その日、月が泣いた。
直径数メートルもあろうかという黒い怪球が、月の裏側より何百も地球に降り注いだ。
正体不明。地上のいたるところに落下したそれらは人類にはまったく解析不能。
当初の、地球崩壊の序曲かとの世界的な騒動も結局つかのまのことだった。
人類はすぐにまた次の興味と享楽に視線を移す。
怪球は黒々とした姿で黙したまま地上に放置され続けた。そして、一年。
平穏な学生生活、賑やかなお昼休み。
アミとマミは、自称『学園の正義のアイドル』。今日も番長の乱暴に痛快なオシオキを与え、担任のアズサ先生からのお説教。だがそれも平和の象徴であった。
アズサ先生が彼女らに「そういえば、あなたたちに手紙が届いてたの」と伝えるまでは……。