの本体を貫く。そして帰還限界線の向こう側へ吹き飛ばされた星白を探すために、長道もまた帰還限界線を越え、消息を絶つ。長道は星白を発見するものの、継衛のヘイグス粒子はすでに尽きており、ともに宇宙を漂流する羽目になる。星白は長道の向こう見ずな行動を非難するが、生き延びるために力をあわせる中で、二人の距離は急速に縮んでいく。
二週間ののちに守備隊に救出され、シドニアに帰還した長道は、英雄のような扱いを受け、いじめも止まる。そして岐神、星白、仄焔とともに正規操縦士に任命され、前途は明るいかのように見えた。しかし長道は、密かに自身に嫉妬していた岐神の計略により、連結型ガウナの討伐で重大なミスを犯す。結果、仄焔は意識不明の重体となり、星白は機体ごとガウナに食われて死亡する。シドニアの人々は手のひらを返して長道を糾弾し、操縦士権限の凍結を叫ぶ。その最中、星白の機体を模倣した衛人型ガウナが三体同時に出現する。衛人隊がガウナに傷を負わせると、ガウナはシドニアの通信回線を通じて悲痛な叫び声を上げる。その声はまぎれもなく星白のものだった。操縦士まで模倣していたのだ。衛人隊は衛人型ガウナを二体撃破し、エナで再現された「操縦士」も一体回収する。しかし三体目のガウナ・紅天蛾は異常な戦闘能力を露わにし、衛人を次々と屠っていく。長道が戦闘に割って入り星白の名を叫ぶと、紅天蛾は攻撃を停止し、新たに出現した小衆合船・オカリナへ撤退する。回収された衛人型ガウナの操縦士・エナ星白は、外見は星白と瓜二つで、骨格や内臓も人間と変わらないことが判明する。人間だった頃の記憶さえ断片的にはあるらしく、長道の名を呼び、長道の姿を見て触手を伸ばすなど反応を示す。紅天蛾とオカリナの出現以降、ガウナは人間が考えたような複雑で高度な作戦でシドニアを攻撃するようになる。シドニアは、人工カビやガウナ本体貫通弾、弾体加速装置、新型衛人などの新兵器でこれに対抗する。繰り返される戦いの中で、長道は前大戦の撃墜王を彷彿とさせるエースパイロットへと成長していく。しかしシドニアにガウナ以外の脅威が迫っていることは、長道も、他の誰も知る由もなかった。百年前の戦争でシドニアを滅ぼしかけ、処刑されたとされるマッドサイエンティスト・科学者落合が、岐神開発次期当主の岐神海苔夫の意識と肉体を乗っ取って復活し、己の野望――究極の生命体の創造と転生――を成就するために暗躍を始めていたのだ。
外生研に標本として保管されているエナ星白は、長道と面会を重ねるにつれて人間らしい振る舞いが増え、長道もそれに入れ込むようになる。しかし、ひそかに外生研を傀儡にしていた岐神の手回しにより、エナ星白は岐神開発に譲渡され、長道の前から姿を消す。しばらくの後、長道らがガウナとの戦いで窮地に陥ったとき、人型のガウナが突如出現、長道らを救う。岐神開発の新兵器・融合個体の白羽衣つむぎだった。岐神は、エナ星白の卵子に人工の人間の精子を受精させることで、人間とガウナの混血生物を作り出したのだ。つむぎは「人類存続のために力を尽くしてガウナと戦う」決意を表明するものの、ガウナを心底嫌悪するシドニアの人々はつむぎを拒絶し、罵声を浴びせる。長道はそんなつむぎを哀れに思い、イザナとともに彼女に手を差し伸べる。やがて、つむぎの決意が試される時がくる。小衆合船オカリナがシドニアに直接攻撃を仕掛けてきたのだ。オカリナは超高出力のヘイグス粒子砲を形成、シドニアを狙撃しようとする。命中すればシドニアは確実に消滅する。長道ら衛人隊の必死の抵抗にもかかわらず、オカリナはヘイグス粒子砲を発射するが、つむぎが射線上で身を呈してビームを屈折させる。ビームはシドニアを外れ、オカリナも撃破されるが、つむぎは深手を負う。つむぎに救われたシドニアの人々は、彼女に対する認識を改め、一日も早い回復を祈る。そして岐神の治療で一命を取り留め、復帰したつむぎは誰もから感謝され、仲間として迎え入れられる。対人コミュニケーション用の触手が配管を通って移動し、長道やイザナと同居することも黙認される。一方、つむぎが融合個体の有用性と安全性を証明したことで、二体目の融合個体の建造が始まろうとしていた。
戦勝気分に浸る間もなく、大衆合船が動き始める。大衆合船は、シドニアが植民を予定していたレム恒星系惑星セブンに侵攻、植民者の前哨基地を破壊する。小林は不死の船員会を粛清し、議会を停止した上で、大衆合船との決戦を独断で決定する。シドニアを巨大ガス惑星ナインの衛星軌道に突入させ、そこに橋頭保を築いて大衆合船を攻撃する計画だ。イザナが惑星ナインの偵察に派遣され、ガウナの待ち伏せに遭って消息を絶つ。イザナを救出するため、長道の高コスト実験機とつむぎはナインに突入するが、紅天蛾が彼らの前に立ちはだかる。